障害年金と生活保護は両方もらえる?併給の仕組みと返還

障害年金と生活保護は両方もらえる?併給の仕組みと返還

「生活保護を受けていても障害年金を請求していいの?」「さかのぼって受け取った年金は返すの?」と不安な本人・ご家族の方へ。この記事では、年金が収入として扱われるしくみ、障害者加算、さかのぼって受け取った年金の返還(生活保護法第63条)を、条文と厚生労働省の資料で整理し、志木市の相談窓口も紹介します。

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目次

障害年金と生活保護は同時に受けるしくみがありますが、年金の分は保護費から差し引かれます

障害年金を受けながら生活保護を受けることは、制度上想定されています。ただし、生活保護は年金などほかの制度を先に使うことが前提で、受け取った障害年金は収入として扱われます。2つの金額がそのまま足されるわけではありません。

まず押さえておきたいのは、次の3点です。

  • 年金は収入として認定される:国の基準で計算した最低生活費から、年金や就労収入などを差し引いた額が保護費になる
  • 障害者加算の対象になる場合がある:障害年金の1級・2級に当たる障害などがあると、最低生活費に障害者加算が上乗せされることがある
  • まとめて受け取った年金は返還を求められることがある:過去の分をさかのぼって受け取ったときは、生活保護法第63条にもとづき、福祉事務所が定める額の返還を求められる場合がある

年金を受けられるかどうかは日本年金機構の審査で、保護費がいくらになるかは福祉事務所の判断で決まります。

生活保護では年金を先に使うのが原則で、年金は収入として扱われます

生活保護の「補足性」とは、利用できる資産や能力、ほかの制度などを活用しても足りない分を、生活保護で補うという考え方です。生活保護法第4条は、ほかの法律による給付は生活保護より優先すると定める一方、急迫した事由がある場合に必要な保護を行うことは妨げないとしています。

厚生労働省「生活保護制度」では、年金や手当など他の制度で給付を受けられる場合はまずそれらを活用するよう案内し、最低生活費から収入(年金や就労収入等)を引いた額を保護費として毎月支給するとしています。

年金を受け取ると、その分だけ保護費が減るしくみです

厚生労働省の次官通知「生活保護法による保護の実施要領について」では、恩給や年金などの公の給付は、その実際の受給額を認定することとされています。

たとえば令和8年4月分からの障害基礎年金2級は、昭和31年4月2日以後生まれの方で年847,300円(昭和31年4月1日以前生まれの方は年844,900円)です(日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」)。年額を12で割った目安は月約70,600円ですが、この額は保護費に上乗せされず、収入として計算に入ります。等級ごとの金額は「障害年金の金額」、工賃のような働いて得た収入の扱いは「生活保護を受けながらB型に通えるのか」で紹介しています。

障害年金の1級・2級に当たる障害は、障害者加算の対象になることがあります

障害者加算とは、障害のある人の生活に必要な費用を考えて、最低生活費に上乗せされる加算です。厚生労働省の告示「生活保護法による保護の基準」では、対象を次の2つに分けています。

  • :身体障害者手帳の1級・2級、または国民年金法施行令の別表に定める1級に当たる障害がある人
  • :身体障害者手帳の3級、または同じ別表に定める2級に当たる障害がある人(①を除く)

どちらも、症状が固定しているか、初めて医師の診療を受けてから1年6か月を過ぎていることが条件です。告示の文言に障害厚生年金の3級や精神障害者保健福祉手帳は出てこないため、これらの場合の扱いは福祉事務所に確認してください。

加算の月額は、厚生労働省「生活保護制度における生活扶助基準額の算出方法(令和8年4月)」で、在宅の場合は次のとおりです。

区分(在宅・令和8年4月)1級地2級地3級地
① 身体障害者手帳1・2級、障害年金1級の等級表に当たる者等27,460円25,540円23,620円
② 身体障害者手帳3級、障害年金2級の等級表に当たる者等18,300円17,020円15,750円

入院中や施設に入所している場合は金額が異なります。住んでいる地域の級地は、厚生労働省「生活保護制度」のページの級地一覧や福祉事務所で確認できます。

保護課長通知「生活保護法による保護における障害者加算等の認定について」では、加算の認定は年金の裁定をまって行うべきものではないとされています。年金の決定が届いたら、福祉事務所に伝えてください。

さかのぼって受け取った障害年金は、第63条で返還を求められることがあります

生活保護を受けていた期間の障害年金をあとからまとめて受け取ると、支給済みの保護費との関係で、返還を求められることがあります。障害年金は障害認定日による請求で過去の分を受け取れる場合があり、日本年金機構は、さかのぼれるのは時効により5年分が限度と案内しています。

生活保護法第63条(費用返還義務)は、急迫の場合などで資力があるのに保護を受けたときは、受けた保護金品に相当する金額の範囲内で、保護の実施機関が定める額を返還しなければならないと定めています。

保護課長通知「生活保護費の費用返還及び費用徴収決定の取扱いについて」では、第63条は、すぐには生活に使えなかった資力が使えるようになった段階で支給済みの保護費と調整する規定とされ、不正受給の費用徴収(第78条)とは区別されています。年金の請求や年金証書が届いたことは、早めにケースワーカーへ伝えてください。

どの期間の保護費が返還の対象になるかを障害年金について示した厚生労働省の公開資料は、今回確認した範囲では見つかりませんでした。受け取ったお金を使う前に、福祉事務所で確認してください。

「返還免除」は第63条の正式な呼び方ではありません

生活保護法で「返還の免除」という見出しがついているのは第80条で、保護の変更や廃止などに伴い、前渡しした保護金品を使ってしまったことにやむを得ない事由があれば返還させないことができる、という規定です。さかのぼって受け取った年金の返還(第63条)とは別の条文です。

第63条は「受けた保護金品に相当する金額の範囲内」で「実施機関の定める額」を返すという書き方で、返還額は福祉事務所が決めます。厚生労働省「生活保護実施要領等」(2026年4月1日施行)には、学資保険の満期保険金について就学等の費用にあてる範囲で返還を要しないとしてよい、とする問答がありますが、障害年金について同じ扱いを示した公式の記載は確認できていません。返還額の決め方は、担当のケースワーカーに相談してください。

生活保護を受けながら障害年金を請求するときに確認したいこと

年金の窓口と福祉事務所は別なので、次の点を両方で確認しておくと話が食い違いにくくなります。

  • 障害年金を請求すること(請求したこと)を、担当のケースワーカーに伝えたか
  • 年金証書や年金支払通知書が届いたら、福祉事務所に届け出る準備ができているか
  • さかのぼって受け取る分がある場合、使う前に返還の扱いを確認したか
  • 障害基礎年金を受ける場合、年金生活者支援給付金の請求と、受け取ったときの申告の扱いを確認したか
  • 年金を受けられる見込みを、年金事務所や社会保険労務士に確認したか

志木市の「生活保護のしおり」(令和7年4月改正)は、障害年金を含む各種年金を活用の例に挙げ、年金のハガキが届いたときは福祉事務所に届け出るよう求めています。同じしおりの「保護費の返還(生活保護法第63条)」の項では、返還の対象に医療費や介護費も含むとしています。

受給の条件は「障害年金がもらえる条件」、請求の手順は「障害年金の申請を自分でする方法」、受けるときの注意点は「障害年金のデメリット」、全体像は「精神障害の障害年金」にまとめています。生活保護受給世帯のB型などの利用者負担は、厚生労働省「障害者の利用者負担」で0円の区分です。受給者証は「受給者証とは」、グループホームの費用は「障害者グループホームの費用」で解説しています。

志木市の場合(年金の相談窓口)

志木市にお住まいの方は、国民年金(障害基礎年金を含む)の相談は保険年金課、生活保護の相談は福祉部 生活援護課が入口です。

窓口主な内容電話
保険年金課 国民年金グループ国民年金受給権者の裁定請求、国民年金等の相談048-456-5360
福祉部 生活援護課 生活援護グループ生活保護048-473-1457
  • 生活保護:志木市「生活援護課」の生活援護グループが担当です。「生活保護について」のページでは、年金や手当などほかの法律で受けられるものはすべて受けるよう案内しつつ、検討しなければ保護の申請ができないということではないとしています
  • 国民年金・障害基礎年金:志木市「保険年金課」の国民年金グループの業務に、国民年金受給権者の裁定請求と国民年金等の相談が挙げられています
  • 社会保険労務士による年金相談:志木市「志木市での年金相談」(2023年11月30日更新)では、市役所保険年金課の相談室で、社会保険労務士が障害年金を含む年金の相談を受ける日が案内されています。毎週木曜日(祝日を除く)の午後1時から5時までの予約制で、障害年金の初回相談は通常2時間です。障害年金の相談は電話で予約するよう案内されています
  • 年金事務所:日本年金機構「埼玉県内の年金事務所管轄区域」では、志木市は川越年金事務所の管轄区域に含まれています

所在地はいずれも埼玉県志木市中宗岡1丁目1番1号です。障害福祉サービス(B型など)の窓口は、福祉部 共生社会推進課です。相談日や受付方法は変わることがあるため、事前に確認してください。朝霞市・新座市・富士見市・和光市など近隣の方は、各市の公式サイトで担当窓口を確認してください。

ぽちぽちの道の場合

年金や保護費で暮らしながら、日中の過ごし方を考え始める方もいます。ぽちぽちの道では、保護費や返還の額、障害年金の受給の見込みを判断することはできません。監修のサービス管理責任者も年金の専門家ではないため、年金の個別判断は年金事務所・社会保険労務士に、保護費の扱いは福祉事務所にご相談ください。そのうえで、B型の利用を考えるときの相談はお受けしています。

ぽちぽちの道は、東武東上線「志木駅」東口から徒歩2分にある、IT・パソコン作業に特化したB型事業所です。送迎は行っていないため、見学のときに通い方を一緒に確認します。

作業内容はパソコン作業が中心で、データ入力、Canvaでの画像・SNS素材づくり、生成AIを使った文章の下書きや調べ物などに取り組んでいます。パソコンが苦手な方や未経験の方も歓迎しており、週1日からの通所も相談でき、工賃は見学時にご案内します。工賃と年金を合わせた暮らし方は「工賃と障害年金だけで生活できる?」で紹介しています。生活保護を受けていて相談しづらいと感じている段階でも、見学やLINEでの相談を受け付けています。

障害年金と生活保護についてよくある質問

Q. 障害年金の受給が決まったら、生活保護は打ち切りになりますか?
A. 障害年金が決まったことだけで、生活保護が終わるとは限りません。年金は収入として認定され、最低生活費との差額が保護費として支給されるしくみです。年金などの収入が最低生活費を上回るかどうかで変わるため、決定の通知が届いたら担当のケースワーカーに伝えてください。

Q. 生活保護を受けている人が障害年金を受け取ると、保護費はどのように変わりますか?
A. 受け取った障害年金の額が収入として計算に入り、その分だけ保護費が差し引かれます。一方で、障害年金1級・2級に当たる障害などがあると、障害者加算が上乗せされる場合があります。差し引きの結果は世帯ごとに違うため、福祉事務所で確認してください。

Q. さかのぼってまとめて受け取った障害年金は、生活保護費を全額返すことになりますか?
A. 生活保護法第63条では、受けた保護金品に相当する金額の範囲内で、福祉事務所が定める額を返還するとされています。全額になるとは限りませんが、いくら返すかは福祉事務所が決めます。まとめて受け取ったお金を使う前に、担当のケースワーカーに申告して相談してください。

Q. 生活保護の障害者加算は、障害年金の等級によって金額が変わりますか?
A. 厚生労働省の告示では、障害年金1級の等級表に当たる障害などは①、2級に当たる障害などは②の区分で、令和8年4月の在宅の月額は1級地で①27,460円、②18,300円です。住んでいる地域の級地によっても金額が変わります。障害厚生年金の3級などの扱いは、福祉事務所に確認してください。

Q. 生活保護を申請する前に、障害年金の請求を済ませておかないといけませんか?
A. 年金などほかの制度を先に活用するのが生活保護の原則ですが、年金の請求を済ませていないと申請できないわけではありません。生活保護法第4条は急迫した事由がある場合の保護も定めており、志木市も検討しなければ保護の申請ができないということではないと案内しています。生活に困っているときは、まず福祉事務所に相談してください。

まとめ

障害年金と生活保護は同時に受けるしくみがありますが、年金は収入として扱われ、最低生活費との差額が保護費になります。障害年金1級・2級に当たる障害などは障害者加算の対象になる場合があり、過去の分をまとめて受け取ったときは第63条で返還を求められることがあります。年金の見込みは年金事務所や社会保険労務士に、保護費や返還は福祉事務所に相談してください。

日中の過ごし方やB型の利用が気になり始めたら、LINEでの相談や見学から始められます。質問だけでも大丈夫です。お金と制度をまとめて確認したい方は「障害のある方のお金と制度まとめ」、B型選びの全体像は「B型事業所の選び方チェックリスト」もあわせてご覧ください。

運営:ぽちぽちの道(株式会社イチドキリ)


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何かを始めたい、新しい一歩を踏み出したい方へ

まずは、見学・相談から
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050-3646-8350

受付時間:月〜土 9:30〜18:30


監修者
田中 眞奈美(サービス管理責任者)
介護職、生活支援員業務、就労移行支援事業所での管理者業務など、介護・福祉業界にて多彩な経験を持つ福祉のプロフェッショナル。ぽちぽちの道では、サービス管理責任者として個別支援計画の策定および支援全体のマネジメントを担う。

執筆者
徳永 崇志(職業指導員・株式会社イチドキリ 代表取締役)
岡山大学教育学部出身。株式会社日立システムズでエンジニアとしてキャリアをスタートし、株式会社リクルートで教育系SaaS「スタディサプリ」の法人営業に従事。その後、複数社で生成AIを活用したプロダクトの事業立ち上げを経験。ぽちぽちの道では、生成AI・ITを活用した生産活動の職業指導を担当。厚生労働省「精神・発達障害者しごとサポーター」講座修了。

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