就労移行支援の受給者証を持っているけれど、A型やB型に移るときもそのまま使えるのか分からない方へ。この記事では、就労移行支援・A型・B型の受給者証の記載がどう違うのか、サービスを変えるときにどんな手続きが要るのかを、厚生労働省の事務処理要領をもとに整理します。志木市の窓口と、志木駅徒歩2分のB型事業所「ぽちぽちの道」での相談の進め方も紹介します。
就労移行支援の受給者証で、A型やB型は使えますか?
就労移行支援の受給者証のままでは、A型やB型を利用できません。障害福祉サービスの支給決定はサービスの種類ごとに行われるため、別のサービスを使うには、そのサービスについて新しく支給決定を受ける必要があります。
押さえておきたい点は次の3つです。
- 支給決定はサービスごと:受給者証には、就労移行支援・A型・B型などの種類ごとに、支給量と支給決定期間が書かれる
- 有効期間の上限が違う:就労移行支援は1年、A型・B型(就労継続支援)は3年が上限(B型は支給決定時50歳未満なら1年)
- 種類を変えるのは「変更申請」ではない:新しく使うサービスは新たな支給決定、やめるサービスは支給決定の取消しで扱われる
受給者証そのものの基本は、ハブ記事「受給者証とは」でまとめています。
受給者証には、就労移行・A型・B型がどう書かれる?
受給者証には、市区町村が支給決定したサービスの種類ごとに、支給量と支給決定期間が記載されます。就労移行支援・A型・B型はどれも「訓練等給付」に分類されるので、同じ訓練等給付費の欄に、サービス名を分けて書かれるのが基本です。
支給決定とは、市区町村が「このサービスを、この量、この期間まで利用してよい」と決めることです。記載の考え方は、厚生労働省の「介護給付費等に係る支給決定事務等の事務処理要領」に沿っています。3つのサービスの違いを表にまとめました。
| 項目 | 就労移行支援 | 就労継続支援A型 | 就労継続支援B型 |
|---|---|---|---|
| 雇用契約 | 結ばない(一般就労に向けた訓練) | 結ぶのが基本 | 結ばない |
| 支給決定期間の上限 | 1年 | 3年 | 3年(支給決定時50歳未満は運用上1年) |
| 標準利用期間 | 2年 | 定めなし | 定めなし |
| 暫定支給決定(お試しの期間) | 対象 | 対象 | 対象外 |
| 1か月の支給量の基本 | 各月の日数から8日を引いた日数が原則の上限 | 同じ | 同じ |
サービスの内容と対象者は、厚生労働省「障害福祉サービスの内容」でも確認できます。受給者証の欄の読み方は「受給者証の見方」で、見本つきで説明しています。
就労移行支援は、1年ごとに続けるかどうかを見直します
就労移行支援の支給決定期間が最長1年なのは、標準利用期間があるサービスは1年ごとに訓練を続けるかどうかを評価する仕組みだからです。就労移行支援の標準利用期間は2年間で、その範囲内で1年ごとに更新できます。
事務処理要領では、標準利用期間を超えてさらに利用が必要な場合、市町村審査会の個別審査で必要性が認められたときに限り、最大1年間の更新が原則1回できるとされています。更新の手続きそのものは「障害福祉サービス受給者証の更新」で紹介しています。
A型は、暫定支給決定から始まるのが基本です
暫定支給決定とは、そのサービスが本人に合うかを実際に利用しながら評価するための、期間を区切った支給決定のことです。就労移行支援とA型が対象で、暫定支給決定期間は2か月以内の範囲で市区町村が決めます。
就労移行支援からA型に移る場合に、就労移行支援の事業所からアセスメント(本人の状況の評価)の情報が引き継がれていて、市区町村が改めての評価は要らないと判断すれば、暫定支給決定を行わないこともあります。
B型は、暫定支給決定を行わないサービスです
B型は、年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが難しくなった方などが対象のため、暫定支給決定の対象から外れています。そのかわり、条件によっては申請の前にアセスメントが求められます。
サービスを変えるときの手続きは?
利用するサービスの種類を変えるときは、新しく使うサービスについて市区町村に支給申請をし、新たな支給決定を受けます。やめるサービスは支給決定の取消しで扱われ、市区町村によっては2つを一体の手続きとして進めることもできるとされています。
事務処理要領では、変更申請でできるのは支給量の変更とされています。窓口で「B型に変えたい」と伝えるときは、B型の支給申請が要ると考えておくと話が進みやすくなります。
一般的な順番は次のとおりです。
- 相談する:相談支援専門員か市区町村の障害福祉担当窓口に、サービスを変えたい理由と希望を伝える
- アセスメントを受ける(必要な場合):B型を新しく使う方は、条件によって就労選択支援などで就労面の課題を整理する
- 支給申請をする:新しく使うサービスについて、市区町村に申請書を出す
- サービス等利用計画案を出す:相談支援専門員(またはセルフプラン)が、変更後の計画案を作って提出する
- 支給決定を受ける:新しいサービスが受給者証に記載され、やめるサービスは取消しの扱いになる
- 事業所と契約する:新しい事業所と契約し、利用を始める
切り替えの時期に2つのサービスの支給決定が重なることがあっても、同じ日に複数の日中活動サービスを利用することはできません。市区町村が特に必要と認めた場合は、複数の日中活動サービスを組み合わせた支給決定も可能とされていますが、利用日は重ならないように組み立てます。
また、事務処理要領では、就労移行支援と就労継続支援を併せて支給決定する場合、原則として有効期間の終わりの日(終期)をそろえる運用とされています。2つのサービスの期間が受給者証に並んで書かれたときは、それぞれの支給決定期間の欄で終わりの日を確認しておきましょう。
A型を辞めたあとの過ごし方は「A型を辞めたあとはどうする?」、3つのサービスの選び方の違いは「A型・B型・就労移行支援の違い」で詳しく紹介しています。
B型に移る前に、就労選択支援は必要ですか?
B型に移るときに就労選択支援が必要かどうかは、本人の年齢や就労経験などによって変わります。すべての方に同じ手順が求められるわけではないので、ご自身がどれに当たるかは、市区町村の窓口や相談支援専門員に確かめてください。
就労選択支援とは、就労移行支援や就労継続支援を使いたい方などに、短い期間の作業体験を通じて、就労に関する適性や希望、必要な配慮を一緒に整理するサービスです。令和7年(2025年)10月から始まり、支給決定期間は原則1か月(必要な場合は最長2か月)です。
事務処理要領では、B型の対象者の例として次の3つが挙げられています。
- 就労経験があり、年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが難しくなった方
- 50歳に達している方、または障害基礎年金1級を受給している方
- 上の2つに当たらない方で、アセスメントによって就労面の課題が把握されている方
3つめのアセスメントは、令和7年10月以降は就労選択支援事業者によるものが基本で、事業所がない地域では就労移行支援事業者などが行うとされています。就労移行支援を使った経験がある方の扱いは要領の記載だけでは判断できないため、窓口で確認してください。
見学・利用の前に確認したいポイント
サービスを変えようと考え始めたら、今の受給者証の記載と、次のサービスの手続きに要るものを先に確認しておくと、切り替えがスムーズになります。分からない言葉があれば、その都度たずねて大丈夫です。
確認のチェックリストです。
- 今の受給者証に書かれているサービス名と、支給決定期間の終わりの日
- 就労移行支援の場合、標準利用期間2年のうち、どれくらい利用したか
- 新しく使いたいサービスの支給申請が、いつから出せるか
- B型の場合、就労選択支援などのアセスメントが必要になるか
- A型の場合、暫定支給決定の期間がどれくらいになりそうか
- 今の事業所をやめる日と、新しい事業所に通い始める日の関係
- 負担上限月額(世帯の所得に応じた1か月の自己負担の上限)の区分
利用者負担の上限は、厚生労働省「障害者の利用者負担」で、生活保護と低所得は0円、一般1は9,300円、一般2は37,200円の4区分と公開されています。ご自身の区分は受給者証の記載で確認してください。
手続きと並行して、次に通う事業所を見ておくと、切り替え後の生活を思い描きやすくなります。気になる事業所があれば、見学だけでも大丈夫です。
志木市の場合(窓口・手続きの入口)
志木市にお住まいの方がサービスの切り替えを相談するときは、市役所福祉部の共生社会推進課が窓口です。市の案内ページ(障がい福祉制度のてびき、B型の新規利用のアセスメント)の問い合わせ先は障がい者福祉グループ(048-473-1449)で、課のページ「共生社会推進課」には障がい者支給グループ(048-456-5363)と共生社会推進グループ(048-456-5364)も載っています。担当は用件で異なるため、電話では「障害福祉サービスの種類を変えたいので、受給者証について相談したい」と伝えてください。所在地は埼玉県志木市中宗岡1丁目1番1号です。
志木市の公式情報で確認できる入口は、次のとおりです。
- 制度の全体像:「障がい福祉制度のてびき」(令和8年度改定)で、障がい福祉サービスの種類や手続きを一冊で確認できる
- 計画づくり:「サービス等利用計画・障がい児支援利用計画」では、相談支援事業者による作成のほか、セルフプランも可能と案内されている
- B型を新しく使う前:「就労継続支援B型事業所の新規利用に伴うアセスメントの実施について」で、就労移行支援の利用申請からアセスメントを経てB型を申請する流れが案内されている
1366のページは更新日が2022年のため、就労選択支援が始まった後の現在の流れは窓口で確認してください。朝霞市・新座市・富士見市・和光市にお住まいの方は、それぞれの市の障害福祉担当窓口に問い合わせてください。受給者証は原則として住んでいる市区町村で申請する点は「住んでいる市以外のB型事業所に通える?」でも説明しています。
ぽちぽちの道の場合
就労移行支援やA型からB型への切り替えを考えるとき、「手続きの前に、どんな事業所か見ておきたい」という方は少なくありません。ぽちぽちの道はB型の事業所なので、B型の支給決定を受けたうえで契約・利用する形になります。受給者証の申請先は市区町村で、事業所が支給決定をするわけではありません。
ぽちぽちの道は、東武東上線「志木駅」東口から徒歩2分にある、IT・パソコン作業に特化したB型事業所です。就労移行支援で使っていたパソコンの操作をB型でも続けたい方は、実際の作業を見て確かめられます。送迎は行っていないため、見学のときに駅からの道のりを一緒に確認します。
作業内容は、データ入力、Canvaでの画像・SNS素材づくり、生成AIを使った文章の下書きや調べ物、SNS投稿づくりなどです。パソコンが苦手な方や未経験の方も歓迎しており、スタッフと生成AIがサポートします。
週1日からの通所も相談できるので、就労移行支援やA型をやめた直後で体調を整えたい時期は、少ない日数から始める方法もあります。昼食はお弁当(実費)を用意できます。工賃については見学時にご案内します。
「受給者証の手続きはこれからだけれど、先に見ておきたい」という段階でも大丈夫です。見学予約やLINEでの相談を受け付けています。
就労移行・A型・B型の受給者証についてよくある質問
Q. 就労移行支援からB型に移るとき、受給者証は申請し直しになりますか?
A. はい、B型について新しく支給申請をして、支給決定を受けます。支給決定はサービスの種類ごとに行われ、種類を変えることは変更申請の対象にならないためです。手続きの進め方は、相談支援専門員や市区町村の窓口に相談してください。
Q. A型の受給者証のまま、B型事業所に通うことはできますか?
A. できません。受給者証にA型の支給決定しか書かれていない場合、B型を利用するには、B型の支給決定を別に受ける必要があります。A型を続けながらB型を検討している段階なら、先に窓口へ相談しておくと手続きの見通しが立ちます。
Q. 就労移行支援の受給者証の有効期間が1年しかないのはなぜですか?
A. 就労移行支援は標準利用期間が2年間と決まっていて、1年ごとに訓練を続けるかどうかを評価する仕組みだからです。そのため支給決定期間の上限は1年とされ、標準利用期間の範囲で1年ごとに更新します。期間の終わりが近づいたら、受給者証の記載を確認しましょう。
Q. 就労移行支援からB型へ移るとき、就労選択支援は必ず受けますか?
A. 必ずとは限りません。事務処理要領では、就労経験があり年齢や体力の面で雇用が難しくなった方や、50歳以上の方などはB型の対象者の例に挙げられています。どちらにも当たらない方はアセスメントが求められ、令和7年10月以降は就労選択支援が基本とされていますが、個別の扱いは市区町村の窓口で確認してください。
Q. 就労移行支援からA型に移るときも、暫定支給決定の期間はありますか?
A. A型は暫定支給決定の対象なので、2か月以内のお試しの期間から始まるのが基本です。ただし、就労移行支援の事業所からアセスメント情報が引き継がれ、市区町村が改めての評価は要らないと判断した場合は、暫定支給決定を行わないこともあります。
まとめ
就労移行支援・A型・B型の受給者証は、サービスの種類ごとに支給決定を受ける仕組みで、有効期間の上限も就労移行支援は1年、A型・B型は3年(B型は支給決定時50歳未満なら1年)と違います。サービスを変えるときは変更申請ではなく、新しく使うサービスの支給申請が必要です。B型に移る前のアセスメントの要否は人によって違うため、市区町村の窓口や相談支援専門員に確かめながら進めてください。
切り替え先の候補としてB型を考え始めたら、ぽちぽちの道の見学予約から始められます。見学だけでも大丈夫です。制度の基本をまとめて確認したい方は「B型事業所の選び方チェックリスト」、申請の流れは「障害福祉サービス受給者証をもらうには」もあわせてご覧ください。
運営:ぽちぽちの道(株式会社イチドキリ)
- 見学だけでもOK
- その場で決めなくてOK
- ご家族・支援者と参加OK
何かを始めたい、新しい一歩を踏み出したい方へ
まずは、見学・相談から
始めてみませんか?

監修者
田中 眞奈美(サービス管理責任者)
介護職、生活支援員業務、就労移行支援事業所での管理者業務など、介護・福祉業界にて多彩な経験を持つ福祉のプロフェッショナル。ぽちぽちの道では、サービス管理責任者として個別支援計画の策定および支援全体のマネジメントを担う。

執筆者
徳永 崇志(職業指導員・株式会社イチドキリ 代表取締役)
岡山大学教育学部出身。株式会社日立システムズでエンジニアとしてキャリアをスタートし、株式会社リクルートで教育系SaaS「スタディサプリ」の法人営業に従事。その後、複数社で生成AIを活用したプロダクトの事業立ち上げを経験。ぽちぽちの道では、生成AI・ITを活用した生産活動の職業指導を担当。厚生労働省「精神・発達障害者しごとサポーター」講座修了。

