不登校を経験した10代後半〜20代のご本人と、その親御さんに向けた記事です。文部科学省の追跡調査で分かっている「その後」の数字、中卒・高校中退・通信制在学中など今の状況別の進路、就職の面接での伝え方、障害や診断がある場合とない場合で使える窓口の違いを、表で整理しました。
不登校のその後は?20歳の時点で8割以上が働くか学んでいます
不登校を経験した人のその後は一つではありません。文部科学省の追跡調査では、中学3年生のときに不登校だった人の8割以上が、20歳の時点で働いているか、学校で学んでいるかのどちらか、または両方でした。不登校だった過去だけで、就職の道が閉ざされるわけではありません。
不登校とは、文部科学省の調査では、病気や経済的な理由などを除き、心理的・情緒的・身体的・社会的な要因や背景によって、登校しない、あるいは登校したくてもできない状態のことです。統計では、年度内に30日以上登校しなかった児童生徒を数えます。
追跡調査の結果(20歳時点の状況)は次のとおりです。
| 20歳時点の状況 | 割合 |
|---|---|
| 働いている(就業のみ) | 34.5% |
| 学校で学んでいる(就学のみ) | 27.8% |
| 学びながら働いている(就学と就業) | 19.6% |
| 学んでも働いてもいない | 18.1% |
出典は文部科学省「不登校に関する実態調査~平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書~(概要版)」(平成26年7月公表)です。平成18年度に中学3年生で不登校だった生徒を対象に、平成24年に本人へのアンケートを行い、1,604人が回答しました。同じ調査では、高校への進学率が85.1%、大学・短大・高専などへの進学率が22.8%でした。働き方ではパート・アルバイト(32.2%)が正社員(9.3%)を上回っています。
この調査は10年以上前のもので、今の人がみな同じ道をたどるとは限りません。なお、文部科学省「令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」(令和7年10月公表)では、小・中学校の不登校児童生徒は約35万4千人(12年連続の増加)、高校は約6万8千人でした。
今の状況別に見る、不登校から就職までの進路
不登校から就職を考えるときは、まず「学歴がいまどこで止まっているか」と「年齢」で、次の選択肢を絞ると迷いにくくなります。学歴を整えてから働く道も、働きながら学歴を考える道も選べます。
| 今の状況 | 学びの選択肢 | 働く・相談の選択肢 |
|---|---|---|
| 中学卒業後、進学していない(15〜17歳) | 通信制・定時制高校への入学。16歳になる年度からは高卒認定試験も受けられる | サポステ(15歳から)、ハローワーク、アルバイト |
| 高校を中退した | 通信制高校に入り直す(学校によって前の高校の単位を生かせる場合がある)、高卒認定試験(高校で取った単位で科目免除を受けられる場合がある) | サポステ、わかものハローワーク、アルバイト |
| 通信制高校に在学中 | 卒業を目指す(卒業には74単位以上などが必要) | 在学中のアルバイト、学校の進路相談 |
| 高卒・高卒認定後、働いたことがない(18〜20代) | 専門学校・大学、職業訓練(ハロートレーニング) | わかものハローワーク(おおむね35歳未満)、ハローワーク、サポステ(49歳まで) |
| 障害や病気の診断がある | 上の選択肢も使える | 就労移行支援、就労継続支援B型、障害者雇用 |
特別支援学校を卒業する人の進路は「支援学校からB型事業所への進路」で別に整理しています。
高卒認定と通信制高校は、どちらが就職に向いている?
「高校卒業」という学歴がほしいなら通信制高校、早く大学や専門学校の受験資格を得たいなら高卒認定試験が向いています。高卒認定試験に合格しても、最終学歴は高校卒業にはなりません。
| 比べる点 | 高卒認定試験 | 通信制高校 |
|---|---|---|
| 得られるもの | 高校卒業者と同等以上の学力があるという認定、大学などの受験資格 | 高校卒業の資格 |
| 最終学歴 | 高校卒業にはならない | 高校卒業 |
| 学び方 | 年2回の試験(令和8年度は8月と11月)。受験科目は最大10科目で、高校で取った単位などによる免除がある | レポート(添削指導)、スクーリング(面接指導)、試験 |
| 始められる年齢 | 受験する年度の終わりまでに16歳以上 | 学校ごとの入学条件による |
| 就職での扱い | 高卒と同等に扱う採用試験・国家資格の一覧を文部科学省が公開している | 高卒の条件がある求人に応募できる |
詳しくは文部科学省「高等学校卒業程度認定試験とは」と「通信制高校とは?」で確認できます。
就職の面接で、不登校だった時期はどう伝える?
履歴書の学歴欄には事実だけを書けばよく、不登校だったことを書き込む欄はありません。面接で空白の時期を聞かれたら、休んだ理由より「その間に何をしていたか」と「今は通える状態か」を短く伝えるほうが伝わります。
高卒認定に合格した場合は、学歴欄ではなく資格欄などに、合格した年月とあわせて書くのが一般的です。面接での伝え方は、次のような型に自分の事実を当てはめると考えやすくなります。
| 状況の例 | 伝え方の例文 |
|---|---|
| 中学で不登校になり、通信制高校を卒業した | 「中学の途中から学校を休みがちになり、高校は通信制を選びました。自分でスケジュールを組んでレポートを出し、卒業しました」 |
| 高校を中退し、高卒認定に合格した | 「高校を中退したあと、高卒認定試験の勉強を独学で続けて合格しました」 |
| 卒業後、しばらく家で過ごしていた | 「卒業後はしばらく体調を整えていました。いまは決まった時間に起きて、週3日外に出る生活を続けています」 |
数字は自分の実際の生活に合わせて言い換えてください。話したくない理由まで説明する必要はありません。
障害や診断がないと、B型などの福祉サービスは使えません
就労継続支援B型や就労移行支援は障害福祉サービスなので、障害や病気があり、市区町村から支給決定を受けて受給者証をもらった人が使います。不登校だったこと自体は、利用の条件ではありません。障害や診断がない場合は、サポステやわかものハローワークなど、障害の有無を問わない窓口を使います。
学校に行けなかった背景に、発達障害や心の病気などが関係している場合もあります。ただ、それを判断するのは医師で、本人や家族が決めることではありません。
| 窓口 | 使える人 | 障害・診断 | 主にしてくれること | 費用 |
|---|---|---|---|---|
| 地域若者サポートステーション | 15〜49歳で、働いていない・学校に通っていない人 | 問われない | 悩み相談から、働き出す準備、職場への定着まで | 無料 |
| わかものハローワーク | 正社員を目指す、おおむね35歳未満の人 | 問われない | 担当者制の職業相談、応募書類の作成、面接対策、職業訓練の案内 | 無料 |
| 就労移行支援 | 一般企業への就職を希望する、65歳未満の障害のある人 | 必要(受給者証) | 就職に必要な訓練と、求職活動の支援 | 市区町村で確認 |
| 就労継続支援B型 | 一般企業で雇用されて働くことが難しい、障害のある人 | 必要(受給者証) | 雇用契約を結ばずに、自分のペースで生産活動に取り組む | 市区町村で確認 |
窓口の内容は、公式サイト「地域若者サポートステーション」と厚生労働省「わかものハローワーク」で確認できます。
診断はないけれど特性による働きづらさを感じている人は「発達障害グレーゾーンの就労支援|診断なしで使える窓口と受給者証」を、手帳がないと障害福祉サービスは使えないのかと迷う人は「障害者手帳がなくてもB型は使える?」を読んでみてください。
診断があってB型を初めて使うなら、先に「就労選択支援」があります
2025年10月から、新たに就労継続支援B型を使いたい人は、原則として先に就労選択支援を利用することになりました。不登校を経て一度も働いたことがない若い人も、多くはこの流れになります。
就労選択支援とは、作業の場面などを通して本人の強みや課題を整理し、本人と一緒にこれからの働き方を考える障害福祉サービスのことです。働けるかどうかを判断したり、使うサービスを振り分けたりするものではない、と厚生労働省の実施マニュアルは説明しています。
- 原則として先に利用する人:新たにB型を使いたい人
- 利用しなくてもB型を使える人:50歳に達している人、障害基礎年金1級を受けている人、働いた経験があり年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが難しくなった人など
- 近くに就労選択支援の事業所がない場合:就労移行支援事業所などの就労アセスメントを経て、B型を使える場合がある
制度の資料は厚生労働省「就労選択支援について」にまとまっています。手続きの窓口は、お住まいの市区町村の障害福祉の担当課です。
本人と親で、相談の前に整理しておきたいこと
最初の相談をスムーズにするには、「学校の記録」「いまの生活」「やってみたいこと」の3つを、紙1枚にまとめておくと話が早く進みます。本人が書く欄と、親が調べる欄に分けると分担しやすくなります。
本人が書いておくこと
- いまの1日の過ごし方(起きる時間、外に出る回数)
- 続けられたこと、好きなこと(ゲーム、イラスト、パソコンなど何でもよい)
- 苦手な場面(電話、人が多い場所、朝早い時間など)
- 試せそうな働き方(週に何日、1日に何時間くらいか)
親が調べておくこと
- 最後に在籍した学校の名前と、卒業・中退した年月
- 高校で取った単位が分かる書類(単位修得証明書)を取り寄せられるか。高卒認定の科目免除や、通信制高校に入り直すときに使うことがある
- 通院しているか、相談できる主治医がいるか
- 相談したい窓口が、障害の有無を問うところか、問わないところか
親の役目は選択肢の情報を集めるところまでにして、選ぶのは本人に任せると、話し合いがこじれにくくなります。家の外に出ることがまだ難しい段階なら「引きこもりから社会復帰するには」の段階表が、家族の関わり方全体は「家族・支援者向けB型ガイド総まとめ」が参考になります。
眠れない、食べられない状態が続く、気持ちの落ち込みが強いときは、進路を考えるより先に、主治医や医療機関に相談してください。
ぽちぽちの道の場合(診断がある方の「はじめて通う場所」として)
学校に通えなかった時期のあとで、障害や病気の診断があり、B型を考えている方にとって、ぽちぽちの道は選択肢の一つになります。決まった曜日に通う練習を、週1日から始められます。診断がない方には、上の表のサポステやわかものハローワークが合います。
ぽちぽちの道は、東武東上線「志木駅」から徒歩2分にある、IT・パソコン作業に特化した就労継続支援B型事業所です(2026年開設・運営:株式会社イチドキリ)。
- 週1日からの通所を相談できる:通える日数から始め、増やすかどうかは後で考えられます
- 一人で集中しやすいパソコン作業が中心:作業内容は、データ入力、Canvaでの画像づくり、生成AI(ぽちぽちAI)を使った文章の下書きなどです。パソコンが苦手な方も、文字入力からスタッフが一緒に進めます
- 面接で話せる経験が残る:「どんなソフトで何をしてきたか」を具体的に話せると、次に就職を考えるときの材料になります
働いた経験がない不安は「就労経験ゼロからのB型」にまとめています。電話が苦手な方も、見学・LINE相談から始められます。受給者証がまだなくても、見学だけでかまいません。工賃は作業内容や通所日数によって変わるため、詳しくは見学時にご案内します。
不登校のその後と就職についてよくある質問
不登校を経験した人は、20歳のころ働いていることが多いのですか?
文部科学省の追跡調査では、中学3年で不登校だった人のうち、20歳の時点で「働いている」が34.5%、「学びながら働いている」が19.6%で、合わせて半数を超えていました。平成24年に行われた調査のため、今の状況にそのまま当てはまるとは限りません。
高卒認定に合格すれば、履歴書の最終学歴は高卒になりますか?
なりません。高卒認定試験は高校卒業者と同等以上の学力があると認める試験で、合格しても最終学歴は高校卒業にはならないと、文部科学省が説明しています。学歴として高校卒業がほしい場合は、通信制高校などで卒業を目指す方法があります。
就職の面接で、不登校だった時期の理由を聞かれたらどう答えればいいですか?
理由を細かく話すより、その間にしていたことと、いまは通える状態であることを短く伝えるのがおすすめです。「通信制で自分のペースで学び、卒業しました」のように、事実を一文で伝えれば十分です。
診断がないまま不登校から就職を目指すとき、どこに相談できますか?
15〜49歳なら地域若者サポートステーション、正社員を目指すおおむね35歳未満ならわかものハローワークが、障害の有無を問わず無料で使えます。就労移行支援やB型は、障害や病気があり受給者証を受けた人が対象です。
不登校を経てB型を初めて使うとき、就労選択支援は必ず必要ですか?
2025年10月から、新たにB型を使いたい人は、原則として先に就労選択支援を利用します。50歳に達している人などは例外です。自分が対象かどうかは、市区町村の障害福祉の窓口で確認してください。
まとめ
不登校のその後は一つではなく、追跡調査では20歳の時点で8割以上が働くか学ぶかしていました。就職は、いまの学歴と年齢で選択肢を絞ると考えやすくなります。障害や診断がなければサポステやわかものハローワーク、診断があれば就労選択支援やB型、と窓口が分かれる点も押さえておいてください。
事業所の比べ方は「B型事業所の選び方チェックリスト」にまとめています。ぽちぽちの道では、ご本人だけでも、親御さんと一緒でも見学できます。見学だけでも大丈夫です。
どこに相談すればいいか迷ったら
お住まいの地域で相談するには
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監修者
田中 眞奈美(サービス管理責任者)
介護職、生活支援員業務、就労移行支援事業所での管理者業務など、介護・福祉業界にて多彩な経験を持つ福祉のプロフェッショナル。ぽちぽちの道では、サービス管理責任者として個別支援計画の策定および支援全体のマネジメントを担う。

執筆者
徳永 崇志(職業指導員・株式会社イチドキリ 代表取締役)
岡山大学教育学部出身。株式会社日立システムズでエンジニアとしてキャリアをスタートし、株式会社リクルートで教育系SaaS「スタディサプリ」の法人営業に従事。その後、複数社で生成AIを活用したプロダクトの事業立ち上げを経験。ぽちぽちの道では、生成AI・ITを活用した生産活動の職業指導を担当。厚生労働省「精神・発達障害者しごとサポーター」講座修了。

