障害者手帳を持っている人などは、前年の合計所得金額が135万円以下なら住民税が非課税になります。この記事では、障害者の住民税が非課税になる条件を地方税法と志木市の案内で確かめ、障害者控除との違い、障害年金が計算に入らない理由、B型の工賃やアルバイトとの関係、非課税になると変わる利用料などを、本人・ご家族の方向けに整理します。
障害者は前年の合計所得金額が135万円以下なら、住民税が非課税になります
住民税(市町村民税と道府県民税)は、税法上の障害者に当たる人で、前年の合計所得金額が135万円以下なら課されません。地方税法第295条第1項第2号(市町村民税)と第24条の5第1項第2号(道府県民税)に定められています。
志木市「個人市・県民税(住民税)について」(2026年8月12日更新)も、障害者で前年中の合計所得金額が135万円以下(給与の収入金額では204万4千円未満)の人は、均等割・所得割とも課税されないと案内しています。
- 基準は「前年」の所得:令和8年度の住民税は、令和7年1月から12月の所得で判定されます
- 障害年金は計算に入らない:障害年金には税金をかけないと法律で決まっているため、135万円に含めません
- 判定は市区町村:自分が当てはまるかは、お住まいの市区町村の税務担当が判断します
135万円の基準は2026年9月時点の条文でも同じです。翌年度以降の基準は市区町村の案内で確認してください。
住民税の「非課税」と「障害者控除」はどう違う?
非課税とは、条件に当てはまる人にはそもそも住民税をかけないしくみです。障害者控除とは、税金を計算するときに所得から一定額を差し引いて、税額を小さくするしくみです。どちらも手帳などが関係するため、混同されやすい制度です。
| 比べる点 | 非課税(135万円以下) | 障害者控除 |
|---|---|---|
| しくみ | 住民税を課さない | 所得から差し引いて税額を減らす |
| 住民税の額 | 均等割・所得割とも0円 | 課税される場合もある |
| 使える条件 | 本人が障害者で前年の合計所得金額135万円以下 | 本人または扶養している家族が障害者 |
| 家族の税金 | 本人の住民税の話 | 扶養している家族も使える |
非課税かどうかを判定する「合計所得金額」は、障害者控除などの所得控除を引く前の所得の合計です(地方税法第292条第1項第13号)。そのため、障害者控除を使っても135万円の判定は変わりません。所得税・住民税の障害者控除のくわしい使い方は「障害者控除(年末調整・確定申告)」で解説しています。
住民税でいう「障害者」に当たる人
国税庁「障害者と税」(暮らしの税情報 令和8年度版)は、所得税の障害者として、身体障害者手帳に障害がある者として記載されている人、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人、知的障害者と判定された人などを挙げています。住民税の障害者は地方税法第292条と政令で定められており、手帳を持っている人はこの範囲に入るのが一般的です。
障害年金を受けていても、手帳がなく上の範囲に当たらなければ、税法上の障害者にはなりません。その場合は一般の基準で判定され、志木市では扶養親族がいない人は合計所得金額45万円以下で均等割・所得割とも非課税です。手帳で受けられる制度の全体は「障害者手帳のメリット一覧」にまとめています。
障害年金は非課税所得なので、135万円の計算に入りません
障害年金は、住民税の非課税の判定で所得に含めません。国民年金法第25条と厚生年金保険法第41条第2項は、老齢の年金を除き、給付として受けた金銭を基準に租税その他の公課を課すことはできないと定めています。日本年金機構の「よくある質問」(2024年12月27日更新)も、障害年金は非課税のため源泉徴収票が送られないと案内しています。
たとえば、令和8年4月分からの障害基礎年金2級は年847,300円(昭和31年4月2日以後生まれの方)ですが、この金額は住民税の所得には入りません。障害年金だけで暮らしている人は、ほかに所得がなければ住民税がかからないことが多いと考えられます。
健康保険の扶養では障害年金も収入に数えるなど、制度によって扱いは違います。扶養の考え方は「障害年金をもらうと扶養から外れる?」で整理しています。
住民税が非課税になると、利用料や医療費の区分が変わります
住民税が非課税かどうかは、福祉サービスや医療費の自己負担を決める物差しとして使われています。国や加入先の公式ページで確認できたものを表にまとめました。
| 制度 | 非課税の場合の扱い | 判定する世帯 | 出典 |
|---|---|---|---|
| B型など障害福祉サービスの利用者負担 | 負担上限月額0円(市町村民税非課税世帯) | 18歳以上は本人と配偶者 | 厚生労働省 |
| 自立支援医療(精神通院医療など) | 低所得1は月2,500円、低所得2は月5,000円が上限 | 同じ医療保険の世帯 | 厚生労働省 |
| グループホームの家賃 | 1人あたり月1万円を上限に補足給付 | 生活保護または低所得の世帯 | 厚生労働省 |
| 高額療養費(協会けんぽ・70歳未満) | 区分オ:月36,900円(多数回24,600円) | 被保険者が住民税非課税 | 協会けんぽ |
厚生労働省「障害者の利用者負担」では、18歳以上の障害者は、所得を判断する世帯の範囲を本人とその配偶者としています。親と同居していても、親の課税状況ではなく本人(と配偶者)で見ることになります。利用料のしくみは「B型事業所の利用料はいくら?0円になる条件」でくわしく説明しています。
自立支援医療は、厚生労働省の資料で本人の年収82.65万円以下の非課税が低所得1とされています。高額療養費は協会けんぽ「高額な医療費を支払ったとき」の令和8年8月から令和9年7月の額で、国民健康保険などの人は加入先で確認してください。
「本人が非課税」と「住民税非課税世帯」は別の考え方です
本人が非課税でも、同じ世帯の家族に住民税がかかっていれば、「住民税非課税世帯」には当たらないことがあります。非課税世帯とは、判定の対象になる世帯の全員が住民税非課税である世帯のことです。
給付金などの対象は、住民票の世帯全員が非課税かどうかで判定されることが多いとされています。一方、B型の利用者負担のように世帯の範囲を制度ごとに決めているものもあるため、案内文の「世帯」の定義を確かめてください。
収入がなくても、住民税の申告をしておくと安心です
所得が少なくても、住民税の申告をしていないと、市区町村が非課税かどうかを判定できないことがあります。志木市「令和8年度 市・県民税の申告について」は、前年中に収入がなかった人のうち、控除対象配偶者や扶養親族になっていない人は申告が必要としています。その理由として、課税(非課税)証明書の交付や、国民健康保険税・介護保険料の算定などを挙げています。
申告の前に、次の点を確認しておくと手続きがスムーズです。
- 確定申告書を出したか(出した人は住民税の申告が不要とされています)
- 家族の扶養に入っているか(扶養に入っていない人は申告の対象になります)
- 工賃やアルバイト代の支払額が分かる明細と、障害者手帳を用意できるか
志木市の令和8年度の申告期間は2月16日から3月16日まで、問い合わせ先は課税課 市民税グループ(048-473-1126)です。工賃と申告の関係は「B型の工賃は確定申告が必要?」でも紹介しています。
B型に通っている人の場合は、工賃とアルバイトの合計で考えます
B型に通い、工賃が少なく収入の中心が障害年金という人は、住民税が非課税になることが多いと考えられます。障害年金は計算に入らず、判定に入るのは工賃などの所得だけだからです。ただし、アルバイトの給与と合わせると135万円に届くことがあります。
次の表は、手帳を持つ人を想定し、工賃を必要経費のない所得として年12万円と仮定した例です。金額はすべて説明のための例で、実際の工賃や税の扱いとは異なります。給与は国税庁「No.1410 給与所得控除」の令和7年分の表(給与収入190万円までは控除65万円)で計算しています。
| 例 | 年間の収入 | 合計所得金額の目安 | 135万円との比較 |
|---|---|---|---|
| A:B型のみ | 障害年金2級 年847,300円+工賃12万円 | 12万円(年金は含めない) | 下回る |
| B:B型+短時間バイト | 工賃12万円+給与収入100万円 | 12万円+35万円=47万円 | 下回る |
| C:バイト中心 | 工賃12万円+給与収入190万円 | 12万円+125万円=137万円 | 上回る |
例Cは、給与収入が204万4千円未満でも工賃の分で135万円を超える例です。給与所得控除は令和8年分から変わっており、実際の計算は市区町村が行います。B型とアルバイトを両立するときのルールは「B型に通いながらバイトはできる?」、工賃で家族の扶養がどうなるかは「B型の工賃で扶養は外れる?」で説明しています。
ぽちぽちの道の場合
住民税や利用料の不安は、B型に通い始める前に相談される方が多いテーマです。ぽちぽちの道では、住民税が非課税になるかどうかを判断することはできません。監修のサービス管理責任者も税の専門家ではないため、個別の判定は市区町村の税務担当や税務署にご確認ください。そのうえで、B型の利用を考えるときの相談はお受けしています。
ぽちぽちの道は、東武東上線「志木駅」東口から徒歩2分にある、IT・パソコン作業に特化した就労継続支援B型事業所です。送迎は行っていないため、見学のときに通い方を一緒に確認します。
作業内容はパソコン作業が中心で、データ入力、Canvaでの画像・SNS素材づくり、生成AIを使った文章の下書きや調べ物などに取り組んでいます。パソコンが苦手な方や未経験の方も歓迎しており、週1日からの通所も相談でき、工賃は見学時にご案内します。お金のことが気になって一歩を踏み出せない段階でも、見学やLINEでの相談を受け付けています。
障害者の住民税の非課税についてよくある質問
障害年金だけで暮らしていても、住民税はかかりますか?
障害年金は法律で税金をかけないと定められているため、住民税の所得には入りません。ほかに所得がなければ、住民税はかからないことが多いと考えられます。ただし、収入がなくても申告が必要な場合があるため、お住まいの市区町村の案内を確認してください。
障害者手帳がないと、住民税の135万円の基準は使えませんか?
135万円の基準は、税法上の障害者に当たる人が対象です。手帳がなく障害者の範囲に当たらない場合は一般の基準で判定され、志木市では扶養親族がいない人は合計所得金額45万円以下で非課税です。自分がどちらに当たるかは、市区町村の税務担当で確認してください。
B型の工賃は、住民税が非課税かどうかの判定に入りますか?
工賃は所得として判定に入ることがあります。障害年金は入りませんが、工賃やアルバイト代は合計所得金額に含めて考えるのが基本です。工賃がどの所得に当たるかは個別の事情によるため、税務署や市区町村に確認してください。
親と同居していると、住民税が非課税でもB型の利用料はかかりますか?
18歳以上の障害者の場合、B型などの利用者負担は本人と配偶者の所得で判定され、親の課税状況は含めません。本人(と配偶者)が市町村民税非課税なら、負担上限月額は0円の区分です。実際の区分は受給者証に書かれるので、市区町村の障害福祉の窓口で確認してください。
住民税が非課税かどうかは、どこで確かめられますか?
お住まいの市区町村で交付される課税(非課税)証明書で確かめられます。住民税の申告をしていないと証明書が出せない場合があるため、収入が少ない年も申告しておくと安心です。志木市では課税課 市民税グループが担当しています。
まとめ
障害者手帳を持つ人などは、前年の合計所得金額が135万円以下なら住民税が非課税になり、障害年金はこの計算に入りません。非課税かどうかはB型の利用料や自立支援医療の区分にも関わるため、収入が少ない年も住民税の申告をしておき、判定は市区町村の税務担当で確認してください。
B型の利用とお金のことを一緒に考えたいときは、LINEでの相談や見学から始められます。質問だけでも大丈夫です。手当や給付をまとめて確認したい方は「障害者の手当・もらえるお金一覧」もあわせてご覧ください。
運営:ぽちぽちの道(株式会社イチドキリ)
どこに相談すればいいか迷ったら
お住まいの地域で相談するには
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監修者
田中 眞奈美(サービス管理責任者)
介護職、生活支援員業務、就労移行支援事業所での管理者業務など、介護・福祉業界にて多彩な経験を持つ福祉のプロフェッショナル。ぽちぽちの道では、サービス管理責任者として個別支援計画の策定および支援全体のマネジメントを担う。

執筆者
徳永 崇志(職業指導員・株式会社イチドキリ 代表取締役)
岡山大学教育学部出身。株式会社日立システムズでエンジニアとしてキャリアをスタートし、株式会社リクルートで教育系SaaS「スタディサプリ」の法人営業に従事。その後、複数社で生成AIを活用したプロダクトの事業立ち上げを経験。ぽちぽちの道では、生成AI・ITを活用した生産活動の職業指導を担当。厚生労働省「精神・発達障害者しごとサポーター」講座修了。

