お盆や法事で親戚が集まるたびに「今は何をしているの?」と聞かれ、答え方に迷っているご家族に向けた記事です。障害のある家族のことを親戚や近所の人、きょうだいの配偶者にどう説明するかを、本人の同意、話す範囲の段階、短い言い方の例、説明しない選択肢の4つに分けて整理しました。就労継続支援B型に通っている場合の一言の伝え方も紹介します。
障害のある家族を親戚に説明するときは「本人の同意・話す範囲・短い一言」を先に決めると負担が軽くなります
親戚や周囲への説明は、その場で考えるより、事前に本人と決めておくほうが家族の負担は軽くなります。先に決めておきたいのは次の3点です。詳しく説明する義務はなく、「話さない」と決めることも選択肢のひとつです。
- 本人の同意:誰に、何を話してよいかを本人に確かめる。本人が話したくないことは話さない
- 話す範囲:相手との距離に合わせて、「通っている場所がある」だけか、困りごとまで話すかを段階で決める
- 短い一言:聞かれたときに返す言い方を、本人と一緒に1〜2文で用意しておく
説明に疲れるのは、毎回言葉を探し、相手の反応に合わせて説明を足してしまうからです。話す範囲と一言が決まっていれば「ここまで話したら終わり」と線を引けます。
どこまで話す?相手との距離で「話す範囲」を段階で決めておきます
話す範囲は、相手が本人の暮らしにどれだけ関わるかで決めると迷いにくくなります。
話す範囲とは、障害のある家族について、相手ごとに「どこまで伝えるか」をあらかじめ決めておく線引きのことです。 線引きは一度決めたら変えられないものではなく、本人の気持ちや関係の変化に合わせて見直してかまいません。
| 段階 | 伝える内容 | 相手の例(一般的な目安) |
|---|---|---|
| 0 | 話さない。「元気にしているよ」など近況だけ | 近所の人、あまり会わない遠い親戚 |
| 1 | 平日に通っている場所があること | 法事や帰省で顔を合わせる親戚 |
| 2 | 障害福祉のサービスを使っていること | 行き来のある親戚、きょうだいの配偶者 |
| 3 | 困りやすい場面と、配慮してほしいこと | 同居・近居の親族、本人とよく会う人 |
| 4 | 生活や将来の相談ができる程度に詳しく | 親なき後に本人を支える可能性がある親族 |
どの段階でも、障害名や病名まで伝える必要はありません。段階3でも「大きな音が苦手なので、集まりでは静かな部屋で休ませてほしい」のように、相手に何をしてほしいかを伝えるほうが役に立ちます。
本人の同意を最優先にする理由
障害や通っている場所の話は、本人の生活に深く関わる情報です。家族が「親戚なら大丈夫」と思う相手でも、本人は知られたくないと感じていることがあり、了解なく話が広がると次の集まりに行きづらくなることもあります。
同意は「おじさんに聞かれたら、通っている場所があるとだけ言ってもいい?」のように、相手と内容を具体的にして確かめると本人も答えやすくなります。本人自身が知人に知られることへの不安を抱えている場合は「知人に知られたくない|プライバシーと通所の不安」も参考にしてください。
診断名や医療のことは、家族が代わりに説明しなくてよい
親戚から「何の病気なの?」「治るの?」と聞かれても、家族が診断名や見通しを代わりに説明する必要はありません。症状や治療の話は本人と主治医の間で扱う内容で、家族が言い切ると実際と違う印象が伝わるおそれもあります。「体調のことは本人と主治医にまかせている」と返せば十分です。
親戚・周囲への短い説明の言い方例|B型は「自分のペースで働く練習をしている場所」と伝えられます
就労継続支援B型に通っている場合は、「障害福祉のサービスで、自分のペースで働く練習をしている場所」と一言で伝えると、制度を知らない相手にも誤解が少なくなります。制度名を並べるより、「何をしている場所か」を伝えるほうが会話が短く終わります。
就労継続支援B型とは、通常の事業所に雇用されることが難しい障害のある人に、生産活動などの機会を提供し、就労に必要な知識や能力の向上のための訓練などを行う障害福祉サービスのことです。 厚生労働省「障害福祉サービスの内容」では「就労継続支援B型(非雇用型)」と区分されており、雇用契約を結ばずに通うサービスとして説明されています。
親戚から聞かれやすい質問と、返し方の例をまとめました。そのまま使うより、本人の言葉に置きかえて使ってください。
| 聞かれ方 | 返し方の例 |
|---|---|
| 「今は何をしているの?」 | 「平日は、働く練習ができる場所に通っているよ」 |
| 「どんな所に通っているの?」 | 「障害福祉のサービスで、自分のペースで働く練習をしている場所だよ」 |
| 「普通に働かないの?」 | 「今は本人に合うペースで、少しずつ慣れているところ」 |
| 「何の病気なの?」 | 「本人のことだから、本人が話したいときに任せているの」 |
| 「それで生活していけるの?」 | 「暮らしのことは、家族と相談窓口で考えているから大丈夫」 |
| 「どんな作業をしているの?」 | 「パソコンで入力や資料づくりをしている」など、実際の作業を一つだけ |
「よく分からないけど」のような前置きは説明の続きを求められやすいので、短く言い切るほうが会話は楽になります。
集まりの前に、本人と決めておきたいこと
法事や帰省など、親戚と会う予定が決まったら、次の点を本人と話しておくと当日の負担が減ります。
- [ ] 誰に、どの段階まで話してよいか(段階表のどこか)
- [ ] 聞かれたときに家族が返す一言と、本人が返す一言
- [ ] 本人がその場にいるときに、家族が代わりに答えてよいか
- [ ] 答えたくない質問が出たときの切り上げ方(「その話はまた今度ね」など)
- [ ] 本人が疲れたときに、先に帰る・別室で休むなどの合図
本人と家族で考え方が違うときは、どちらかに合わせ切る必要はありません。親子の話し合いで言い合いになりやすい場合は「子どもにB型を勧めたい|本人を傷つけない伝え方」や、本人の側から親に話すときの「親に反対されているとき、どう話せばいい?」も参考になります。
無理に説明しない選択肢もあります|否定的な反応が返ってきたときの受け止め方
親戚や周囲に理解してもらうことは大切ですが、すべての人に分かってもらう必要はありません。説明しても分かってもらえない相手には、それ以上説明しないと決めることも、本人と家族を守る方法です。
否定的な反応は、その場で説得しなくてよい
「甘えているだけでは」といった言葉に、家族は傷つき、言い返したくなるものです。こうした反応は、障害福祉のサービスや本人の状態を知らないことから出てくる場合も多く、その場の説明で考えを変えてもらうのは難しいものです。「そう見えるかもしれないけど、家族で相談して決めていることだから」と短く返し、話題を変えてかまいません。
本人がいる場で否定的な話が続くときは、議論より本人をその場から離すことを優先してください。付き合い方や距離の取り方に悩むときは「家族の関わり方|見守りと距離感のバランス」もあわせてご覧ください。
障害を理由とする差別をなくすための法律があります
社会の側には、障害を理由とする差別をなくすための法律があります。内閣府「障害を理由とする差別の解消の推進」によると、障害者差別解消法は2013年(平成25年)6月に制定され、2016年(平成28年)4月1日から施行されています。改正法は2024年(令和6年)4月1日に施行されました。
この法律が対象としているのは、国や市区町村などの行政機関と、会社やお店などの事業者です。同じ内閣府のページに掲載されている広報資料では、2024年(令和6年)4月1日から事業者にも合理的配慮の提供が義務化されたことが案内されています。親戚どうしの会話を直接取り締まる法律ではありませんが、障害の有無で分け隔てられない社会をめざす考え方が、社会のルールとして示されています。
説明に疲れたら、家族だけで抱え込まない
同じ立場の家族と話せる場は「家族会・ピアサポートとは?」で、支える家族が疲れたときの相談先は「障害のある家族を支えて疲れたら」で紹介しています。
志木市にお住まいの方の障害福祉の窓口は、市役所福祉部の共生社会推進課で、問い合わせ先は障がい者福祉グループ(048-473-1449)です(「共生社会推進課」、所在地は志木市中宗岡1丁目1番1号)。相談先が分からないときに相談できる窓口として、市役所の共生社会推進課内に「基幹福祉相談センター」(048-456-6021)もあります。ほかの市にお住まいの方は、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口や、利用している相談支援専門員に相談してください。
ぽちぽちの道の場合|親戚に説明しやすい「作業の具体」を見学で確かめられます
親戚に「どんな所に通っているの?」と聞かれたとき、家族が実際の様子を知っていると、一言の説明に自信が持てます。ぽちぽちの道では、ご家族からのLINEでのご相談も受け付けています。
ぽちぽちの道は、東武東上線「志木駅」東口から徒歩2分にある、IT・パソコン作業に特化した就労継続支援B型の事業所です。作業内容は、データ入力、Canvaでの画像やSNS素材づくり、生成AIを使った文章・調査・画像づくり、ブログや文章の作成などが中心です。親戚への説明なら「パソコンで入力や画像づくりの作業をしている」と、具体的な作業を一つ挙げるだけでも伝わりやすくなります。
「生成AIを使う作業」と聞いて家族自身が不安に感じる場合は、「生成AIの作業は怪しくない?ご家族が知りたいB型での内容と安全性」で作業の中身を説明しています。パソコンが苦手な方や未経験の方も歓迎しており、週1日からの通所も相談できます。送迎は行っていません。
見学のときに、家族としてどこまで話してよいか迷っていることをスタッフに相談していただいてもかまいません。工賃や通所日数などの具体的な条件は、見学のときにご案内します。
障害のある家族について親戚への説明でよくある質問
Q. 障害のある家族のことを、親戚にはどこまで説明すればいいですか?
A. 本人の同意がある範囲で、相手が本人の暮らしにどれだけ関わるかに合わせて決めるのが目安です。年に一度会う程度の親戚なら「平日に通っている場所がある」だけで十分なことが多く、障害名や病名まで伝える必要はありません。将来本人を支える可能性がある親族には、配慮してほしいことも含めて少しずつ伝えていく方法があります。
Q. 本人が障害のことを親戚に知られたくないと言うとき、家族は聞かれたらどう答えればいいですか?
A. 本人の気持ちを優先し、近況だけを伝えて詳しい話はしないのが基本です。「元気にしているよ」「本人のことは本人に任せているの」と返せば、うそをつかずに話を終えられます。どう答えるかを本人と事前に決めておくと、本人も安心して集まりに参加しやすくなります。
Q. 親戚に就労継続支援B型に通っていると伝えるとき、一言でどう言えば伝わりますか?
A. 「障害福祉のサービスで、自分のペースで働く練習をしている場所」と伝えると、制度を知らない相手にも分かりやすくなります。制度名よりも、何をしている場所かを伝えるほうが会話は短く終わります。パソコン作業などの具体的な作業を一つ添えるのもよい方法です。
Q. きょうだいの結婚相手やその家族に、障害のある家族のことはいつ伝えればいいですか?
A. 伝える時期に正解はなく、本人と、結婚するきょうだいの気持ちの両方を確かめてから決めるのが大切です。親が先回りして相手の家族に話すと、本人ときょうだいのどちらかが望まない伝わり方になることがあります。家族だけで決めにくいときは、相談支援専門員や市区町村の相談窓口で話を整理するのもひとつの方法です。
Q. 親戚から「甘えだ」など障害への否定的なことを言われたとき、家族はどう受け止めればいいですか?
A. その場で説得しようとせず、「家族で相談して決めていることだから」と短く返して話題を変えてかまいません。否定的な言葉は、障害福祉のサービスや本人の状態を知らないことから出てくる場合も多いものです。言われた言葉がつらく残るときは、家族会や相談窓口で気持ちを話してみてください。
まとめ
障害のある家族を親戚や周囲に説明するときは、本人の同意を最優先に、相手との距離で話す範囲を段階で決め、聞かれたときの一言を用意しておくと、家族の負担は軽くなります。診断名や医療のことを家族が代わりに説明する必要はなく、分かってもらえない相手には無理に説明しない選択肢もあります。
ぽちぽちの道は、志木駅東口から徒歩2分、IT・パソコン作業に特化したB型事業所です。周囲への伝え方に迷ったときも、LINEでの相談だけでも大丈夫です。見学・LINE相談のお問い合わせからお気軽にご連絡ください。家族・支援者向けの記事は「家族・支援者向けB型ガイド総まとめ」にまとめています。
- 見学だけでもOK
- その場で決めなくてOK
- ご家族・支援者と参加OK
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監修者
田中 眞奈美(サービス管理責任者)
介護職、生活支援員業務、就労移行支援事業所での管理者業務など、介護・福祉業界にて多彩な経験を持つ福祉のプロフェッショナル。ぽちぽちの道では、サービス管理責任者として個別支援計画の策定および支援全体のマネジメントを担う。

執筆者
徳永 崇志(職業指導員・株式会社イチドキリ 代表取締役)
岡山大学教育学部出身。株式会社日立システムズでエンジニアとしてキャリアをスタートし、株式会社リクルートで教育系SaaS「スタディサプリ」の法人営業に従事。その後、複数社で生成AIを活用したプロダクトの事業立ち上げを経験。ぽちぽちの道では、生成AI・ITを活用した生産活動の職業指導を担当。厚生労働省「精神・発達障害者しごとサポーター」講座修了。

