特別支援学校の現場実習からB型へ|先生向け進路支援のポイント

特別支援学校の現場実習からB型へ|先生向け進路支援のポイント

特別支援学校高等部で進路指導を担当している先生、担任の先生に向けた記事です。現場実習の場として福祉施設を考えるときや、卒業後の通い先として就労継続支援B型を候補にするときの段取りを、実習前の打ち合わせ、実習中の記録、実習後の振り返り、卒業前の手続きの4つに分けて整理しました。令和7年10月に始まった就労選択支援を在学中にどう使えるかも、国の通知をもとに確認します。

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目次

現場実習からB型へつなぐ進路支援は「実習前・実習中・実習後・卒業前」の4段階で考えると迷いにくくなります

特別支援学校の現場実習から卒業後のB型利用へつなぐときは、段取りを4つの段階に分け、それぞれ誰と何を決めるかを先に整理すると進めやすくなります。卒業後にB型を使うかどうかは、実習の結果だけでなく、本人の希望や就労選択支援のアセスメント、市区町村の支給決定を経て決まります。

  1. 実習前:実習の目的、作業内容、時間、通所の経路、配慮してほしいことを事業所と打ち合わせる
  2. 実習中:作業の様子、疲れ方、本人の感想を、あとで振り返れる形で記録する
  3. 実習後:本人の言葉で振り返り、事業所からの見立てとあわせて個別の教育支援計画に反映する
  4. 卒業前:就労選択支援の利用時期、受給者証の申請、相談支援事業所との連携を、市区町村の窓口と早めに確認する

本人・保護者向けの進路の考え方は「支援学校・特別支援学校からB型への進路」にまとめています。

特別支援学校の現場実習とは?学習指導要領と就労選択支援での位置づけ

現場実習とは、特別支援学校の生徒が企業や福祉施設などの実際の職場で作業を体験し、卒業後の進路に必要なことを学ぶ教育活動のことです。 学習指導要領では「産業現場等における実習」と書かれています。

文部科学省の「特別支援学校高等部学習指導要領」(平成31年2月告示)の総則は、産業現場等における長期間の実習を取り入れるなど、就業体験活動の機会を積極的に設けるよう配慮することとしています。あわせて、卒業後の進路先と円滑につながるよう、企業や福祉施設等と連携すること、進路指導では福祉・労働などの関係機関と十分に連携すること、関係機関と連携して個別の教育支援計画を作成することも示しています。知的障害者である生徒に対する教育を行う特別支援学校の教科「職業」には、「産業現場等における実習」が内容の一つとして挙げられ、実習での自分の成長について考えたことを表現できるよう指導するとされています。

なお、学習指導要領や解説で確認できる表現は「福祉施設等」までで、「就労継続支援B型事業所での実習」と名指しした記載は見当たりません。実習の期間や学年、回数も学校の計画ごとに異なります。

就労選択支援とは、就労移行支援や就労継続支援を使うか、一般の企業で働くかを本人が適切に選べるよう、短期間の作業などを通じて適性や希望、必要な配慮を整理する障害福祉サービスのことです。 令和7年10月1日に始まりました。令和7年10月からは、B型を新しく使う場合、原則として就労選択支援を先に利用することになっています。ただし、50歳に達している人、障害基礎年金1級を受給している人など例外があり、近くに就労選択支援事業者がない場合などには、就労移行支援事業所などによる就労アセスメントを経る方法も認められています。制度の全体は「就労選択支援とは?」、従来の方法は「就労アセスメントとは?」で解説しています。

特別支援学校の生徒の扱いは、文部科学省・厚生労働省の連名通知「特別支援学校等における就労選択支援の取扱いについて」(令和7年5月15日)にまとめられています。現場実習と就労選択支援の違いを表にしました。

比べる点学校の現場実習就労選択支援
根拠学習指導要領(教育課程)障害者総合支援法(障害福祉サービス)
目的働く場を体験し、卒業後の進路に必要なことを学ぶ本人の希望・適性・必要な配慮を整理し、進路の選択を支える
期間学校の計画による支給決定期間は原則1か月。作業場面のアセスメントは2週間程度(5日程度も可)
在学中の利用教育課程に沿って実施高等部1年次から利用でき、在学中に複数回も可能
手続き学校と実習先の調整市区町村への申請と支給決定が必要

連名通知によると、15歳以上18歳未満の生徒が就労選択支援を使う場合は、児童相談所長が障害福祉サービスを受けることが適当と認め、市町村長に通知することが必要です。年齢の考え方は「B型事業所は何歳から使える?」もあわせてご覧ください。

実習前・実習中・実習後・卒業前に先生が確認したいポイント

先生が段取りで押さえたいのは、実習を「体験して終わり」にせず、記録と振り返りを卒業後の手続きや就労選択支援の場面で使える形に残すことです。

実習前は、事業所と目的と配慮事項をすり合わせる

福祉施設での実習を考えるときは、実習の目的を学校側で言葉にしてから事業所に相談すると、受け入れ側も作業を選びやすくなります。

  • [ ] 実習の目的(作業の体験、通所の練習、卒業後の候補の確認など)を学校と本人で決めている
  • [ ] 体験する作業の内容と、1日の時間・日数を事業所と確認している
  • [ ] 自宅や学校から事業所までの経路と、本人がひとりで通えるかを確かめている
  • [ ] 配慮してほしいことを、本人・保護者の同意を得たうえで必要な範囲で伝えている
  • [ ] 体調不良や遅刻のときの連絡先と連絡の順番を決めている
  • [ ] 実習中の記録の様式と、事業所に書いてほしい観点を共有している
  • [ ] 実習の受け入れ方や手続きの扱いを、学校の計画と、必要に応じて市区町村の窓口に確認している

在学中の実習で福祉施設を使うことが障害福祉サービスの利用にあたるかどうかなど、制度上の扱いはこの記事では判断していません。学校の管理職や市区町村の障害福祉担当窓口に確認してから進めてください。

実習中は、作業と生活の両面を記録する

実習中の記録は、作業ができたかどうかだけでなく、通所や疲れ方、人との関わりまで残しておくと、卒業後の通い先を考える材料になります。

観点記録しておきたいことの例
作業取り組んだ作業、手順の覚え方、集中が続いた時間
時間と体力何時ごろ疲れが出たか、休憩の取り方、翌日の様子
通所経路で困ったこと、到着時刻、雨の日の様子
人との関わり質問や報告ができたか、困ったときに誰に伝えたか
本人の感想楽しかったこと、苦手だったこと、また来たいと思ったか

教科「職業」で示されている「実習での自分の成長について考えたことを表現する」学習につなげるなら、本人の感想の欄は本人の言葉のまま残しておくのがおすすめです。

実習後は、本人の言葉と事業所の見立てを個別の教育支援計画に反映する

実習後の振り返りでは、本人がどう感じたかを先に聞き、そのあとで事業所からの見立てを重ねると、本人の希望を中心にした進路の話し合いになります。学習指導要領の解説では、進路先である企業や福祉施設等に在学中の支援の目的や教育的支援の内容を伝え、切れ目のない支援に生かすことが示されています。振り返りの内容を個別の教育支援計画に書き込んでおくと、卒業前の引き継ぎに使えます。

連名通知では、学校の実習の場面に就労選択支援事業者が出向いて作業を観察する方法も示されており、そのときは本人・保護者の同意を得たうえで個別の教育支援計画を共有するなどの協力が学校に求められています(くわしくはよくある質問で説明します)。

卒業前は、手続きの時期を市区町村と相談支援事業所に確認する

卒業後すぐにB型へ通いたい場合は、在学中から就労選択支援の利用時期と受給者証の申請の流れを確認しておく必要があります。連名通知によると、就労選択支援の利用時期に決まりはありませんが、夏休みなどに希望が集中して受け入れが難しくなることも考えられるため、自治体・教育委員会・学校が連携体制をつくるよう求められています。

  • 就労選択支援:生徒が利用を希望したら、自治体や相談支援事業者を案内する(連名通知で学校に依頼されている役割)
  • 受給者証:障害福祉サービスを使うための受給者証は市区町村に申請する。流れは「障害福祉サービス受給者証をもらうには?」、受給者証そのものは「受給者証とは?」で解説
  • 相談支援事業所:利用計画づくりや事業所との調整を担う相談支援専門員と、在学中からつながっておく

相談支援専門員の立場からB型を紹介するときの観点は「相談支援員の方へ|B型事業所を紹介するとき」にまとめています。

志木市にお住まいの生徒の場合、障害福祉の窓口は市役所福祉部の共生社会推進課で、問い合わせ先は障がい者福祉グループ(048-473-1449)、所在地は志木市中宗岡1丁目1番1号です(課のページ「共生社会推進課」)。市のページ「就労継続支援B型事業所の新規利用に伴うアセスメントの実施について」は2022年9月12日の更新で、就労選択支援についての記載がありません。現在のB型の新規利用の流れは、障がい者福祉グループに確認してください。

実習や進路の候補としてB型の様子を先に見ておきたいときは、見学・相談のお問い合わせから、先生からのご相談も受け付けています。

ぽちぽちの道の場合(進路担当の先生からの見学・相談の受け方)

進路担当や担任の先生から、卒業後の通い先の候補としての見学のご相談を受け付けています。実習の受け入れについては、学校の計画や生徒の状況によって必要な調整が変わるため、個別にご相談ください。ぽちぽちの道は就労継続支援B型の事業所で、就労選択支援の利用先や手続きについては、お住まいの市区町村の窓口や相談支援専門員にご確認をお願いします。

ぽちぽちの道は、東武東上線「志木駅」東口から徒歩2分にある、IT・パソコン作業に特化したB型事業所です。送迎は行っていませんが、駅から近いため、電車で通う練習の経路を組み立てやすい立地です。作業内容は、データ入力、Canvaでの画像づくり、生成AIを使った文章・調査・画像づくり、SNS投稿づくりなどが中心で、パソコンが苦手な方や未経験の方も歓迎しています。学校でコンピュータなどの情報機器に触れてきた生徒が、卒業後にパソコン作業を続けたいと考えるときの候補の一つになります。

先生からご相談いただいた場合の、一般的な流れは次のとおりです。

  1. お問い合わせ:お問い合わせフォームかLINEで、見学のご希望をお知らせください
  2. 日程の調整:生徒の授業や体調に合わせて日程を決めます。先生や保護者の同行は、見学のご相談時に調整します
  3. 見学:実際の作業の様子を生徒に見てもらい、興味があれば体験を検討します
  4. 実習や体験の相談:実習の受け入れや体験の進め方は、学校の計画をうかがったうえで個別にご相談します
  5. 卒業後の手続きの確認:就労選択支援や受給者証の申請は、市区町村の窓口と相談支援専門員とともに進めていただきます

週1日からの通所もご相談いただけるので、卒業直後は少ない日数から始めたい生徒にも合わせやすくなっています。昼食はお弁当(実費)を用意でき、工賃は見学のときにご案内します。見学と体験の違いは「B型の体験利用とは?」、始め方は「ぽちぽちの道で見学・体験を始めるには」、体験で見る観点は「B型の体験で何を見極める?支援者向けの観察ポイント」をご覧ください。

特別支援学校の現場実習とB型への進路支援についてよくある質問

Q. 特別支援学校の現場実習先として、B型事業所を検討してもいいですか?
A. 学習指導要領は、卒業後の進路先との接続のために企業や福祉施設等と連携することを示しており、実習先の選び方は学校の計画によります。ただし、B型事業所を名指しした記載はなく、在学中の実習が障害福祉サービスの利用にあたるかなどの扱いは、この記事では判断していません。受け入れの可否とあわせて、事業所と市区町村の窓口に確認してください。

Q. 高等部1年生の生徒でも、在学中に就労選択支援を利用できますか?
A. はい、連名通知では、特別支援学校高等部などの生徒は1年次から利用でき、在学中に複数回利用することもできるとされています。15歳以上18歳未満の生徒の場合は、児童相談所長が適当と認めて市町村長に通知することが必要です。利用の手続きは市区町村の窓口で確認してください。

Q. 現場実習の場面を、就労選択支援のアセスメントに使ってもらうことはできますか?
A. できます。教育課程に位置づけられた校内実習や産業現場等での実習の場面に、就労選択支援事業者が出向いて作業を観察する方法が認められています。この場合、生徒は授業に出席しながら障害福祉サービスを利用する形になり、学校には本人・保護者の同意を得たうえでの情報提供への協力が求められています。

Q. 生徒が授業日に就労選択支援の事業所へ通うと、欠席として記録されますか?
A. 一律には決まっておらず、校長の判断になります。「出席停止・忌引等の日数」に計上することができ、教育課程の目標・内容に沿うことを確認したうえで出席として扱うことも妨げられていません。扱いは学校ごとに確認してください。

Q. 進路担当の先生から、ぽちぽちの道に実習や見学の相談をしてもいいですか?
A. はい、先生からの見学のご相談は、お問い合わせフォームかLINEで受け付けています。実習の受け入れについては、学校の計画や生徒の状況をうかがったうえで個別にご相談ください。就労選択支援や受給者証の手続きは、市区町村の窓口と相談支援専門員にご確認をお願いします。

まとめ

特別支援学校の現場実習からB型へつなぐ進路支援は、実習前・実習中・実習後・卒業前の4段階で整理すると、本人の希望を中心にした段取りを組みやすくなります。B型の新規利用では原則として就労選択支援を先に使い、在学中は高等部1年次から利用できます。制度の個別の扱いは、市区町村の窓口と相談支援専門員に確認してください。

ぽちぽちの道は、志木駅東口から徒歩2分、週1日からの通所も相談できるIT・パソコン作業に特化したB型事業所です。卒業後の候補として一度見ておきたいという段階でも、先生からのご相談だけで大丈夫です。家族・支援者向けの記事は「家族・支援者向けB型ガイド総まとめ」にまとめています。


  • 見学だけでもOK
  • その場で決めなくてOK
  • ご家族・支援者と参加OK

何かを始めたい、新しい一歩を踏み出したい方へ

まずは、見学・相談から
始めてみませんか?

お電話でのご相談もお待ちしております

050-3646-8350

受付時間:月〜土 9:30〜18:30


監修者
田中 眞奈美(サービス管理責任者)
介護職、生活支援員業務、就労移行支援事業所での管理者業務など、介護・福祉業界にて多彩な経験を持つ福祉のプロフェッショナル。ぽちぽちの道では、サービス管理責任者として個別支援計画の策定および支援全体のマネジメントを担う。

執筆者
徳永 崇志(職業指導員・株式会社イチドキリ 代表取締役)
岡山大学教育学部出身。株式会社日立システムズでエンジニアとしてキャリアをスタートし、株式会社リクルートで教育系SaaS「スタディサプリ」の法人営業に従事。その後、複数社で生成AIを活用したプロダクトの事業立ち上げを経験。ぽちぽちの道では、生成AI・ITを活用した生産活動の職業指導を担当。厚生労働省「精神・発達障害者しごとサポーター」講座修了。

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