精神障害者保健福祉手帳1級とはどんな人?受けられる支援

精神障害者保健福祉手帳1級とはどんな人?受けられる支援

「精神障害者手帳の1級は、どんな人が認められるのだろう」「1級になると何が変わるの?」と気になっている本人やご家族に向けた記事です。政令にある1級の定義と、厚生労働省の判定基準にある例示をもとに、1級のイメージと受けられる支援を整理します。等級は診断名だけで決まるものではないことや、1級でも日中の過ごし方の選択肢があることも、あわせて説明します。

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目次

精神障害者保健福祉手帳1級は「日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度」の状態です

精神障害者保健福祉手帳の1級は、政令で「日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度」と定められた、3つの等級のうちもっとも重い等級です。判定基準の説明では、これを「他人の援助を受けなければ、ほとんど自分の用を弁ずることができない程度」と言い換えています。

まず押さえておきたい結論は、次の3つです。

  • 1級の定義:精神保健福祉法施行令第6条で定められた、もっとも重い等級
  • 病名だけでは決まらない:精神疾患の状態と能力障害(活動制限)の状態を総合して判定される
  • 1級で変わる支援:所得税の特別障害者控除の対象になり、埼玉県・志木市の医療費助成やNHK受信料の半額免除などの対象にも1級が含まれる

定義の原文は、e-Gov法令検索の「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律施行令」第6条で確認できます。3種類の手帳と等級の全体像は「障害者手帳の種類と等級」にまとめています。

1級はどんな人?判定基準の例示で見るイメージ

判定基準では、1級を、身の回りのことの多くに常に援助が必要な状態として例示しています。

精神障害者保健福祉手帳の1級とは、精神障害のために日常生活のほとんどの場面で他人の援助が欠かせない状態を、診断書などから総合的に判断して認める等級のことです。根拠は厚生労働省の通知「精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準について」(別添の説明を含む)です。

「障害等級の基本的なとらえ方」にある1級の例

判定基準の別添2では、各等級のとらえ方が「参考」として、おおむねのイメージで示されています。1級の例として挙げられているのは、次のような様子です。

  • 入院している人では、病院内での生活に常に援助が必要
  • 在宅の人では、医療機関などへの外出を自分からはできず、付き添いが必要
  • 適切な食事の用意や後片付けなどの家事、身辺の清潔保持を自発的には行えず、常に援助が必要
  • 親しい人との交流も乏しく引きこもりがちで、自発性が著しく乏しい
  • ささいな出来事で、病状の再燃や悪化を来しやすい
  • 金銭管理が困難

これは判定の参考として示されたイメージで、当てはまる項目を数えて等級が決まるものではありません。2級の例示は「精神障害者保健福祉手帳2級とはどんな人?」で紹介しています。

診断書の「日常生活能力の程度」と等級の目安

厚生労働省の「判定基準の運用に当たって留意すべき事項」では、診断書の「日常生活能力の程度」のうち「日常生活に著しい制限を受けており、常時援助を必要とする」と「身の回りのことはほとんどできない」が、おおむね1級程度の目安とされています。非該当から1級までの対応の目安は「精神障害者手帳3級のメリット」で表にしています。

1級は診断名で決まる?病名だけでは決まりません

精神障害者保健福祉手帳の等級は、診断名だけで決まるしくみではありません。判定基準では、精神疾患(機能障害)の状態と能力障害(活動制限)の状態をあわせて総合的に判定するとされ、同じ診断名でも生活への影響の程度によって等級は変わりえます。等級の仕組みは「障害者手帳の種類と等級」で解説しており、ご自身が何級に当たりそうかは主治医に相談するのが確実です。

1級で受けられる支援は?2級・3級との違いを表で整理

1級で違いが出やすいのは、所得税・住民税の特別障害者控除と、自治体の医療費助成・手当・減免の対象かどうかです。精神障害者保健福祉手帳は1級から3級まで、所得税法上の「障害者」に当たる点は共通です。一次情報で確認できた項目だけを並べました。

項目1級2級3級
所得税の障害者控除40万円(特別障害者)27万円27万円
住民税の障害者控除(志木市てびき)30万円(特別障害者)26万円26万円
重度心身障害者医療費助成(埼玉県)対象(精神病床の入院費用は除く)自立支援医療(精神通院)の自己負担分のみ対象外
志木市の重度心身障がい者手当・福祉タクシー利用券など記載あり記載あり記載なし
NHK受信料の全額免除(志木市てびき)世帯全員が市民税非課税の場合(等級を問わない)世帯全員が市民税非課税の場合(等級を問わない)世帯全員が市民税非課税の場合(等級を問わない)
NHK受信料の半額免除(志木市てびき)世帯主で受信契約者の場合記載なし記載なし
駐車禁止除外標章(志木市てびき)記載あり記載なし記載なし

埼玉県の重度心身障害者医療費助成は、対象は1級で、令和8年1月からは自立支援医療(精神通院)を受けている2級も精神通院の自己負担分に限り対象になり、対象拡大の時期や申請方法は市町村によって異なります。「記載あり」「記載なし」は、案内の対象者欄にその等級が書かれているかどうかを示したもので、所得などの条件は別にあります。税の数字は国税庁「No.1160 障害者控除」、志木市の制度は志木市「障がい福祉制度のてびき」(令和8年4月現在)で確認しています。3級の詳しい内容は「精神障害者保健福祉手帳3級」をご覧ください。

国の制度:特別障害者控除

国税庁によると、精神障害者保健福祉手帳の障害等級が1級と記載されている人は特別障害者に当たり、所得税の控除額は40万円です。1級の人が納税者の同一生計配偶者や扶養親族で、納税者本人や配偶者などと同居している場合は、納税者の控除が「同居特別障害者」として75万円になり、ご家族の年末調整や確定申告で申し出ます。障害者で前年の合計所得金額が135万円以下の人に市町村民税が課されないことは、「地方税法」第295条に定められています。お金まわりの制度は「障害者手帳のメリット一覧」でも一覧にしています。

埼玉県:重度心身障害者医療費助成

埼玉県「重度心身障害者医療費助成制度」では、精神障害者保健福祉手帳1級の人は対象に含まれています。条件と注意点は次のとおりです。

  • 医療保険の一部負担金を県と市町村で助成する制度で、精神病床への入院費用は助成されない
  • 特別障害者手当に準じた所得制限があり、市町村への申請が必要
  • 平成27年1月1日以降に65歳以上で新たに対象の手帳を受けた人や、生活保護を受けている人などは対象外
  • 市町村によって要件が異なる場合がある

志木市:手当・外出の補助・NHK受信料・駐車禁止除外標章

志木市のてびき(令和8年4月現在)では、精神障害者保健福祉手帳1級の人を対象に含む制度として、次のものが案内されています。どれも申請が必要で、所得や入院・入所などの条件があります。

  • 重度心身障がい者手当:65歳未満までに該当し、住民税が非課税の人が対象。月額5,000円(施設に入所している人などは対象外)
  • 福祉タクシー利用券・自動車等燃料費補助・鉄道バス利用料補助:いずれか1つを選ぶ。燃料費補助は年間12,000円など
  • NHK放送受信料の半額免除:1級の手帳を持つ人が世帯主で、受信契約者の場合
  • 駐車禁止除外標章:1級の精神障害者保健福祉手帳を持つ人が対象者に挙げられている(問い合わせは朝霞警察署)

特別障害者手当(てびきでは「特別障がい者手当」)の対象者欄は、手帳の等級ではなく「常時特別の介護を要する状態」などで書かれているため、1級だから対象になるとは限りません。鉄道・バスなどの割引は事業者ごとに内容が違うため、各社の公式ページで確認してください。割引の考え方は「障害者手帳でうけられる割引・サービス」で紹介しています。

1級でもB型事業所やグループホームは使える?

精神障害者保健福祉手帳が1級だから、就労継続支援B型やグループホームを使えない、と決まっているわけではありません。障害福祉サービスを使えるかどうかは、手帳の等級ではなく、市区町村の支給決定(受給者証)の手続きの中で、本人の状態や希望をふまえて個別に判断されます。

国立精神・神経医療研究センターの「こころの情報サイト」では、障害者総合支援法による障害福祉サービスは、精神障害があれば手帳の有無にかかわらず受けられると説明されています。受給者証のしくみは「受給者証とは」にまとめています。

通所を考えるときは、主治医の意見を聞きながら、市区町村の窓口や相談支援専門員と一緒に、サービスの種類や通う頻度を考えていくのが安心です。日中の活動と住まいをあわせて考えたい方は「グループホームとB型を組み合わせるという選択」も参考になります。

1級の手帳を申請・更新する前に確認したいポイント

1級の手帳を申請・更新する前に、診断書の条件と、手帳とは別に申請が必要な制度を確認しておくと手続きがスムーズです。次の点をチェックしてみてください。

  • 精神障害で初めて受診した日から6か月以上たっているか
  • 診断書は手帳用の様式か(埼玉県・志木市では、作成(記入)から3か月以内のものと案内されています)
  • 有効期限は2年で、3か月前から更新でき、有効期間中でも状態が変われば等級の変更を申請できる
  • 医療費助成・手当・NHK受信料の免除・駐車禁止除外標章は、手帳とは別に申請が必要

精神障害を理由とする障害年金を受けている人は、年金証書などの写しでも申請できます。厚生労働省の「精神障害者保健福祉手帳制度実施要領」では、この場合は年金の等級が1級なら手帳も1級として判定するとされています。逆に、手帳が1級だから年金も1級になるわけではありません。詳しくは「障害者手帳と障害年金」や「障害年金とB型の両立」をご覧ください。

等級の決定に納得できないときは、等級変更の申請のほか、決定の通知書に書かれている不服申立ての方法と期限を確認してください。申請の手順は「精神障害者保健福祉手帳の申請方法」、更新は「障害者手帳の更新手続き」で紹介しています。

志木市の場合(窓口・手続きの入口)

志木市にお住まいの方は、精神障害者保健福祉手帳の申請も、1級の人が対象になる医療費助成・手当・NHK受信料の免除の相談も、市役所の福祉部 共生社会推進課が窓口です。志木市「精神障がい者保健福祉手帳の交付」では、手帳の申請窓口は共生社会推進課 障がい者福祉グループと案内されています。

グループ電話
障がい者福祉グループ048-473-1449
障がい者支給グループ048-456-5363
共生社会推進グループ048-456-5364

所在地は埼玉県志木市中宗岡1丁目1番1号です。課の案内は志木市「共生社会推進課」に掲載されています。

市のページでは、等級により支援の内容が異なると説明されており、本人が住民税非課税の場合は手帳のための診断書料の一部を補助する制度もあります。てびきでは、NHK受信料の免除申請は共生社会推進課、所得税の障害者控除は朝霞税務署、住民税の障害者控除は課税課 市民税グループが問い合わせ先です。持ち物は事前に窓口で確認すると安心です。

朝霞市・新座市・富士見市・和光市など近隣の市では、医療費助成や独自の手当の内容が異なることがあるため、各市の障害福祉担当窓口で確認してください。

ぽちぽちの道の場合

1級の手帳を持つ方の日中の過ごし方は、体調や生活の状況によって一人ひとり違います。ぽちぽちの道では、等級の判定や手帳の申請を代わりに行うことはできませんが、B型の利用を考え始めたときの相談はお受けしています。

ぽちぽちの道は、東武東上線「志木駅」東口から徒歩2分にある、IT・パソコン作業に特化したB型事業所です。送迎は行っていないため、見学のときに駅からの道のりや通い方を一緒に確認します。

作業内容はパソコン作業が中心です。データ入力、Canvaでの画像・SNS素材づくり、生成AIを使った文章の下書きや調べ物などに取り組んでいます。パソコンが苦手な方や未経験の方も歓迎しており、スタッフと生成AIがサポートします。

体調に波がある方もいるため、週1日からの通所も相談できます。工賃については見学時にご案内します。「受給者証の手続きをこれから考える」「まずは話だけ聞いてみたい」という段階でも、見学やLINEでの相談を受け付けています。

精神障害者保健福祉手帳1級についてよくある質問

Q. 精神障害者手帳1級だと、日常生活でどのくらいの援助が必要な状態ですか?
A. 判定基準では「他人の援助を受けなければ、ほとんど自分の用を弁ずることができない程度」と説明されています。例示として、医療機関などへの外出に付き添いが必要なことや、家事や身辺の清潔保持に常に援助が必要なことが挙げられています。これは参考のイメージで、項目の数で等級が決まるものではありません。

Q. 家族が精神障害者保健福祉手帳1級だと、同居している納税者の障害者控除はいくらになりますか?
A. 1級の人は特別障害者に当たります。1級の人が納税者の同一生計配偶者や扶養親族で、納税者本人や配偶者などと同居している場合は、同居特別障害者として所得税の控除額が75万円になります。1級の本人が納税者として受ける所得税の控除は40万円です。

Q. 精神障害者保健福祉手帳1級だと、NHK受信料や駐車禁止除外標章の対象になりますか?
A. 志木市のてびきでは、NHK受信料の半額免除は1級の手帳を持つ人が世帯主で受信契約者の場合が対象とされ、駐車禁止除外標章も対象者に1級が挙げられています。どちらも手帳とは別に申請が必要で、NHK受信料は共生社会推進課、駐車禁止除外標章は朝霞警察署が問い合わせ先です。

Q. 障害年金が1級なら、精神障害者保健福祉手帳も1級になりますか?
A. 精神障害を理由とする障害年金の年金証書などの写しで手帳を申請した場合は、年金の等級が1級なら手帳も1級として判定されます。年金を受けている人が医師の診断書で申請することもできます。逆に、手帳が1級だから年金も1級になるわけではありません。

Q. 精神障害者保健福祉手帳1級で日常生活に援助が必要な場合、B型事業所やグループホームは使えますか?
A. 1級だから使えないと決まっているわけではありません。B型やグループホームなどの障害福祉サービスは、手帳の等級ではなく、市区町村の支給決定の手続きの中で本人の状態や希望をふまえて個別に判断されます。主治医の意見も聞きながら、市区町村の窓口や相談支援専門員に相談してください。

まとめ

精神障害者保健福祉手帳1級は、他人の援助がなければ日常生活のほとんどの用を足せない程度の状態を、病名だけでなく生活への影響とあわせて総合的に判定する等級です。特別障害者控除や、埼玉県・志木市の医療費助成・手当・NHK受信料の半額免除などの対象に1級が含まれますが、どれも条件の確認と申請が必要です。

手帳のことや日中の過ごし方で迷ったら、LINEでの相談や見学から始められます。質問だけでも大丈夫です。制度をまとめて確認したい方は「B型事業所の選び方チェックリスト」もあわせてご覧ください。

運営:ぽちぽちの道(株式会社イチドキリ)


障害年金の等級の考え方と金額は、精神障害の障害年金|対象になる病気・等級の目安・申請の流れ障害年金の金額はいくら?1級・2級・3級の月額の目安【令和8年度】で解説しています。

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監修者
田中 眞奈美(サービス管理責任者)
介護職、生活支援員業務、就労移行支援事業所での管理者業務など、介護・福祉業界にて多彩な経験を持つ福祉のプロフェッショナル。ぽちぽちの道では、サービス管理責任者として個別支援計画の策定および支援全体のマネジメントを担う。

執筆者
徳永 崇志(職業指導員・株式会社イチドキリ 代表取締役)
岡山大学教育学部出身。株式会社日立システムズでエンジニアとしてキャリアをスタートし、株式会社リクルートで教育系SaaS「スタディサプリ」の法人営業に従事。その後、複数社で生成AIを活用したプロダクトの事業立ち上げを経験。ぽちぽちの道では、生成AI・ITを活用した生産活動の職業指導を担当。厚生労働省「精神・発達障害者しごとサポーター」講座修了。

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