精神障害の障害年金|対象になる病気・等級の目安・申請の流れ

精神障害の障害年金|対象になる病気・等級の目安・申請の流れ

「うつ病や統合失調症でも障害年金の対象になるの?」「等級はどうやって決まるの?」と迷っている本人・ご家族の方へ。この記事では、精神の障害で障害年金を考えるときに押さえておきたい、対象になる病気の区分、等級の目安の考え方、請求の流れを、日本年金機構が公開している障害認定基準とガイドラインをもとに整理します。条件や金額などの詳しい内容は、知りたいこと別の早見表から個別の記事へ進めます。

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目次

精神の障害も障害年金の対象で、等級は病名ではなく日常生活の状況から総合的に判断されます

障害年金は、手足などの障害だけでなく、精神の障害も対象になっています。ただし、病名だけで対象かどうかや等級が決まるわけではありません。障害認定基準では、原因、症状、治療と経過、具体的な日常生活の状況などから総合的に認定するとされています。

まず押さえておきたいのは、次の3点です。

  • 対象になる病気:障害認定基準の「精神の障害」は、統合失調症、気分(感情)障害、器質性精神障害、てんかん、知的障害、発達障害の区分で認定される
  • 等級の目安:てんかんを除く精神の障害は、「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」の目安を参考にしながら、診断書の内容を総合的に評価して等級が判定される
  • 受給の条件:初診日の要件、障害の状態、保険料の納付要件の3つを満たしているかで審査される(手帳の有無は要件に入っていない)

受け取れるかどうか、何級になるかは個別の審査で決まります。

知りたいこと別の早見表(精神の障害年金)

詳しい内容は個別の記事にまとめています。気になる項目から読み進めてください。

知りたいこと読む記事
受給の条件(初診日・納付要件)障害年金がもらえる条件
年金額(令和8年度)障害年金の金額
受けるときの注意点障害年金のデメリット
うつ病の場合うつ病と障害年金
発達障害の場合発達障害と障害年金
3級の場合障害年金3級
振り込まれる日障害年金の支給日
いつまで受け取れるか障害年金はいつまで
生活保護との関係障害年金と生活保護
自分で請求する手順・書類障害年金の申請を自分でする方法
基礎年金と厚生年金の違い障害基礎年金と障害厚生年金の違い
年金の更新と働くこと障害年金の更新と就労
B型に通いながら受けられるか障害年金とB型の両立
工賃と年金で暮らせるか工賃と障害年金だけで生活できる?
年金に上乗せされる給付金年金生活者支援給付金とは
障害者手帳との関係障害者手帳と障害年金の関係

障害年金の対象になる精神の病気(障害認定基準の6つの区分)

障害年金とは、病気やけがで生活や仕事などが制限されるようになったときに、現役世代の人も受け取れる可能性がある公的年金です。初診日に国民年金に加入していた場合は障害基礎年金、厚生年金に加入していた場合は障害厚生年金の請求になります(日本年金機構「障害年金」)。

精神の障害は、日本年金機構が公開している「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」の「第8節 精神の障害」で、次の6つに区分して認定されます。

区分認定基準に書かれている考え方の例
統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害発病時からの療養と症状の経過を十分に考慮する
気分(感情)障害現在の症状だけでなく、症状の経過と日常生活の状態を考慮する
症状性を含む器質性精神障害高次脳機能障害や、アルコール・薬物などの使用による精神の障害も含む
てんかん発作の重症度や頻度で判定する(等級判定ガイドラインの対象外)
知的障害知能指数だけでなく、日常生活での援助の必要度から総合的に判断する
発達障害知能指数が高くても、対人関係や意思疎通の障害で日常生活に著しい制限があることに着目する

日本年金機構の「障害年金ガイド 令和8年度版」では、精神障害の例として統合失調症、双極性障害、認知障害、てんかん、知的障害、発達障害などが挙げられています。認定基準に書かれているのは区分の名前で、「うつ病」などの個別の病名は出てきません。自分の病名がどの区分で見られるかは、主治医や年金事務所に確認してください。

人格障害と神経症は「原則として」対象外とされています

障害認定基準では、人格障害は原則として認定の対象にならないとされています。神経症も、症状が長く続き一見重症であっても、原則として認定の対象になりません。ただし神経症であっても、臨床症状から判断して精神病の病態を示しているものは、統合失調症または気分(感情)障害に準じて扱うとされています。

認定の対象となる精神疾患が2つ以上あるときも、併合(加重)認定は行わず、症状を総合的に判断して認定されます。

等級の目安は「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」を参考に総合評価されます

精神の障害年金の等級は、「この病名なら何級」という形では決まりません。認定基準の等級の考え方と、ガイドラインの目安をもとに、診断書などの内容から総合的に判定されます。

等級認定基準(精神の障害)の書き方対象になる年金
1級日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度障害基礎年金・障害厚生年金
2級日常生活が著しい制限を受けるか、著しい制限を加えることを必要とする程度障害基礎年金・障害厚生年金
3級労働が著しい制限を受けるか、著しい制限を加えることを必要とする程度など障害厚生年金のみ

ガイドラインの「障害等級の目安」のしくみ

日本年金機構「『国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定ガイドライン』等」によると、精神障害と知的障害の認定に地域による傾向の違いが確認されたため、厚生労働省がガイドラインを策定し、平成28年9月1日から実施されています。

目安表は、精神の障害用の診断書にある「日常生活能力の判定」(4段階の評価を軽いほうから1〜4の数値にして平均)と「日常生活能力の程度」((1)〜(5)の5段階)を組み合わせたものです。たとえば判定の平均が3.0以上3.5未満で程度が(4)なら「2級」、平均が2.0以上2.5未満で程度が(3)なら「2級又は3級」が目安とされています。障害基礎年金では、表の「3級」を「2級非該当」と読み替えます。

目安はあくまで参考で、最後は総合評価です

ガイドラインでは、目安を参考にしつつ、現在の病状や状態像、療養状況、生活環境、就労状況、その他の要素を考え、認定医が専門的な判断にもとづいて総合的に判定するとされています。目安と異なる等級になることもあり得ると明記されています。

働いている人について、認定基準は働いていることだけで日常生活能力が向上したとは捉えず、仕事の内容や受けている援助などを確認して判断するとしています。ガイドラインでは、就労継続支援A型・B型や障害者雇用制度による就労について「1級または2級の可能性を検討する」と例示されていますが、B型に通っていれば等級が決まるという意味ではありません。働き方との関係は「障害年金とB型の両立」と「障害年金の更新と就労」で紹介しています。

なお、障害年金の等級と障害者手帳の等級は判断の基準が別で、一致するとは限りません(「障害者手帳と障害年金の関係」)。

受給の条件と金額の要点(詳しくは個別の記事へ)

障害年金の審査では、次の3つを満たしているかが見られます。日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」(2026年4月1日更新)をもとに要点をまとめます。

  1. 初診日の要件:初診日が、国民年金の加入期間中や20歳前など、決められた期間にあること
  2. 障害の状態:障害認定日などに、障害等級の1級または2級に当てはまること(障害厚生年金は1級から3級)
  3. 保険料の納付要件:初診日の前日時点で、保険料を納めた期間と免除された期間が一定以上あること

初診日とは、障害の原因になった病気やけがで初めて医師の診療を受けた日(病院を変えた場合もいちばん初めの受診日)です。障害認定日は、原則として初診日から1年6か月を過ぎた日です。納付要件の細かい条件や特例、20歳前に初診日がある場合の扱いは「障害年金がもらえる条件」で説明しています。

金額は、令和8年4月分からの障害基礎年金が、昭和31年4月2日以後生まれの方で1級年1,059,125円、2級年847,300円です(昭和31年4月1日以前生まれの方は1級年1,056,125円、2級年844,900円。子の加算額あり)。障害厚生年金は報酬比例の年金額をもとに計算するため人によって違い、3級には最低保障額(昭和31年4月2日以後生まれの方で年635,500円)があります(日本年金機構「障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額」)。金額は毎年度改定されます。詳しくは「障害年金の金額」で確認してください。

精神の障害年金の請求の流れ(要点)

請求は、初診日の確認から始まり、書類をそろえて窓口に提出する流れです。手順と書類の詳細は「障害年金の申請を自分でする方法」にまとめています。

  1. 初診日を確認する:最初に受診した医療機関と日付を確かめる
  2. 窓口で相談する:年金事務所や市区町村の窓口で、加入していた制度と保険料の納付状況を確認する
  3. 書類をそろえる:日本年金機構「障害基礎年金を受けられるとき」では、年金請求書、医師の診断書(所定の様式)、受診状況等証明書、病歴・就労状況等申立書などが案内されている
  4. 提出する:障害基礎年金は住所地の市区町村役場(初診日が第3号被保険者期間中は年金事務所など)、障害厚生年金は年金事務所または街角の年金相談センター
  5. 結果を待つ:障害年金ガイドでは、請求書の提出から3か月程度で年金証書などが届くことが目安として示されている(審査に時間がかかる場合もある)

請求には「障害認定日による請求」(さかのぼって受け取れるのは時効により5年分が限度)と、後から症状が重くなったときの「事後重症による請求」(請求日の翌月分から・65歳の誕生日の前々日まで)があります。

精神の障害年金が「難しい」と言われることがある理由

公的な資料から見ると、つまずきやすい点は主に次の3つです。

  • 初診日の証明:通院歴が長いと、最初の医療機関の受診状況等証明書をそろえにくいことがある
  • 書類の中身:等級の目安に診断書の日常生活能力の評価が使われるため、普段の生活の様子が主治医に伝わっているかが大切になる
  • 判断の考え方:病名で決まらず、症状の波や生活の状況、受けている援助まで含めて総合的に判断される

請求を考え始めたときに確認したいポイント

相談の前に、次の点をメモしておくと話が進みやすくなります。

  • 障害の原因になった病気で、初めて受診した医療機関と日付
  • 初診日に加入していた年金制度(国民年金か厚生年金か)
  • 保険料の未納がないか(年金事務所で確認できる)
  • 日常生活で困っていること(主治医に伝えるためのメモ)
  • 通所先や職場で受けている援助や配慮の内容

年金の一般的な問い合わせは、日本年金機構の「ねんきんダイヤル」0570-05-1165(通話料がかかります)でも受け付けています。受け取れるかどうかや等級の見込みは年金事務所や社会保険労務士に、病状や診断書のことは主治医に相談してください。日中の過ごし方も含めて話したい方は、LINEでの相談も受け付けています。

志木市の場合(年金の相談窓口)

志木市にお住まいの方は、国民年金(障害基礎年金を含む)の請求や相談は保険年金課が入口です。障害者手帳など障害福祉の手続きは、福祉部 共生社会推進課で窓口が別です。

  • 国民年金・障害基礎年金:志木市「保険年金課」の国民年金グループ(電話048-456-5360)の業務に、国民年金受給権者の裁定請求と国民年金等の相談が挙げられています
  • 社会保険労務士による年金相談:志木市「志木市での年金相談」(2023年11月30日更新)では、市役所保険年金課の相談室で、社会保険労務士が障害年金を含む年金の相談を受ける日が案内されています。毎週木曜日(祝日を除く)の午後1時から5時までの予約制で、障害年金の初回相談は通常2時間です。障害年金の相談は電話で予約するよう案内されています
  • 年金事務所:日本年金機構「埼玉県内の年金事務所管轄区域」では、志木市は「川越年金事務所」の管轄です
  • 障害福祉の窓口:志木市「共生社会推進課」(障がい者福祉グループ 048-473-1449)

市役所の所在地は埼玉県志木市中宗岡1丁目1番1号です。相談日や受付方法は変わることがあるため、事前に確認してください。朝霞市・新座市・富士見市・和光市など近隣の方は、各市の公式サイトで担当窓口を確認してください。

ぽちぽちの道の場合

年金の請求を考え始めると、「日中はどう過ごそう」「年金と工賃で暮らしていけるかな」と、その先も気になってきます。年金を受けながらB型で少しずつ働く暮らし方は「工賃と障害年金だけで生活できる?」で整理しています。

ぽちぽちの道では、障害年金の受給の見込みや等級は判断できません。監修の田中はサービス管理責任者で年金の専門家ではないため、年金の個別判断は年金事務所・社会保険労務士へ相談してください。お手伝いできるのは、B型の利用や日中の過ごし方の相談です。

ぽちぽちの道は、東武東上線「志木駅」東口から徒歩2分にある、IT・パソコン作業に特化したB型事業所です。送迎は行っていないため、見学のときに通い方を一緒に確認します。作業内容はパソコン作業が中心で、データ入力、Canvaでの画像・SNS素材づくり、生成AIを使った文章の下書きや調べ物などに取り組んでいます。パソコンが苦手な方や未経験の方も歓迎しており、体調に合わせて週1日からの通所も相談できます。工賃は見学時にご案内します。B型の利用に必要な受給者証については「受給者証とは」をご覧ください。

精神の障害年金についてよくある質問

Q. 精神障害の障害年金は、どんな病気が対象になりますか?
A. 障害認定基準では、統合失調症、気分(感情)障害、症状性を含む器質性精神障害、てんかん、知的障害、発達障害の区分で認定されます。認定基準に書かれているのは区分の名前で、個別の病名がどう扱われるかは診断書の内容などで判断されます。自分の病名が当てはまるかは、主治医や年金事務所に確認してください。

Q. 精神の障害年金の等級は、診断名だけで決まりますか?
A. 診断名だけでは決まりません。障害認定基準では、原因、症状、治療と経過、具体的な日常生活の状況などから総合的に認定するとされています。等級判定ガイドラインの目安も、診断書の日常生活能力の評価をもとにした参考の位置づけです。

Q. 障害年金の「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」とは何ですか?
A. 精神障害と知的障害の認定に地域差があったことを受けて厚生労働省が策定し、平成28年9月1日から実施されている等級判定の指針です。診断書の「日常生活能力の判定」の平均と「日常生活能力の程度」を組み合わせた目安表があります。目安と異なる等級になることもあり、最終的には総合評価で判定されます。

Q. 人格障害や神経症は、精神の障害年金の対象になりますか?
A. 障害認定基準では、人格障害も神経症も原則として認定の対象にならないとされています。ただし神経症でも、臨床症状から精神病の病態を示しているものは、統合失調症または気分(感情)障害に準じて扱うとされています。個別の見込みは年金事務所や社会保険労務士に相談してください。

Q. 精神の病気で障害年金を請求したいとき、志木市ではどこに相談できますか?
A. 障害基礎年金の請求や相談は、市役所の保険年金課 国民年金グループ(048-456-5360)が窓口です。市役所では社会保険労務士による年金相談も予約制で案内されており、障害年金の相談は電話で予約するよう書かれています。志木市を管轄する年金事務所は川越年金事務所です。

まとめ

精神の障害も障害年金の対象で、等級は日常生活の状況などから総合的に判定され、病名だけで決まることはありません。受け取れるかどうかの見込みは、年金事務所や社会保険労務士に相談してください。

年金のことを考えながら、日中の過ごし方やB型の利用も気になり始めたら、LINEでの相談や見学から始められます。質問だけでも大丈夫です。お金と制度をまとめて確認したい方は「障害のある方のお金と制度まとめ」もあわせてご覧ください。

運営:ぽちぽちの道(株式会社イチドキリ)


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監修者
田中 眞奈美(サービス管理責任者)
介護職、生活支援員業務、就労移行支援事業所での管理者業務など、介護・福祉業界にて多彩な経験を持つ福祉のプロフェッショナル。ぽちぽちの道では、サービス管理責任者として個別支援計画の策定および支援全体のマネジメントを担う。

執筆者
徳永 崇志(職業指導員・株式会社イチドキリ 代表取締役)
岡山大学教育学部出身。株式会社日立システムズでエンジニアとしてキャリアをスタートし、株式会社リクルートで教育系SaaS「スタディサプリ」の法人営業に従事。その後、複数社で生成AIを活用したプロダクトの事業立ち上げを経験。ぽちぽちの道では、生成AI・ITを活用した生産活動の職業指導を担当。厚生労働省「精神・発達障害者しごとサポーター」講座修了。

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