「グループホームの暮らしがしんどい」「自分は障害者グループホームに向いてない人なのかもしれない」。そう感じている本人やご家族、入居前に不安を抱えている方に向けた記事です。合う・合わないの傾向、トラブルの分け方、退去を考えたときの考え方、公的な相談先までを順に整理しました。
障害者グループホームが合わないと感じるのは、相性と時期の問題であることが多い
グループホームが合わないと感じても、それだけで本人に問題があるとも、ホームが悪いとも決めつける必要はありません。多くの場合、暮らし方の好みとホームの環境の相性、あるいは体調や生活の変化のタイミングが重なって起きています。大切なのは、我慢を続けずに早めに言葉にして、話す相手を順番に広げていくことです。
先に結論を3点にまとめます。
- しんどさを書き出す:人間関係、ルール、支援の受け方、体調のどれに近いかを分けると相談しやすくなる
- 相談は近いところから:ホームの職員や苦情受付の窓口、次に相談支援専門員や市区町村の障害福祉担当窓口へ
- 権利侵害が疑われるときは迷わず公的窓口へ:虐待の心配があるときは、市町村の障害者虐待防止センターに連絡できる
障害者グループホームに向いている人・向いていない人の傾向
障害者グループホーム(共同生活援助)とは、主として夜間に、共同生活を営む住居で、相談や入浴・排せつ・食事の介護などの日常生活上の援助を受けながら暮らす障害福祉サービスのことです(厚生労働省「障害福祉サービスの内容」)。制度の全体像は「障害者グループホームとは」で詳しく紹介しています。
共同生活である以上、人との距離感やルールとの相性で感じ方が分かれます。向いている傾向と合いにくい傾向を対にして並べると、次のようになります。
| 観点 | 向いている傾向 | 合いにくい傾向 | 合いにくいときに相談できること |
|---|---|---|---|
| 人との距離 | 食事や挨拶を他の入居者と共にするのが苦にならない | 共用スペースに人の気配があると休まらない | 食事の時間や共用スペースの使い方を調整できるか |
| 生活のルール | 食事や入浴の時間が決まっていると安心できる | 自分のペースで時間を使いたい気持ちが強い | ルールの理由と、個別に調整できる範囲 |
| 支援の受け方 | 声かけや見守りがあると助かる | 声かけを干渉のように感じやすい | 声かけの頻度や方法を個別支援計画で見直せるか |
| 日中の過ごし方 | 平日の日中に通う場所がある | 一日の大半をホームの中で過ごしている | 日中活動の場を別に持てるか |
「向いていない」は固定されたものではない
表の右側に当てはまっても、グループホームで暮らせないわけではありません。厚生労働省の「共同生活援助における運営や支援に関するガイドライン(第1版)」(令和8年2月)でも、利用者の状態像は年齢や支援・環境によって変わり得ると書かれています。年齢と住まいの関係については「グループホームは何歳まで住める?」で整理しています。
障害者グループホームのトラブルは、4つに分けると相談しやすい
グループホームのトラブルや、辞めた理由として語られる悩みは、おおむね「人間関係」「支援の内容」「ルールやお金」「体調や生活の変化」の4つに分けられます。どれに近いかを先に整理しておくと、誰に何を話せばよいかが見えやすくなります。
同じガイドラインでは、退居を希望する背景の例として、一人暮らしや結婚などの新しい生活への移行、本人の病気や障害の重度化、他の入居者とのトラブルが挙げられています。
| トラブルの種類 | 具体的な例 | 最初に話しやすい相手 |
|---|---|---|
| 入居者同士の人間関係 | 物音や生活時間のずれ、共用スペースでの言い合い | ホームの職員(世話人・生活支援員) |
| 職員との関係・支援の内容 | 声かけが合わない、説明が足りないと感じる | ホームの苦情受付担当者、相談支援専門員 |
| 生活のルール・お金 | 門限や外出の決まり、費用の内訳が分かりにくい | ホームの管理者、相談支援専門員 |
| 体調や生活の変化 | 眠れない、通院や服薬のリズムが崩れた | 主治医、ホームの職員、相談支援専門員 |
話す前にメモしておくと伝わりやすいこと
- いつから、どんな場面でしんどいと感じるか
- 困っている出来事の日時と、そのとき起きたこと
- 自分としてはどうなってほしいか(我慢を減らしたい、住み替えも考えたい など)
人間関係の悩みそのものとの向き合い方は、日中の通所先の場面を例にした「B型事業所の人間関係が不安な方へ」も参考になります。
合わないと感じたときの相談先は、身近な窓口から公的な窓口へ順に広げる
相談先は、ホームの中の窓口、相談支援専門員や市区町村、都道府県の運営適正化委員会、の順に広げていくのが基本です。ただし、虐待や身の安全に関わる心配があるときは、順番を飛ばして市町村の障害者虐待防止センターに連絡してかまいません。
ホームの中にも苦情を受け付ける仕組みがある
共同生活援助の事業者は、苦情解決責任者・苦情受付担当者・第三者委員を置き、苦情を受け付ける窓口を設けることになっています。前出のガイドラインでは、この仕組みの概要をサービス内容の説明文書に書き、事業所内に掲示することが望ましいとされています。職員に直接言いにくいときは、契約時の書類で第三者委員の連絡先を探してみてください。
市区町村と相談支援専門員は、ホームの外の味方になる
同じガイドラインには、都道府県や市町村が苦情について調査するときは事業者が協力し、指導や助言があれば改善しなければならないと書かれています。相談支援専門員は、住まいと日中活動を含めた暮らし全体の計画を一緒に考える立場です。支援にあたる方に向けたB型の情報は「相談支援員の方へ」にまとめています。
話し合いで解決しないときは運営適正化委員会
運営適正化委員会とは、都道府県社会福祉協議会に置かれ、福祉サービスの利用者などからの苦情について、助言・相談・調査・あっせんなどを行う第三者の機関のことです(厚生労働省「運営適正化委員会における福祉サービスに関する苦情解決事業について」)。利用者本人だけでなく、家族や代理人なども申し出ることができます。
虐待が疑われるときは市町村の障害者虐待防止センターへ
厚生労働省の「市町村・都道府県における障害者虐待の防止と対応の手引き」(令和6年7月)では、障害者福祉施設従事者等による虐待を次の5つに分けています。
- 身体的虐待:暴行を加えること、正当な理由なく身体を拘束すること
- 性的虐待:わいせつな行為をすること、させること
- 心理的虐待:著しい暴言や拒絶的な対応、不当な差別的言動
- 放棄・放置:著しい減食や長時間の放置、他の利用者による暴力や暴言などの放置
- 経済的虐待:本人の財産を不当に処分すること、不当に財産上の利益を得ること
入居者同士のトラブルでも、職員が他の利用者による暴言などを放置し続けている場合は、放棄・放置にあたる可能性があります。同じ手引きでは、虐待を受けたと思われる障害者を見つけた人には市町村への通報義務があり(障害者虐待防止法第16条第1項)、虐待を受けた本人も市町村に届け出られる(同条第2項)と説明されています。窓口の名称や休日・夜間の連絡先は、お住まいの市区町村のホームページなどで確認できます。身に危険が迫っているときは、ためらわず警察や救急に連絡してください。
グループホームを「追い出される」のが不安なときに知っておきたい退去の考え方
国のガイドラインでは、退居は利用者本人の希望と同意にもとづくことが前提とされています。前出の「共同生活援助における運営や支援に関するガイドライン」に示された主な考え方は、次のとおりです。
- 退居は、事業者や周りの人の判断ではなく、本人の希望と同意があることが必要
- 本人の意思に反して強制的に退居を迫り、一方的に解約することは避けなければならない
- 障害支援区分が変わったことだけを理由に退居を判断するのではなく、望む生活を続ける方法を考える
- 退居の方針が決まったら、理由にかかわらず、市町村や相談支援事業所と連携して転居先の確保や退居後のサービスの検討を支援する
一方で、実際の契約の条件や、個別の出来事が契約上どう扱われるかは、契約書の内容や事情によって変わります。この記事では、退去や契約の是非について判断はしません。「出ていくように言われた」「このままでは住めなくなるかもしれない」と感じたら、契約書の写しと経緯のメモを手元に置き、相談支援専門員や市区町村の障害福祉担当窓口に相談してください。
入居前・住み替え前に確認したいポイント|合わないを減らすチェックリスト
合わないと感じる状況を減らすいちばんの方法は、入居前や住み替えの前に、実際の暮らしを見て試すことです。ガイドラインでは、希望する人に見学や体験利用の機会を提供することが望ましいとされ、体験利用は自宅で家族と暮らしている人も利用できると説明されています。
見学や体験のときに、次の点を確かめておくと安心です。
- [ ] 食事・入浴・門限などのルールと、個別に調整できる範囲を聞いた
- [ ] 夜間や休日に困ったとき、誰にどう連絡するかを確認した
- [ ] 苦情受付担当者と第三者委員の連絡先を、書面で受け取った
- [ ] 他の入居者との距離感(共用スペースの広さ、生活音)を自分の目で見た
- [ ] 平日の日中を過ごす場所(通所先)への通い方を確かめた
住み替え先の探し方や見学の進め方は「障害のある方のグループホームの探し方・見学のポイント」で詳しく解説しています。事業所の情報は「WAM NET 障害福祉サービス等情報検索」でも調べられます。
B型(日中活動)との接点|日中の居場所が別にあると、家の人間関係に距離が取れる
グループホームは主に夜間の暮らしを支えるサービスなので、平日の日中を別の場所で過ごすと、入居者同士が一日中顔を合わせる状態を避けやすくなります。就労継続支援B型のような日中活動の場があると、ホームに帰る時間が「休む時間」として感じられやすくなります。
家の人間関係の面では、次のような意味があります。
- 物理的な距離ができる:共用スペースで気まずい相手がいても、日中は別々の場所で過ごせる
- 話せる相手が増える:ホームの職員とは別に、日中の支援者に悩みを聞いてもらえる
- 生活リズムの軸になる:決まった曜日に出かけることで、眠る・食べる・休むの流れが整いやすい
ただし、日中の通所先にも合う・合わないはあります。見学してみて違うと感じたら、無理に決める必要はありません。見学のあとの伝え方は「B型事業所の見学は断ってもいい?」で紹介しています。
ぽちぽちの道の場合(家のことで揺れている時期の、日中の居場所として)
住まいの人間関係でしんどさを抱えているときほど、家とは別に落ち着いて過ごせる場所が助けになることがあります。ぽちぽちの道では、そうした時期の日中の過ごし方について、見学や相談を受けています。
ぽちぽちの道は就労継続支援B型の事業所で、グループホームは運営していません。グループホームの紹介やあっせんも行っていないため、住まいのトラブルや退去、住み替えの相談は、相談支援専門員やお住まいの市区町村の障害福祉担当窓口にお願いしています。そのうえで、日中活動の場としてのB型の見学・相談をお受けしています。
東武東上線「志木駅」東口から徒歩2分にある、IT・パソコン作業に特化したB型事業所です。送迎は行っていませんが、駅から近いため、ホームからの通い方を見学の際に一緒に確認できます。作業内容は、データ入力、Canvaでの画像づくり、生成AIを使った文章・調査・画像づくり、SNS投稿づくりなどが中心です。
パソコンが苦手な方や未経験の方も歓迎しています。週1日からの通所も相談できるので、気持ちが落ち着かない時期は少ない日数から始められます。昼食はお弁当(実費)を用意できます。工賃については見学時にご案内します。見学やLINEでの相談は、質問だけでも大丈夫です。
グループホームが合わないときによくある質問
Q. 障害者グループホームに向いてない人は、入居をあきらめたほうがいいですか?
A. あきらめる前に、何が合わないのかを分けて考えるのがおすすめです。人との距離やルール、支援の受け方は、ホームのタイプや個別支援計画の見直しで変わることがあります。
Q. グループホームで他の入居者とのトラブルが続くとき、まず誰に相談すればいいですか?
A. まずはホームの職員か苦情受付担当者に、日時と出来事をメモして伝えてみてください。職員に言いにくい場合は、第三者委員や相談支援専門員に相談できます。
Q. グループホームの職員の対応が虐待かもしれないと感じたら、どこに連絡しますか?
A. 市町村の障害者虐待防止センター(市区町村の障害者虐待の通報窓口)に連絡できます。障害者虐待防止法では、見つけた人には通報義務があり、虐待を受けた本人も市町村に届け出られます。身に危険が迫っているときは、警察や救急への連絡をためらわないでください。
Q. グループホームから追い出されるのではと不安です。退去は一方的に決められるのですか?
A. 国のガイドラインでは、退居は本人の希望と同意が前提とされ、意思に反して強制的に退居を迫り一方的に解約することは避けなければならないとされています。契約の扱いは内容や事情で変わるため、契約書の写しを持って相談支援専門員や市区町村の障害福祉担当窓口に相談してください。
Q. グループホームが合わず住み替えを考えています。日中に通うB型事業所も変える必要がありますか?
A. B型は住まいとは別のサービスなので、新しい住まいから通える範囲であれば、同じ事業所に通い続けることを検討できます。住み替え先を探す段階で、今の通所先までの経路を条件に入れておくと安心です。
まとめ
グループホームが合わないと感じるのは、多くの場合、暮らし方とホームの相性や時期の問題です。しんどさを種類ごとに分け、ホームの苦情窓口、相談支援専門員や市区町村、運営適正化委員会へと相談の輪を広げてください。虐待が疑われるときは、市町村の障害者虐待防止センターに連絡できます。
ぽちぽちの道は、住まいとは別の日中の居場所として、志木駅徒歩2分で見学・相談を受けているB型事業所です。LINEでの相談からでも大丈夫です。通所先を選ぶときの観点は「B型事業所の選び方チェックリスト」も参考にしてください。
- 見学だけでもOK
- その場で決めなくてOK
- ご家族・支援者と参加OK
何かを始めたい、新しい一歩を踏み出したい方へ
まずは、見学・相談から
始めてみませんか?

監修者
田中 眞奈美(サービス管理責任者)
介護職、生活支援員業務、就労移行支援事業所での管理者業務など、介護・福祉業界にて多彩な経験を持つ福祉のプロフェッショナル。ぽちぽちの道では、サービス管理責任者として個別支援計画の策定および支援全体のマネジメントを担う。

執筆者
徳永 崇志(職業指導員・株式会社イチドキリ 代表取締役)
岡山大学教育学部出身。株式会社日立システムズでエンジニアとしてキャリアをスタートし、株式会社リクルートで教育系SaaS「スタディサプリ」の法人営業に従事。その後、複数社で生成AIを活用したプロダクトの事業立ち上げを経験。ぽちぽちの道では、生成AI・ITを活用した生産活動の職業指導を担当。厚生労働省「精神・発達障害者しごとサポーター」講座修了。

