B型の工賃はどう決まる?時給・日給・能力給の違いと見学で聞くこと

B型の工賃はどう決まる?時給・日給・能力給の違いと見学で聞くこと

就労継続支援B型の工賃の決め方は、国の基準で決まっている部分と、事業所ごとに決めている部分に分かれます。この記事では、工賃の元になるお金のルール、時給制・日給制・出来高・能力給の違い、評価表で見られやすい項目を、B型の利用を考えている本人・ご家族の方向けに整理し、見学で聞いておきたいことをチェックリストにまとめました。

志木市にお住まいでない方も、利用できます

都内から通う方も。遠方の方は在宅で利用できる場合があります。

どこから通える? 地図を見る
志木市朝霞市新座市和光市富士見市ふじみ野市三芳町さいたま市東京都池袋ぽちぽちの道

志木市のまわりの市町のほか、東武東上線で都内から通っている方もいます。

地図:国土数値情報(行政区域データ)を加工して作成

お住まいの地域で相談するには(3ステップ)
  1. 1

    住んでいる市区町村の障害福祉の窓口へ

    B型などのサービスを使うための受給者証は、住んでいる市区町村に申請します。課の名前は自治体によって違います。

  2. 2

    相談支援専門員と一緒に考える

    どのサービスをどう組み合わせるかは、相談支援専門員とサービス等利用計画をつくりながら決めていきます。

  3. 3

    近くのB型事業所を地域から探す

    WAM NETの「障害福祉サービス事業所検索」で、都道府県を選んで地域の事業所を探せます。

目次

B型の工賃の決め方は「元になるお金」は国の基準、「分け方」は事業所ごとに決まります

B型の工賃は、事業所が作業(生産活動)で得た収入から、その作業に必要な経費を差し引いた額を、利用者に工賃として支払う決まりになっています。そのうえで、一人ひとりにどう分けるか(時間で計算するか、日数か、作業量か、評価で加算するか)は、各事業所が決めています。

まず押さえておきたいのは、次の3点です。

  • 元になるお金は国の基準で決まっている:作業の収入から必要な経費を引いた額に相当する金額を、工賃として支払う
  • 分け方は事業所ごとに違う:時給制・日給制・出来高・能力給(評価による加算)を組み合わせている事業所もある
  • 説明を受ける機会がある:事業所は年度ごとに工賃の目標水準を決め、その目標と前年度の平均額を利用者に知らせることになっている

国の指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準第201条第1項は、「生産活動に係る事業の収入から生産活動に係る事業に必要な経費を控除した額に相当する金額を工賃として支払わなければならない」と定めています。一方で、時給にするか出来高にするかといった一人ひとりへの分け方は、この条文には書かれていません。

工賃という言葉の意味や全国の平均額は「工賃とは?平均額と給料との違い」で解説しています。この記事は「どう決まるか」に絞ってお伝えします。

工賃の決め方の種類|時給制・日給制・出来高・能力給の違い

B型の工賃の決め方には、大きく分けて時給制、日給制、出来高、能力給(評価による加算)の4つの考え方があります。どれが良い悪いではなく、作業の種類や事業所の考え方によって選ばれており、ひとつだけでなく組み合わせている場合もあります。

時給制とは、作業した時間に時間あたりの単価をかけて工賃を計算する決め方のことです。出来高とは、作ったものの数や入力した件数など、作業の量に応じて工賃を計算する決め方のことです。

次の表は、一般的な例として特徴をまとめたものです。実際の単価や計算のしかたは事業所ごとに違います。

決め方しくみ(一般的な例)合いやすい人確認したい点
時給制作業した時間×時間あたりの単価短時間から始めたい人、作業の速さに不安がある人休憩や準備・片づけの時間を含むか、単価の見直し時期
日給制通所した日数×1日あたりの単価1日の流れに沿って通いたい人午前だけ・遅刻・早退の日はどう数えるか
出来高(作業量)作った数や入力件数×1件あたりの単価自分のペースで量をこなしたい人作業ごとの単価、ミスがあった分の扱い
能力給(評価で加算)基本の工賃に、評価の結果に応じた額や単価の上乗せ目標があると続けやすい人評価項目、評価の頻度、だれが評価するか

実際は「基本の決め方+加算」の組み合わせもあります

時給や日給で基本の工賃を決め、そこに評価や作業量による加算を上乗せする組み合わせもあります。たとえば「基本は時間で計算し、半年ごとの評価で単価が変わる」「基本は日数で計算し、担当した作業によって上乗せがある」といった形です。どの形でも、元になるお金は作業の収入から経費を引いた額なので、仕事の量や単価が変われば工賃の単価が見直されることもあります。

手当や賞与も「工賃」に含まれます

厚生労働省の通知「就労移行支援事業、就労継続支援事業(A型、B型)における留意事項について」(令和7年3月31日)では、工賃実績を報告するときの工賃を、工賃、給与、手当、賞与その他名称を問わず、事業者が利用者に支払うすべてのもの、としています。皆勤手当や年末の賞与のような名前で支払われるお金があっても、それだけが別枠のお金というわけではありません。規程を見るときは、基本の部分と手当の部分をあわせて確認すると全体がつかみやすくなります。

能力給・評価表とは?評価されやすい項目と注意点

能力給とは、作業の正確さや通所の安定などを評価し、その結果に応じて工賃の単価や加算額を変える決め方のことです。事業所によって「評価給」「ランク」「加算」など呼び方が違い、評価の内容を1枚の表にまとめたものを評価表と呼ぶことがあります。

評価表の項目は事業所ごとに違いますが、一般的には次のような点が見られることがあります。

項目の例見られることの例
通所・出勤予定した日に通えているか、休むときに連絡できているか
時間開始時間を守れているか、休憩のとり方
作業量決められた時間でどのくらい進められたか
正確さミスの少なさ、見直しをしているか
報告・連絡・相談分からないときに聞けるか、終わったら報告できるか
協調性ほかの利用者やスタッフと協力して作業できるか
意欲・挑戦新しい作業や道具に取り組もうとしているか

表にある項目がすべて使われるとは限らず、作業の種類に合わせて項目を絞っている事業所もあります。

評価と個別支援計画の関係は、事業所ごとに確認を

B型では、サービス管理責任者が一人ひとりの個別支援計画をつくり、定期的に実施状況を確認して見直します(モニタリング)。国の基準では、計画の見直しを少なくとも6か月に1回以上行うこととされています(第202条で準用する第58条)。

工賃の評価を、個別支援計画の目標やモニタリングの面談と結びつけている事業所もあれば、別の仕組みとして扱っている事業所もあります。評価の結果を面談で一緒に振り返れるかどうかは、事業所に聞いてみてください。計画の流れは「個別支援計画とは?」で紹介しています。

能力給で気をつけたい4つのこと

能力給は目標を持ちやすい一方で、体調に波がある人にとっては不安の種になることもあります。次の4点を確認しておくと、通い始めてから戸惑いにくくなります。

  1. 体調不良で休んだ月の扱い:通所の評価が下がるのか、事前に連絡すれば配慮されるのか
  2. 評価の頻度と時期:毎月か、半年ごとか。評価が上がったらいつから工賃に反映されるか
  3. だれがどう評価するか:担当スタッフだけか、複数人で見るのか。本人の自己評価はあるか
  4. 結果の伝え方:点数だけでなく、理由や次の目標を説明してもらえるか

評価の結果や工賃の計算に納得できないときは、まず事業所に説明を求めてください。それでも納得できないときは、担当の相談支援専門員や、お住まいの市区町村の障害福祉の窓口に相談できます。確かめ方は「B型事業所おかしいと感じたときに確認したいこと」でも整理しています。

「月3,000円」は事業所全体の平均額の下限で、一人ひとりの保証ではありません

工賃の話でよく出る3,000円は、事業所が利用者に支払う1か月あたりの工賃の平均額の下限です。一人ひとりに毎月3,000円以上を約束する決まりではないため、通った日数や時間が少ない月は、個人の工賃がこれを下回ることもありえます。

根拠は、国の基準第201条第2項の「一月当たりの工賃の平均額」は「三千円を下回ってはならない」という規定です。先ほどの厚生労働省の留意事項通知では、この基準を満たしていない事業所には重点的に指導監査を行うよう、自治体に求めています。

同じ第201条の第4項では、事業所は年度ごとに工賃の目標水準を設定し、その目標と前年度の工賃の平均額を利用者に知らせ、都道府県に報告することになっています。見学のときに前年度の平均額や今年度の目標をたずねるのは、遠慮しなくて大丈夫です。

全国の状況をみると、厚生労働省「令和6年度工賃(賃金)の実績について」では、B型事業所の平均工賃は月額24,141円でした。平均額はあくまで事業所全体の数字です。B型の工賃が低くなりやすい仕組みは「B型の工賃はなぜ安い?」で詳しく説明しています。

B型に通いたい人・通っている人の場合|工賃の決め方を聞くチェックリスト

B型に通いたい人も、いま通っている人も、工賃の決め方は「文書で確認し、自分の通い方に当てはめて聞く」のが確実です。金額の大小だけで比べるより、決まり方が自分に合っているかを見たほうが、通い始めてからのずれが小さくなります。

見学や面談で聞いておきたいことを、チェックリストにしました。

  • □ 工賃の決まりを書いた規程などの文書を見せてもらえますか
  • □ 時給制・日給制・出来高のどれですか。組み合わせていますか
  • □ 能力給や評価による加算はありますか。評価項目と頻度、だれが評価するかを教えてください
  • □ 週の通所日数や1日の時間を少なめにした場合、工賃はどう計算されますか
  • □ 体調不良で休んだ日や、遅刻・早退した日はどう扱われますか
  • □ 手当や賞与のような支払いはありますか
  • □ 前年度の平均工賃と、今年度の目標はどのくらいですか
  • □ 工賃は月ごとに計算されますか。支払日と受け取り方を教えてください
  • □ 工賃とは別に、利用料(自己負担)や昼食代などの費用はかかりますか

支払日や受け取り方の一般的な流れは「B型の工賃はいつ・どう支払われる?」、自己負担のしくみは「B型事業所の利用料はいくら?」で確認できます。短い時間から通う考え方は「B型は短時間・午後からでも通える?」も参考にしてください。

いま通っている人は、明細と面談で確かめられます

すでにB型に通っていて工賃の決まり方がよく分からないときは、工賃の明細に書かれた内訳(時間、日数、加算など)を見ながら、スタッフに計算のしかたを聞いてみてください。評価による加算がある事業所なら、評価の面談のときに「どこができていて、何ができると上がるのか」をたずねると、次の目標が見えやすくなります。工賃が増えたときの家族の扶養への影響は「B型の工賃で扶養は外れる?」で整理しています。

見学当日の流れや質問のしかたは「B型事業所の見学では何をする?」、事業所選び全体の確認項目は「B型事業所の選び方チェックリスト」にまとめています。

気になる事業所があれば、工賃の説明を聞くつもりで見学を予約してみてください。見学だけでも大丈夫です。

ぽちぽちの道の場合(工賃のしくみは見学で率直に説明します)

工賃の決め方は、文章で読むより、実際の作業を見ながら聞いたほうが分かりやすいものです。ぽちぽちの道では、見学のときに工賃のしくみを率直に説明し、週1日など少なめの日数で通う場合の考え方や、休んだときの扱いについての質問にもお答えしています。

ぽちぽちの道は、東武東上線「志木駅」東口から徒歩2分にある、IT・パソコン作業に特化した就労継続支援B型事業所です。送迎は行っていないため、通い方も見学のときに一緒に確認します。

作業内容はパソコン作業が中心で、データ入力、Canvaでの画像・SNS素材づくり、生成AIを使った文章の下書きや調べものなどに取り組んでいます。パソコンが苦手な方や未経験の方も、スタッフと生成AIがサポートします。「作業のどこが工賃につながるのか」「自分の体調でどのくらい通えそうか」といった具体的なことも、見学やLINEでの相談でお気軽にたずねてください。

B型の工賃の決め方についてよくある質問

B型の工賃が時給制なら、最低賃金と同じくらいの時給になりますか?

時給制でも、最低賃金額を基準に単価を決める仕組みにはなっていません。B型は雇用契約を結ばないサービスで、工賃は作業の収入から必要な経費を引いた額をもとに支払うと国の基準で決まっているためです。時間あたりの単価は事業所ごとに違うので、見学で確認してください。

能力給の評価が下がると、次の月から工賃が減ることはありますか?

評価の結果で単価や加算額が変わる決め方の事業所では、評価が下がると工賃が減る場合があります。いつから反映されるか、体調による休みがどう扱われるかは事業所の規程によって違います。評価が下がった理由と、上げるための目標を説明してもらうと納得しやすくなります。

B型の工賃の評価表は、利用者や家族も見せてもらえますか?

見せてもらえるかどうかは事業所によりますが、評価の項目や結果の説明を求めることは遠慮しなくて大丈夫です。国の基準では、事業所は工賃の目標水準と前年度の平均額を利用者に知らせることになっています。評価の内容が分からないときは、面談の場でたずねてみてください。

B型の工賃の決め方は、通い始めたあとに変わることがありますか?

変わることがあります。工賃の元になるお金は作業の収入から経費を引いた額なので、受けている仕事の量や単価が変わると、工賃の単価や加算が見直される場合があります。変更があるときは、どこがどう変わるのか説明を受けて、分からない点は確認してください。

B型の見学で、家族が工賃の決め方を質問しても失礼になりませんか?

失礼にはなりません。工賃の決まり方は、本人が安心して通えるかに関わる大切な情報です。規程の文書があるか、評価はどう行うか、休んだ月はどうなるかなどを、本人と一緒に聞いておくと、あとで家族で話し合いやすくなります。

まとめ

B型の工賃は、作業の収入から必要な経費を引いた額を工賃として支払うと国の基準で決まっており、一人ひとりへの分け方は、時給制・日給制・出来高・能力給などを組み合わせて各事業所が決めています。3,000円は事業所全体の平均額の下限で、個人の保証ではありません。金額の大小より、決まり方が自分の通い方に合うかを、規程と説明で確かめることが大切です。

工賃のしくみを聞いてみたい方は、見学や相談からどうぞ。見学だけでも大丈夫です。工賃を含むお金と制度の全体像は「障害者の手当・もらえるお金一覧」から探せます。

運営:ぽちぽちの道(株式会社イチドキリ)


どこに相談すればいいか迷ったら

お住まいの地域で相談するには

  1. 1

    住んでいる市区町村の障害福祉の窓口へ

    B型などのサービスを使うための受給者証は、住んでいる市区町村に申請します。課の名前は自治体によって違います。

  2. 2

    相談支援専門員と一緒に考える

    どのサービスをどう組み合わせるかは、相談支援専門員とサービス等利用計画をつくりながら決めていきます。

  3. 3

    近くのB型事業所を地域から探す

    WAM NETの「障害福祉サービス事業所検索」で、都道府県を選んで地域の事業所を探せます。

どこから通える?

志木市朝霞市新座市和光市富士見市ふじみ野市三芳町さいたま市東京都池袋ぽちぽちの道

地図:国土数値情報(行政区域データ)を加工して作成

志木市のまわりの市町のほか、東武東上線で都内から通っている方もいます。通うのが難しい方は、在宅で利用できる場合があります。

いまの状況に近いものを選んでください

志木駅まで通える

見学・体験したい

志木駅東口から徒歩2分です。

LINEで予約

通うのは難しい

在宅で使いたい

在宅就労もできます。まずお住まいの市区町村で、在宅での利用ができるか確認してください。

在宅利用とは

まだ決めていない

制度を調べている

上の①〜③の順に進めると、迷わず手続きできます。

①に戻る

監修者 田中 眞奈美の写真

監修者
田中 眞奈美(サービス管理責任者)
介護職、生活支援員業務、就労移行支援事業所での管理者業務など、介護・福祉業界にて多彩な経験を持つ福祉のプロフェッショナル。ぽちぽちの道では、サービス管理責任者として個別支援計画の策定および支援全体のマネジメントを担う。

執筆者 徳永 崇志の写真

執筆者
徳永 崇志(職業指導員・株式会社イチドキリ 代表取締役)
岡山大学教育学部出身。株式会社日立システムズでエンジニアとしてキャリアをスタートし、株式会社リクルートで教育系SaaS「スタディサプリ」の法人営業に従事。その後、複数社で生成AIを活用したプロダクトの事業立ち上げを経験。ぽちぽちの道では、生成AI・ITを活用した生産活動の職業指導を担当。厚生労働省「精神・発達障害者しごとサポーター」講座修了。

目次