「B型事業所で生成AIの作業をすると聞いたけれど、怪しい副業のようで心配」。そう感じているご家族に向けた記事です。生成AIの作業が怪しいのかどうかを、AIを口実にしたもうけ話との違い、個人情報、AIの間違い、頼りきりへの心配、仕事がなくなる不安の5つに分けて、国や公的機関の情報をもとに整理しました。ご家族が見学で確かめたいことも紹介します。
生成AIの作業は怪しい?まず結論:B型での作業と「AIで稼げる副業」は仕組みが違います
就労継続支援B型で行う生成AIの作業は、障害福祉サービスの中の生産活動で、「AIで簡単に稼げる」とうたう副業とは仕組みが違います。公的機関が注意を呼びかけているのは、先に高額な契約や借金を求める勧誘です。一方で、個人情報の入力やAIの答えの間違いには、どこで使うときも注意が必要なので、その扱いを見学で確かめると安心につながります。
ご家族が押さえておきたいのは、次の3点です。
- B型は雇用ではない福祉サービス:市区町村の支給決定を受けて通い、作業に応じて工賃を受け取ります。稼ぎ方を買うためにお金を払う仕組みではありません。
- 注意したいのは「簡単に稼げる」勧誘:国民生活センターや消費者庁が注意を呼びかけており、AIが勧誘の口実に使われた事例もあります。
- 個人情報とAIの間違いには国も注意点を示している:個人情報保護委員会が、生成AIの利用について注意を呼びかけています。
「AI」という言葉だけで決めず、お金の流れ、手続きの入口、作業の中身を見ると落ち着いて判断できます。
ご家族が「AIの仕事は怪しい」と感じる5つの不安と、それぞれの考え方
ご家族の不安の多くは、SNSなどで見かける「AI副業」の話と、B型での作業が重なって見えることから生まれます。不安ごとに考え方を整理します。
生成AIとは、やりたいことを文章で伝えると、文章の下書きや調べ物の整理、画像などを作ってくれるツールのことです。
就労継続支援B型とは、雇用契約を結ばずに、生産活動などの機会と、就労に必要な知識や能力を高める訓練を受けられる障害福祉サービスのことです。 厚生労働省「障害福祉サービスの内容」では「就労継続支援B型(非雇用型)」と書かれています。
怪しい副業・情報商材と、B型での生成AIの作業はどこが違う?
見分けるいちばんのポイントは、お金の流れです。国民生活センターは2026年5月20日、副業や投資の名目で次々と借金をさせる手口に注意を呼びかけ、相談事例には「AIで作成した競馬予想ソフト」の代金を借り入れるよう案内されたケースもありました(副業サポートや投資の名目で借金させる業者に注意!)。消費者庁も2025年12月19日、在宅のデータ入力の求人に応募した人が「今時はAIが実施するので、これだけだと稼げない」と言われ、高額なコンサルティング契約を結ばされた事例に注意を呼びかけています(在宅ワークの求人情報をきっかけに、高額なコンサルティング契約をさせる事業者に関する注意喚起)。
| 比べる点 | 注意喚起されている「もうけ話」の例 | B型での生成AIの作業 |
|---|---|---|
| 始まり方 | SNS広告や求人から勧誘される | 市区町村の窓口や相談支援専門員に相談し、支給決定を受けて事業所と契約する |
| お金の流れ | サポート料・コンサル料の支払いや借り入れを求められる | 生産活動の収入から工賃が支払われる。利用者負担には所得に応じた上限のしくみがある |
| うたい文句 | 「簡単に稼げる」「すぐ元が取れる」 | 工賃の額は事業所や作業によって異なる |
| 相手の確かめ方 | 実態が見えにくい | 事業所の情報を公的な検索サイトで調べ、見学できる |
B型の工賃は、国の基準で生産活動の収入から必要な経費を引いた額を支払うことになっており、全国の平均は令和6年度で月額24,141円です(厚生労働省「令和6年度工賃(賃金)の実績について」)。一人ひとりの額とは異なるため、しくみは「B型の工賃とは」をご覧ください。
個人情報は大丈夫?AIに入力する情報の扱いを知っておく
個人情報保護委員会は2023年6月2日に「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」を公表しています。一般の利用者向けには、入力した個人情報がAIの学習に使われ、出力されるおそれがあること、サービスの利用規約やプライバシーポリシーを確認すること、リスクを踏まえて適切に判断することが挙げられています。
入力したら必ず漏れるわけではありませんが、名前や住所、病気のことなどは入れないほうが安心です。具体例は「ChatGPTに入れてはいけない情報とは?」にまとめています。
AIの答えの間違いは?そのまま使わず人が確認する
同じ注意喚起では、生成AIの答えに不正確な内容が含まれることがあるとも説明されています。仕事で使うときは「AIが出した内容を人が確かめてから使う」流れが欠かせません。確かめ方は「AIの答えは間違うこともある」で紹介しています。
AIに頼りきりにならない?「下書きはAI、仕上げは人」で考える
生成AIを使う作業は、AIに全部を任せることではありません。AIが下書きを出し、内容が正しいか、ふさわしい表現かを人が判断して仕上げるので、自分で確かめる場面は残ります。本人の疲れが気になるときは通う日数や作業量を事業所と相談し、心身の不調が続くときは主治医に相談しましょう。
AIに仕事を奪われるのでは?道具として使いこなす経験と考える
AIの広がりで仕事の中身が変わることはありますが、覚えても無駄になると決めつける必要はありません。AIを道具として使い、出てきたものを人が確かめて整える経験は、パソコン作業全般に生きてきます。詳しくは「AIに仕事を奪われる?」をご覧ください。
なお、総務省と経済産業省は、事業でAIを使う側に向けた「AI事業者ガイドライン」(最新は2026年3月31日公表の第1.2版)を出しています。出力の精度やリスクを理解して使うこと、個人情報を不適切に入力しないよう注意することなどを求める指針で、業務外で使う個人は対象外です。事業所にAIの扱いを聞くときの目安になります。
見学・利用の前に確認したいポイント|ご家族が一緒に見ておきたいこと
生成AIの作業が怪しくないかは、見学で「お金」「手続き」「作業の中身」を自分の目で確かめるのが確実です。家族同伴の見学の進め方は「B型の見学は家族と一緒でも大丈夫?」を参考にしてください。
見学のときに確かめたいチェックリストです。
- [ ] 生成AIを使う作業が、実際にどんな手順で行われているか見せてもらえる
- [ ] AIに入力してよい情報と、入れない情報の扱いを説明してもらえる
- [ ] AIが出した内容を、人が確認してから使う流れになっている
- [ ] 教材代やサポート料など、利用者負担以外の高額な支払いを求められない
- [ ] 工賃の決まり方や、前年度の平均工賃を質問できる
- [ ] パソコンやAIが初めてでも、誰がどのように教えてくれるか分かる
逆に、次のような話が出たら、契約やお金の支払いをいったん止めて相談してください。
- 「AIを使えば簡単に稼げる」「すぐに元が取れる」と言われる
- 始めるために、高額なプランやコンサルの契約を勧められる
- お金が足りなければ借りればよい、と借り入れを案内される
- 遠隔操作アプリを入れる、画面を共有するよう求められる
消費者ホットライン「188(いやや!)」に電話すると、最寄りの消費生活センター等を案内してもらえます(国民生活センター「儲け話に関するトラブルにご注意!」)。警察に相談したいときは「#9110」、緊急のときは110番です。ネット詐欺の見分け方は「ネット詐欺・怪しいサイトの見分け方」にまとめています。
B型の事業所は、WAM NET 障害福祉サービス等情報検索で地域ごとに調べられます。利用者負担には所得に応じた上限のしくみがあり、厚生労働省「障害者の利用者負担」で説明されています。実際の負担や利用の手続きは、お住まいの市区町村の窓口や相談支援専門員に確認してください。志木市にお住まいの方の障害福祉の窓口は、市役所福祉部の共生社会推進課で、問い合わせ先は障がい者福祉グループ(048-473-1449)です。課のページは「共生社会推進課」、所在地は志木市中宗岡1丁目1番1号です。
ぽちぽちの道の場合(ご家族と一緒に、生成AIの作業の中身を見てもらう)
AIの作業が安心できるものか、言葉の説明だけでは判断しにくいと感じるご家族は多いはずです。ぽちぽちの道では、見学のときに、ぽちぽちAIを使った作業の様子を実際に見ていただけます。
ぽちぽちの道は、東武東上線「志木駅」東口から徒歩2分にある、IT・パソコン作業に特化した就労継続支援B型事業所です。事業所では生成AIを「ぽちぽちAI」と呼び、作業の相棒として使っています。ぽちぽちAIは文章の下書きや調べ物の整理を手伝う道具で、作業を自動で終わらせるものではありません。AIが下ごしらえをし、内容の確認と仕上げは利用者とスタッフが担います。個人情報や大事な内容を扱うときは、スタッフと相談しながら慎重に進めます。
作業内容は、データ入力、Canvaでの画像づくり、生成AIを使った文章・調査・画像づくり、SNS投稿づくりなどが中心です。パソコンが苦手な方や未経験の方も歓迎しています。作業の種類は「ぽちぽちの道でできる作業内容」、AIとの役割分担は「ぽちぽちAIとは?」で紹介しています。工賃は作業内容や通所日数によって変わるため、見学時にご案内します。週1日からの通所も相談できます。送迎は行っていません。
「本人より先に家族が話を聞きたい」「一緒に作業の画面を見たい」というときも、見学・相談のお問い合わせかLINEからご相談ください。ご家族と一緒の見学も、お問い合わせのときにお知らせいただければ大丈夫です。
生成AIの作業に不安を感じるご家族からよくある質問
Q. B型事業所で生成AIを使う作業は、ネットで見るAI副業の勧誘と何が違うのですか?
A. B型での作業は、市区町村の支給決定を受けて利用する障害福祉サービスの中の生産活動で、先にお金を払って稼ぎ方を買う仕組みではありません。公的機関が注意を呼びかけているのは、「簡単に稼げる」とうたって高額な契約や借り入れを求める勧誘です。
Q. 子どもがB型で生成AIを使うとき、家族の名前や病気のことが入力されないか心配です。
A. 個人情報保護委員会も入力した個人情報の扱いに注意を呼びかけているので、心配になるのは自然なことです。見学のときに、AIに入力してよい情報と入れない情報の扱いを質問してみてください。ぽちぽちの道では、個人情報や大事な内容を扱うときはスタッフと相談しながら慎重に進めます。
Q. 生成AIに作業を任せていると、本人が自分で考えなくなりませんか?
A. 生成AIを使う作業は、AIが下書きを出し、内容が正しいか、ふさわしいかを人が確かめて仕上げる分担が基本です。確かめる工程があるので、自分で判断する場面はなくなりません。疲れや不調が気になるときは、通う日数や作業量を事業所と相談し、体調のことは主治医にも相談してください。
Q. 家族が「AIで稼げる」という勧誘を怪しいと感じたら、どこに相談すればいいですか?
A. 契約やお金の支払いをいったん止め、消費者ホットライン「188」に電話すると、最寄りの消費生活センター等を案内してもらえます。犯罪に当たるか分からないけれど警察に相談したいときは「#9110」、緊急のときは110番です。B型の利用のことなら、市区町村の障害福祉の窓口や相談支援専門員にも相談できます。
Q. ぽちぽちの道の見学では、生成AIに入力する情報の扱いも説明してもらえますか?
A. はい、見学のときにぽちぽちAIを使った作業の画面を見ていただきながら、AIに入力する情報の扱いについてもその場でご質問いただけます。ぽちぽちの道では、個人情報や大事な内容を扱うときはスタッフと相談しながら慎重に進めています。工賃など作業以外の気になる点も、見学時にご案内します。
まとめ
生成AIの作業が怪しいかどうかは、お金の流れ、手続きの入口、作業の中身で判断できます。B型での生成AIの作業は障害福祉サービスの中の生産活動で、「簡単に稼げる」勧誘とは仕組みが違います。個人情報やAIの間違いの扱いは、見学で確かめてください。
ぽちぽちの道は、志木駅東口から徒歩2分、IT・パソコン作業に特化したB型事業所です。気になったら、ご家族だけのご相談や、本人と一緒の見学からでも大丈夫です。家族・支援者向けの記事は「家族・支援者向けB型ガイド総まとめ」に、生成AIを仕事で使う基本は「生成AIを仕事に使うってどういうこと?」にまとめています。
- 見学だけでもOK
- その場で決めなくてOK
- ご家族・支援者と参加OK
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始めてみませんか?

監修者
田中 眞奈美(サービス管理責任者)
介護職、生活支援員業務、就労移行支援事業所での管理者業務など、介護・福祉業界にて多彩な経験を持つ福祉のプロフェッショナル。ぽちぽちの道では、サービス管理責任者として個別支援計画の策定および支援全体のマネジメントを担う。

執筆者
徳永 崇志(職業指導員・株式会社イチドキリ 代表取締役)
岡山大学教育学部出身。株式会社日立システムズでエンジニアとしてキャリアをスタートし、株式会社リクルートで教育系SaaS「スタディサプリ」の法人営業に従事。その後、複数社で生成AIを活用したプロダクトの事業立ち上げを経験。ぽちぽちの道では、生成AI・ITを活用した生産活動の職業指導を担当。厚生労働省「精神・発達障害者しごとサポーター」講座修了。

