受給者証とは、制度を使えると決まった人に役所が交付する証明書です。大人がB型などの障害福祉サービスを使うときは、市区町村が交付する「障害福祉サービス受給者証」が必要です。この記事では、障害者手帳との違い、4つの種類、申請から届くまでの目安、大人がB型で使うときの流れを、厚生労働省や自治体の公式情報をもとにまとめます。
受給者証とは?使えるサービスや助成の内容が書かれた証明書です
受給者証とは、市区町村や都道府県が「この人はこの制度を、この内容で使える」と決めたことを証明する書類のことです。病院や事業所が発行するものではなく、申請を受けた役所が審査をしたうえで交付します。
障害のある大人が就労継続支援B型などに通うときに使うのは、市区町村が交付する「障害福祉サービス受給者証」です。厚生労働省の「介護給付費等に係る支給決定事務等の事務処理要領」では、サービスを受けるたびに事業所へ受給者証を提示することになっています。
障害福祉サービス受給者証について、最初に知っておきたいのは次の4点です。
- 交付するのはお住まいの市区町村:申請を受けて、使えるサービスの種類や量を決め(支給決定)、その内容を記載して交付します
- 書かれているのは支給決定の中身:サービスの種類、1か月に使える量(支給量)、有効期間、負担上限月額などが書かれます
- 事業所を指定するものではない:要領では、支給決定は特定の事業者からサービスを受けるべきことを決めるものではないとされています。通う事業所は本人が選んで契約します
- 自己負担には月ごとの上限がある:厚生労働省「障害者の利用者負担」では、世帯の所得に応じて0円・9,300円・37,200円の区分が示されています
券面の欄ごとの読み方は「受給者証の見方」、持つメリットと気になる点は「受給者証のメリット・デメリット」で詳しく紹介しています。
受給者証と障害者手帳の違いは?証明するものと使い道が違います
受給者証は「使えるサービスの内容」を、障害者手帳は「一定の障害があること」を証明する書類です。どちらも障害のある方が市区町村の窓口で手続きをすることが多いため混同されやすいのですが、申請は別々に行います。
| 比べる点 | 障害福祉サービス受給者証 | 障害者手帳 |
|---|---|---|
| 証明するもの | 支給決定の内容(サービスの種類・量・期間など) | 一定の障害があること |
| 種類 | 使うサービスごとに支給決定を受ける | 身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳の3種類 |
| 交付する役所 | 市区町村 | 都道府県・指定都市などが認定・交付(申請の窓口は市区町村) |
| 主な使い道 | B型・就労移行支援・グループホームなどの利用 | 税の控除や各種の割引、障害者雇用での確認など |
| 有効期間 | あり(サービスごとに市区町村が定める) | 手帳の種類によって違う(身体障害者手帳は原則として更新なし) |
| 片方だけでもよいか | 身体障害の方を除き、手帳がなくても支給決定を受けられる場合がある | 手帳だけを持ち、福祉サービスは使わない方もいる |
手帳を持っていても、受給者証は自動では届きません。B型などを使いたいときは、手帳とは別に市区町村へ支給申請をします。反対に、事務処理要領では身体障害の方を除いて、手帳を持っていることは支給決定の必須要件ではないとされています。精神障害の場合は、自立支援医療受給者証(精神通院医療)や医師の診断書などで確認されることがあります。
厚生労働省「障害者手帳について」では、障害者手帳は3種類の手帳をまとめた呼び方で、どの手帳を持っている場合でも障害者総合支援法の対象になると説明されています。手帳と受給者証のどちらを先に申請するかに決まった順番はないので、使いたい支援に合わせて窓口や主治医に相談してください。
3つの手帳の違いは「障害者手帳の種類と等級」、手帳なしでB型を使う場合は「障害者手帳がなくてもB型は使える?」で紹介しています。手帳の取り方は「精神障害者保健福祉手帳の申請方法」「療育手帳とは」が参考になります。
受給者証の種類は?福祉サービス・子どもの通所・医療費の助成で4つあります
名前に「受給者証」が付く証明書のうち、障害に関わる代表的なものは4種類です。B型に通うのに必要なのは障害福祉サービス受給者証だけで、医療費の受給者証ではB型を利用できません。
| 種類 | 何に使うか | 交付する役所 | 申請から届くまでの目安 |
|---|---|---|---|
| 障害福祉サービス受給者証 | B型・就労移行支援・グループホームなど、大人の福祉サービス | 市区町村 | 自治体が定める標準処理期間の例で30日〜60日 |
| 通所受給者証 | 児童発達支援・放課後等デイサービスなど、子どもの通所支援 | 市区町村 | お住まいの市区町村に確認 |
| 自立支援医療受給者証 | 精神科への通院などの医療費の自己負担を軽くする | 窓口は市区町村(精神通院医療の実施主体は都道府県・指定都市) | 市区町村の窓口に確認 |
| 特定医療費(指定難病)受給者証 | 指定難病の医療費の助成 | 都道府県・指定都市(窓口は保健所など) | 埼玉県の案内では概ね2〜3か月 |
検索でよく見る「医療費受給者証」「医療受給者証」は、特定の1枚だけを指す正式な名前ではありません。たとえば埼玉県の「指定難病医療給付制度申請の手続き(新規申請)」では、指定難病の受給者証を「医療受給者証」と呼んでいます。自立支援医療の仕組みは厚生労働省「自立支援医療」で確認できます。
手元の受給者証がどれか迷ったら、券面に書かれた名前と、交付した役所が市区町村か都道府県かを確かめてください。4種類それぞれの対象・有効期間・自己負担の比較は「受給者証の種類と違い」、自立支援医療とB型の関係は「自立支援医療とB型は併用できる?」で詳しく紹介しています。自立支援医療受給者証については「自立支援医療受給者証と手帳の違い」「自立支援医療受給者証の更新」もあわせてご覧ください。
子どもの「通所受給者証」とは?児童発達支援や放課後等デイサービスで使います
通所受給者証とは、障害のある子どもが児童発達支援や放課後等デイサービスなどの障害児通所支援を使うために、市町村が交付する受給者証のことです。こども家庭庁の「障害児通所給付費に係る通所給付決定事務等について」では、保護者が市町村に申請し、有効期間は最長1年間とされています。
「受給者証」で検索すると、療育や放課後等デイサービスの事業所が通所受給者証を説明している記事が多く見つかります。大人の障害福祉サービス受給者証とは根拠となる法律(児童福祉法と障害者総合支援法)が違い、申請するのも本人ではなく保護者です。
ぽちぽちの道は大人の方が通う就労継続支援B型の事業所のため、通所受給者証で利用することはできません。学校を卒業した後などにB型の利用を考えるときは、あらためて障害福祉サービスの支給申請をします。
受給者証はいつもらえる?申請から届くまでの目安
障害福祉サービス受給者証が届くまでの日数は市区町村によって違い、自治体が公表している標準処理期間の例では30日から60日です。相談や計画案づくりの時間も含めると、思い立ってから受給者証を手にするまでは、もう少し長く見ておくと安心です。
標準処理期間とは、申請が役所に届いてから決定までに通常かかる期間として、自治体が定めて公表している目安のことです。介護給付費等(B型などの訓練等給付を含む)の支給決定については、たとえば次のように定められています。
| 自治体 | 標準処理期間 | 出典 |
|---|---|---|
| 栃木県栃木市 | 30日 | 申請に対する処分の審査基準・標準処理期間 個票 |
| 滋賀県大津市 | 60日 | 審査基準整理票(介護給付費等の支給の決定) |
これはあくまで例で、志木市を含め、お住まいの市区町村の期間とは限りません。届くまでの時間が延びやすいのは、次のような場面です。
- 診断書など、申請に必要な書類をそろえるのに時間がかかるとき
- 聞き取り調査や、相談支援専門員との面談の日程が合わないとき
- サービス等利用計画案の提出を待っているとき
- 書類に不足があり、出し直しになったとき
医療費の受給者証は、さらに時間がかかることがあります。埼玉県の案内では、指定難病の受給者証は申請から交付まで概ね2〜3か月で、交付までにかかった自己負担はいったん医療機関に支払い、あとから請求できるとされています。自立支援医療(精神通院)について、志木市の「自立支援医療給付」のページでは、申請をした日以降に適用されると案内されています。
受給者証を待っている間も、通う先の見学はできます。B型は暫定支給決定(試しに使ってから正式に決める仕組み)の対象外なので、申請と並行して事業所を見ておくと、届いてから契約までが進めやすくなります。ぽちぽちの道でも、受給者証が届く前の見学や相談を受け付けています。利用開始までの期間の全体像は「B型の利用開始までどれくらい?」で紹介しています。
大人がB型などで受給者証を使うときの流れ
大人がB型を使うときは、相談、申請、計画案の提出、支給決定を経て受給者証が届き、事業所と契約して通い始めます。届いたあとも、更新や支給量の変更などで受給者証を使う場面が続きます。
- 相談する:市区町村の障害福祉担当窓口か、相談支援事業所に「B型を使いたい」と伝えます
- 通う先の候補を見学する:見学や体験は、申請と並行して進められます
- 申請する:お住まいの市区町村に、申請書と市区町村が求める書類を出します
- 聞き取り調査を受ける:市区町村が、心身の状況や生活の様子、サービスを使いたい理由などを確認します
- サービス等利用計画案を出す:相談支援専門員が作るか、本人や家族がセルフプランとして作ります
- 支給決定・受給者証が届く:支給決定の内容が書かれた受給者証が交付されます
- 事業所と契約する:受給者証を事業所に提示します。事業所は、契約した内容(事業所名・サービス内容・1か月の契約支給量など)を受給者証の欄に記入します
- 通い始めたあとも受給者証を使う:有効期間が切れる前の更新、通う日数を増やしたいときの支給量の変更、就労移行支援などへ移るときのサービスの変更で、受給者証が関わります
手順は厚生労働省「サービスの利用手続き」と事務処理要領をもとにまとめました。要領では、就労継続支援の有効期間は3年の範囲で市区町村が定め、B型で支給決定時に50歳未満の方は1年が上限とされています。B型などサービスごとの対象者は、厚生労働省「障害福祉サービスの内容」に載っています。
それぞれの手順の詳しい進め方は、次の記事で紹介しています。
- 申請から交付までの流れと対象になる条件は「障害福祉サービス受給者証をもらうには?」
- 見学から利用開始までの全体の手順は「就労継続支援B型の利用までの流れ」
- ホームヘルプなどの介護給付で必要になる区分の仕組みは「障害支援区分とは」
- そろえる書類は「受給者証の申請に必要な書類」
- 1か月に通える日数は「受給者証の支給量とは」
- 期限前の手続きは「障害福祉サービス受給者証の更新」
- サービスを切り替えるときは「就労移行・A型・B型で受給者証は同じ?」
- 住んでいる市以外の事業所に通うときは「住んでいる市以外のB型事業所と受給者証」
見学・申請の前に確認したいポイント
申請を考え始めたら、使いたいサービス・手元の書類・相談先を先に確かめておくと、窓口での相談が進めやすくなります。
- 使いたいサービスの種類(B型・就労移行支援など)がおおよそ決まっているか
- 計画案を相談支援専門員に頼むか、自分や家族で作るか
- 手帳、自立支援医療受給者証、診断書など、手元にある書類
- 手元の受給者証がある場合は、どの種類の受給者証か、有効期間はいつまでか
- 申請から交付までの見込みを、窓口でたずねたか
- 気になる事業所の見学を、申請と並行して進めるか
通う先のイメージがあると、計画案の中身を相談支援専門員と話し合いやすくなります。
志木市の場合(窓口・手続きの入口)
志木市にお住まいの方の障害福祉の相談先は、市役所福祉部の共生社会推進課です。市の公式サイトの「共生社会推進課」のページでは、連絡先として次の3つのグループが案内されています。
| グループ | 電話 |
|---|---|
| 障がい者福祉グループ | 048-473-1449 |
| 障がい者支給グループ | 048-456-5363 |
| 共生社会推進グループ | 048-456-5364 |
所在地は埼玉県志木市中宗岡1丁目1番1号と案内されています。担当は相談内容で違うため、はじめに「障害福祉サービスの受給者証について相談したい」と伝えてください。
市は、障がいのある人向けの制度をまとめた冊子「障がい福祉制度のてびき」(令和8年度改定版)を公開しています。市の「サービス等利用計画」のページでは、計画作成に利用者の費用負担はなく、本人や家族が作るセルフプランも可能と案内されています。
朝霞市・新座市・富士見市・和光市など近隣にお住まいの方は、それぞれの市の障害福祉担当窓口が申請先になります。窓口の名前や進め方は各市の公式サイトで確認してください。
ぽちぽちの道の場合
受給者証の手続きは、市区町村の窓口と相談支援専門員が中心になって進みます。ぽちぽちの道はB型の事業所で、受給者証の交付や支給決定を行う立場ではありませんが、受給者証が届く前から通い先の候補として見学をお受けしています。
ぽちぽちの道は、東武東上線「志木駅」東口から徒歩2分にある、IT・パソコン作業に特化した就労継続支援B型事業所です。送迎は行っていないため、見学のときに駅からの道のりや通い方を一緒に確認します。
作業内容はパソコン作業が中心です。データ入力、Canvaでの画像・SNS素材づくり、生成AIを使った文章の下書きや調べ物、SNS投稿づくりなどに取り組んでいます。パソコンが苦手な方や未経験の方も歓迎しており、スタッフと生成AIがサポートします。
週1日からの通所も相談できるので、支給量をどのくらいで申請するか迷っている段階でも、通い方のイメージを一緒に考えられます。昼食はお弁当(実費)を用意できます。工賃については見学時にご案内します。
「受給者証のことはまだよく分からないけれど、通う先は見ておきたい」という段階でも大丈夫です。見学やLINEでの相談を受け付けていますので、質問だけでもお送りください。
受給者証についてよくある質問
受給者証とは何ですか?一言で教えてください
受給者証とは、制度を使えると決まった人に役所が交付する証明書です。大人がB型などの障害福祉サービスを使うときは、市区町村が交付する障害福祉サービス受給者証が必要で、サービスの種類・支給量・有効期間などが書かれています。サービスを受けるときは、事業所に受給者証を提示します。
受給者証と障害者手帳の違いは?どちらを先に取ればいいですか?
受給者証は使えるサービスの内容を、障害者手帳は一定の障害があることを証明する書類で、申請も別々です。身体障害の方を除き、手帳がなくても支給決定を受けられる場合があるので、どちらを先にするかに決まった順番はありません。B型を使いたいときは、手帳の有無にかかわらず市区町村の障害福祉の窓口に相談してください。
受給者証はいつもらえますか?申請してから何日くらいで届きますか?
届くまでの日数は市区町村によって違います。自治体が公表している標準処理期間の例では、障害福祉サービスの支給決定は30日から60日です。計画案の準備や書類の不足で長くなることもあるので、申請するときに窓口で見込みをたずねてください。
医療受給者証のもらい方は?B型の受給者証と同じ窓口ですか?
指定難病の医療受給者証は都道府県・指定都市が交付し、埼玉県では住所地を管轄する保健所が申請窓口です。臨床調査個人票(診断書)や課税証明書などを出し、交付までは概ね2〜3か月と案内されています。B型に使う障害福祉サービス受給者証の申請先は市区町村の障害福祉の窓口なので、窓口が違います。
受給者証があれば、どのB型事業所でも選べますか?
支給決定はサービスの種類について決めるもので、特定の事業所を指定するものではないとされています。通う事業所は本人が選んで契約します。ただし定員や受け入れの状況は事業所ごとに違うため、見学で確かめてください。
まとめ
受給者証とは、制度を使えると決まった人に役所が交付する証明書です。大人がB型などに通うときは、市区町村が交付する障害福祉サービス受給者証が必要で、障害者手帳とは別に申請します。届くまでの日数は市区町村によって違い、自治体の標準処理期間の例では30日から60日です。
対象になるかどうかや手続きの細かな判断は、市区町村の窓口や相談支援専門員に確認しながら進めてください。受給者証を待つ間に通う先を考えたい方は、見学やLINEでの相談から始められます。見学だけでも大丈夫です。制度の基本をまとめて確認したい方は「B型事業所の選び方チェックリスト」もあわせてご覧ください。
運営:ぽちぽちの道(株式会社イチドキリ)
どこに相談すればいいか迷ったら
お住まいの地域で相談するには
- 1
- 2
- 3

監修者
田中 眞奈美(サービス管理責任者)
介護職、生活支援員業務、就労移行支援事業所での管理者業務など、介護・福祉業界にて多彩な経験を持つ福祉のプロフェッショナル。ぽちぽちの道では、サービス管理責任者として個別支援計画の策定および支援全体のマネジメントを担う。

執筆者
徳永 崇志(職業指導員・株式会社イチドキリ 代表取締役)
岡山大学教育学部出身。株式会社日立システムズでエンジニアとしてキャリアをスタートし、株式会社リクルートで教育系SaaS「スタディサプリ」の法人営業に従事。その後、複数社で生成AIを活用したプロダクトの事業立ち上げを経験。ぽちぽちの道では、生成AI・ITを活用した生産活動の職業指導を担当。厚生労働省「精神・発達障害者しごとサポーター」講座修了。

