障害年金を受け取ると、親や配偶者の扶養から外れるのかが気になる方は多いと思います。「扶養」には健康保険の扶養と税金の扶養の2つがあり、障害年金の扱いは正反対です。この記事では、2つの扶養の違いを1枚の表にまとめ、B型の工賃を足したときの考え方も例で紹介します。扶養に入っている本人とご家族の方に向けた内容です。
障害年金をもらうと扶養から外れる?健康保険では収入に入り、税金では入りません
障害年金を受け取っても、それだけで扶養から外れるとは限りません。健康保険の扶養(被扶養者)では障害年金も収入に含めて判定し、障害者は年間収入180万円未満が目安です。一方、税金の扶養(扶養控除)では障害年金は非課税なので、所得に数えません。
同じ「扶養」でも、見ている制度が違います。まず2つを並べて比べます。
| 比べる点 | 健康保険の扶養(被扶養者) | 税金の扶養(扶養控除) |
|---|---|---|
| 障害年金を含めるか | 含める(公的年金は収入に入る) | 含めない(非課税の所得は数えない) |
| 基準額の目安 | 年間収入130万円未満。60歳以上または障害者は180万円未満 | 合計所得金額が令和7年分は58万円以下、令和8年分からは62万円以下 |
| いつの収入で見るか | これから1年間の見込み | その年の1月から12月の所得(12月31日の現況) |
| もう一つの条件 | 同居なら扶養する人の収入の半分未満、別居なら仕送り額未満 | 扶養する人と生計を一にしていること |
| 判定する人 | 加入している健康保険(協会けんぽ・健康保険組合など) | 税務署(会社員の家族は勤務先の年末調整) |
| 確認先 | 扶養している家族の勤務先・加入している健康保険 | 税務署・勤務先・市区町村の税務担当 |
健康保険の基準は日本年金機構「従業員が家族を被扶養者にするとき」(2026年7月13日更新)、税金の基準は国税庁「No.1180 扶養控除」(令和8年4月1日現在法令等)で確認した内容です。
つまり、障害年金の額が大きいと健康保険の扶養からは外れることがありますが、税金の扶養にはそのまま入れる場合が多い、という関係です。ここから、それぞれを順に見ていきます。
健康保険の扶養(被扶養者)は、障害年金も含めた年収180万円未満が目安です
健康保険の被扶養者とは、会社の健康保険に入っている家族(被保険者)に主として生計を維持されていて、その保険に一緒に入っている人のことです。被扶養者は自分で健康保険料を払わずに保険証を使えます。
日本年金機構は、被扶養者の収入要件を「年間収入130万円未満(60歳以上または障害者の場合は、年間収入180万円未満)」としています。同じページで、被扶養者の収入には雇用保険の失業等給付、公的年金、健康保険の傷病手当金なども含まれると案内しています。障害年金も公的年金なので、健康保険の扶養では収入として数えます。
協会けんぽ「被扶養者の認定における特例について」では、180万円未満の対象を「60歳以上または障害厚生年金を受けられる程度の障害者」と表記しています。障害年金を受けている方はここに当てはまることが多いと考えられますが、どの基準を使うかは加入先が判断します。
年間収入は「これから1年間の見込み」で判断されます
健康保険の年間収入とは、過去の収入ではなく、被扶養者に当てはまる時点から先の1年間に見込まれる収入のことです。日本年金機構のページにそう書かれています。去年の収入が少なくても、今年から障害年金が始まるなら、その年金を含めた見込みで考えます。
月の金額に直すと、180万円を12で割って月15万円です(この記事で計算した目安です)。日本年金機構が示している月額の目安は、130万円基準で給与収入がある場合の108,333円以下です。
障害年金などの非課税の収入がある場合、扶養の届け出には受取金額のわかる通知書などのコピーが必要と案内されています。税金がかからない収入でも、健康保険の扶養では金額を確認されるということです。
同居か別居かで、もう一つの条件が変わります
年間収入の基準に加えて、同居か別居かで次の条件があります。
- 同居している場合:本人の収入が、扶養する家族(被保険者)の収入の半分未満であること
- 別居している場合:本人の収入が、扶養する家族からの仕送り額より少ないこと
たとえば、グループホームや一人暮らしで親と別居している場合は、障害年金と工賃の合計が180万円未満でも、親からの仕送り額より多ければ条件を満たさないことになります。配偶者、子、孫、兄弟姉妹、父母などの直系尊属は同居していなくても被扶養者になれますが、それ以外の3親等内の親族は同居が必要です。
健康保険組合に入っている場合は、組合に確認します
ここで紹介した基準は、日本年金機構と協会けんぽの案内です。家族が大企業の健康保険組合や共済組合に入っている場合は、認定の方法や必要書類を組合ごとに定めていることがあります。扶養している家族の勤務先を通じて、加入している健康保険に確認してください。
障害年金を受けることで起きる変化は「障害年金のデメリット」、B型利用中の保険の基本は「B型利用中の健康保険はどうなる?」でも紹介しています。
健康保険の扶養から外れたら、国民健康保険と国民年金を考えます
健康保険の扶養から外れると、自分で国民健康保険に入る(勤め先の健康保険に入る場合を除く)のが基本です。扶養から外れたときは、家族の勤務先を通じて削除の届け出をし、お住まいの市区町村で国民健康保険の手続きをします。
国民健康保険では、保険料(志木市などでは国民健康保険税)を自分で払います。金額は世帯の所得や人数などをもとに市区町村が計算するため、いくらになるかは窓口で試算してもらうのが確実です。障害年金が保険料の計算にどう関わるかも、あわせて市区町村で確認してください。
国民年金は、扶養の種類によって話が変わります。
- 配偶者の扶養に入っていた人:会社員の配偶者に扶養されている人は国民年金の第3号被保険者です。日本年金機構は、配偶者の扶養を外れて厚生年金などに入らない場合は、国民年金第1号被保険者の加入手続きをするよう案内しています
- 親の扶養に入っている20歳以上の子:第3号被保険者は配偶者だけが対象のため、国民年金はもともと自分で入る第1号被保険者です。親の健康保険の扶養から外れても、国民年金の種別は変わりません
第1号被保険者は国民年金保険料を自分で納めますが、障害基礎年金や障害厚生年金の2級以上を受けている人は、届け出によって保険料が免除される「法定免除」の対象です(日本年金機構「国民年金保険料の法定免除制度」2025年5月27日更新)。免除を受けると将来の老齢基礎年金の額にも影響するため、くわしくは「障害年金と国民年金の法定免除」をご覧ください。
志木市にお住まいの方は、国民健康保険も国民年金も市役所の保険年金課が窓口です。国民健康保険グループは048-473-1645、国民年金グループは048-456-5360です(志木市「保険年金課」のページで確認)。
税金の扶養(扶養控除)では、障害年金は所得に数えません
税金の扶養とは、所得税や住民税を計算するときに、扶養している家族がいる人の税金を軽くするしくみです。家族を扶養親族にできると、扶養する人が扶養控除を受けられます。
国税庁「No.1180 扶養控除」では、扶養親族の要件のひとつを合計所得金額としていて、令和7年分は58万円以下、令和8年分以降は62万円以下です。障害年金は、日本年金機構のよくある質問「障害年金や遺族年金を受けている人にも公的年金等の源泉徴収票は送付されるのでしょうか。」(2024年12月27日更新)で、所得税の課税対象になっていない(非課税)と案内されています。
国税庁の確定申告書等作成コーナーの「非課税所得(遺族厚生年金)と扶養控除」(令和7年分)では、扶養親族に当たるかを判定するときの合計所得金額には、法令で非課税とされる所得は含まれないと説明しています。この考え方から、収入が障害年金だけであれば、税金の扶養の判定では所得がないものとして扱われることが多くなります。
ただし、障害年金のほかにアルバイトの給与や工賃などがあれば、その所得は合計所得金額に入ります。扶養控除の要件には年齢や生計を一にしているかなどもあるため、自分の家族の場合は税務署や勤務先の年末調整の担当に確認してください。
障害者控除は、扶養控除とは別に使える場合があります
障害者控除とは、本人や扶養親族などが所得税法上の障害者に当たるときに受けられる所得控除です。国税庁「No.1160 障害者控除」(令和8年4月1日現在法令等)では、納税者自身、同一生計配偶者または扶養親族が障害者に当たる場合が対象で、控除額は障害者27万円、特別障害者40万円、同居特別障害者75万円です。
障害年金を受けている家族を扶養親族にできれば、扶養控除に加えて障害者控除も受けられる場合があります。手続きや対象になる障害の範囲は「障害者控除とは?年末調整・確定申告での書き方と家族の税金」で説明しています。
B型に通いながら障害年金を受けている人の場合
B型に通いながら障害年金を受けている人は、健康保険の扶養では「障害年金+工賃」の合計で180万円未満かを考え、税金の扶養では工賃などの年金以外の所得だけで考えます。同じ収入でも、2つの扶養で見る金額が違います。
次の表は、考え方をつかむための例です。金額はこの記事で置いた仮の数字で、工賃額は事業所や作業時間で大きく変わります。障害基礎年金2級の額は、日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」の令和8年4月分からの年額847,300円(昭和31年4月2日以後生まれ)を使っています。
| 例 | 障害年金(年額) | 工賃(年額の例) | 健康保険で見る合計 | 健康保険の扶養の目安 | 税金の扶養で見る所得 |
|---|---|---|---|---|---|
| A:障害基礎年金2級のみ | 847,300円 | 月1万5千円×12か月=18万円 | 1,027,300円 | 180万円未満の範囲 | 工賃の所得だけ |
| B:障害厚生年金と障害基礎年金を合わせて受ける | 年160万円(仮の金額) | 月2万円×12か月=24万円 | 184万円 | 180万円以上の見込みになる | 工賃の所得だけ |
例Bのように、障害厚生年金も受けている人は年金だけで金額が大きくなりやすく、工賃を足すと180万円を超える見込みになることがあります。その場合は、税金の扶養には入れても、健康保険の扶養からは外れる可能性があります。例Aでも、別居で仕送り額のほうが少なければ条件を満たしません。
工賃そのものが扶養にどう影響するかは「B型の工賃で扶養は外れる?」、工賃の税金上の扱いは「就労継続支援B型の工賃は確定申告が必要?」にまとめています。
なお、20歳前の病気やけがによる障害基礎年金には、本人の所得が一定額を超えると年金の一部または全部が止まるしくみがあります。これは扶養とは別の制度で、「障害年金の所得制限」で解説しています。
障害年金と扶養で確認したいこと
障害年金を受け取り始めたとき、または工賃や年金の額が変わったときは、次の点を確認しておくと話が進めやすくなります。
- 本人が入っているのは、健康保険の扶養か、税金の扶養か、その両方か
- 扶養している家族が入っている健康保険はどこか(協会けんぽか、健康保険組合か)
- 障害年金の年額(年金証書や年金振込通知書で確認できる)
- 工賃やアルバイトなど、年金以外の収入の1年間の見込み
- 扶養している家族と同居か別居か、別居なら毎月の仕送り額
- 扶養から外れる場合、国民健康保険と国民年金の手続き先(市区町村の窓口)
健康保険の扶養は扶養している家族の勤務先と加入している健康保険に、税金の扶養は税務署か勤務先に、国民健康保険と国民年金は市区町村の窓口に聞くのが確実です。障害のある人が使えるお金の制度の全体像は「障害のある人がもらえるお金・手当の一覧」で見られます。
ぽちぽちの道の場合
扶養やお金の心配があって、B型に通う日数を決めかねている方もいます。ぽちぽちの道では、扶養から外れるかどうかや、控除を受けられるかどうかを判断することはできません。監修のサービス管理責任者も税や社会保険の専門家ではないため、個別の判断は加入している健康保険・税務署・市区町村の窓口にご相談ください。そのうえで、年金や工賃のことを気にしながらB型の利用を考えるときの相談はお受けしています。
ぽちぽちの道は、東武東上線「志木駅」東口から徒歩2分にある、IT・パソコン作業に特化した就労継続支援B型事業所です。送迎は行っていないため、見学のときに通い方を一緒に確認します。
作業内容はパソコン作業が中心で、データ入力、Canvaでの画像・SNS素材づくり、生成AIを使った文章の下書きや調べ物などに取り組んでいます。パソコンが苦手な方や未経験の方も歓迎しており、週1日からの通所も相談できます。工賃は見学時にご案内しますので、扶養の窓口に伝える収入の見込みを考える材料にしてください。障害年金を受けながら通えるかは「障害年金とB型は両立できる?」でも紹介しています。
「扶養のことが心配で、まだ見学に行く段階ではない」という方も、LINEでの相談や見学を受け付けています。
障害年金と扶養についてよくある質問
障害年金は健康保険の扶養の年収130万円(180万円)に含まれますか?
含まれます。日本年金機構は、被扶養者の収入には公的年金も含まれると案内しており、障害年金も年間収入に数えます。障害者の場合の目安は180万円未満ですが、運用は加入している健康保険によって異なる場合があるため、家族の勤務先を通じて確認してください。
障害年金だけの収入なら、親の扶養控除の対象になりますか?
対象になる場合が多いです。障害年金は非課税で、扶養親族かどうかを判定する合計所得金額には非課税の所得は含まれないとされています。ただし、年齢や生計を一にしているかなどほかの要件もあるため、税務署や親の勤務先で確認してください。
障害厚生年金をもらうと健康保険の扶養から外れやすいのはなぜですか?
障害厚生年金は障害基礎年金に上乗せされることがあり、年金だけで年額が大きくなりやすいためです。健康保険の扶養では年金も収入に含めるので、工賃などを足すと180万円以上の見込みになることがあります。年額は年金証書や振込通知書で確認し、加入している健康保険に相談してください。
障害年金で健康保険の扶養から外れたら、国民年金の保険料も払うことになりますか?
親の扶養に入っている20歳以上の子は、もともと国民年金の第1号被保険者なので、健康保険の扶養から外れても国民年金の種別は変わりません。配偶者の扶養から外れた人は第1号被保険者の手続きが必要です。障害年金の2級以上を受けている人は法定免除の対象になるため、市区町村の国民年金の窓口で届け出を確認してください。
別居している親の扶養に入り続けるには、障害年金と仕送りの関係はどうなりますか?
別居の場合は、年間収入が180万円未満であることに加えて、本人の収入が親からの仕送り額より少ないことが条件とされています。障害年金と工賃の合計が仕送り額を上回ると、条件を満たさないことがあります。仕送りの記録が求められることもあるため、加入している健康保険に必要書類を確認してください。
まとめ
障害年金を受け取ると、健康保険の扶養では年金も収入に含めて年収180万円未満かを見られ、税金の扶養では非課税のため所得に数えません。B型に通っている人は、健康保険では「年金+工賃」、税金では「工賃などの年金以外の所得」で考えると整理しやすくなります。個別の判断は、加入している健康保険・税務署・市区町村の窓口で確認してください。
お金のことが気になってB型に通うかどうか迷っているときは、LINEでの相談や見学から始められます。質問だけでも大丈夫です。
運営:ぽちぽちの道(株式会社イチドキリ)
どこに相談すればいいか迷ったら
お住まいの地域で相談するには
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監修者
田中 眞奈美(サービス管理責任者)
介護職、生活支援員業務、就労移行支援事業所での管理者業務など、介護・福祉業界にて多彩な経験を持つ福祉のプロフェッショナル。ぽちぽちの道では、サービス管理責任者として個別支援計画の策定および支援全体のマネジメントを担う。

執筆者
徳永 崇志(職業指導員・株式会社イチドキリ 代表取締役)
岡山大学教育学部出身。株式会社日立システムズでエンジニアとしてキャリアをスタートし、株式会社リクルートで教育系SaaS「スタディサプリ」の法人営業に従事。その後、複数社で生成AIを活用したプロダクトの事業立ち上げを経験。ぽちぽちの道では、生成AI・ITを活用した生産活動の職業指導を担当。厚生労働省「精神・発達障害者しごとサポーター」講座修了。

