「障害者雇用の求人を見ていると出てくる『特例子会社』って何だろう?」「ふつうの障害者雇用枠と何が違うの?」——そんな方へ。この記事では、特例子会社とは何か、仕事内容や働き方の特徴、一般の障害者雇用枠との違い、そしてB型から特例子会社へつながる道のりを、本人・ご家族・相談支援員の方向けに中立に整理します。志木駅から徒歩2分・生成AI特化の「ぽちぽちの道」での準備の仕方もあわせて紹介します。
特例子会社とは?まず結論
特例子会社とは、障害のある人の雇用を促進し安定させるために、親会社が特別な配慮をして設立した子会社のことです。一定の要件を満たして厚生労働大臣の認定を受けると、その子会社で働く障害のある人を、親会社が雇用しているものとみなして雇用率に算定できるしくみになっています。
「ふつうの障害者雇用と何が違うのか」も、先に結論をまとめます。
- 特例子会社とは:障害者雇用に特別な配慮をして設立され、一定要件で親会社の雇用率に算定できる子会社
- 働き方の特徴:障害に配慮した設備・体制が整っていることが多く、配慮を相談しやすい傾向がある
- 仕事内容の傾向:データ入力・事務補助・清掃・軽作業など。会社によって幅広い
- 一般の障害者雇用枠との違い:「同じ会社の中で働く」か「障害者雇用に特化した子会社で働く」かという、雇われる先の違い
- B型との関係:B型は雇用契約を結ばない福祉サービス。特例子会社は雇用契約を結んで働く一般就労の一つ
ここで大事なのは、「特例子会社が一般の障害者雇用枠より良い・悪い」と一律には言えないということです。働き方も配慮の内容も仕事の幅も会社によって大きく異なります。この記事ではどちらが良いと決めつけず、特徴と違いを整理して、自分に合うかを考える材料をお伝えします。
特例子会社とは?特徴と仕事内容を知る
特例子会社とは、障害のある人が働きやすいよう特別な配慮をして親会社が設立し、一定の要件を満たして認定を受けた子会社のことです。認定されると、その子会社で雇用する障害のある人を親会社の障害者雇用率に算定できる、というのが制度の中心です。この特例子会社をはじめとする雇用率算定のしくみは、厚生労働省「障害者雇用率、障害者雇用納付金、特例子会社などについて」のページで確認できます。
なぜこうしたしくみがあるのかというと、障害のある人をまとめて受け入れ、設備や支援体制を整えた職場をつくることで、一人ひとりが力を発揮しやすくするためです。親会社が単独で配慮するより、専門の子会社をつくったほうが、バリアフリーの設備や障害への理解のある体制を整えやすい、という考え方にもとづいています。
特例子会社で働くことの特徴を、よく挙げられる傾向としてまとめます。ただし、あくまで一般的な傾向で、実際は会社ごとに異なります。
| 観点 | 特例子会社(傾向) | 一般企業の障害者雇用枠(傾向) |
|---|---|---|
| 働く場所 | 障害者雇用に特化した子会社 | 親会社・一般企業の各部署 |
| 障害への配慮 | 設備・体制が整い相談しやすいことが多い | 会社・部署によって幅がある |
| 周囲の理解 | 障害のある同僚・支援担当がいることが多い | 配属先の状況による |
| 仕事内容 | 事務補助・軽作業などにまとまりやすい傾向 | 部署の業務に応じて幅広い |
| キャリアの広がり | 子会社内での役割が中心になることがある | 一般社員と同じ幅で広がりうる |
仕事内容については、データ入力や書類のスキャン・ファイリング、郵便物の仕分け、社内資料の作成補助といった事務系の作業や、清掃・備品管理、製品の組み立てや梱包といった軽作業を担うことが多い傾向です。近年はパソコンを使った事務作業の比重が高い特例子会社も増えています。とはいえ、どんな仕事があるかは会社によってまったく異なるため、「特例子会社=この仕事」と決めつけず、気になる会社ごとに求人内容を確認することが大切です。
なお、特例子会社は「障害者雇用」という大きな枠組みの中の一つの形です。障害者雇用枠・障害者手帳・法定雇用率といった全体のしくみは、関連コラム「障害者雇用とは?B型の次のステップとして知る」でくわしく解説しています。特例子会社を考える前提として、あわせて読むと理解が深まります。
B型から特例子会社への道のりと確認したいこと
B型から特例子会社をめざすときは、いきなり応募を考えるより、「自分にできる作業」と「あったら助かる配慮」を言葉にできる状態をつくることから始めると進めやすくなります。特例子会社は雇用契約を結んで働く一般就労の一つなので、B型で生活リズムや作業の土台を整え、必要に応じて就労移行支援や就労支援機関の力も借りながら、段階的に近づいていくのが現実的です。
B型と特例子会社は、はたらき方の前提が違います。B型は雇用契約を結ばずに自分のペースで働ける福祉サービス、特例子会社は雇用契約を結び、決められた勤務時間のなかで働く職場です。だからこそ、間にある段差を一歩ずつ埋めていく視点が役立ちます。進め方の目安は次のとおりです。
- B型で生活リズムと作業の土台をつくる:通う習慣や、集中できる時間帯のペースをつかむ
- 自分にできる作業・苦手な作業を整理する:得意な作業、サポートがあると進む作業を言葉にする
- 必要な配慮を具体的にする:通院のための休み、静かな環境、指示の出し方など、伝えられる形にする
- 支援機関に相談する:相談支援専門員や、必要なら就労移行支援・ハローワークの障害者窓口につなぐ
- 求人・職場を調べて見学する:気になる特例子会社の仕事内容・配慮・通いやすさを確認する
特例子会社を含む障害者雇用を考えるときに、確認しておきたいポイントをチェックリストにまとめます。求人票だけでは分からない部分も多いので、見学や面接、支援機関を通じて確かめると安心です。
- [ ] 仕事内容が、自分にできそうな作業か(データ入力・事務補助・軽作業など)
- [ ] 勤務時間・日数が、今の体調で続けられる範囲か
- [ ] 通院や体調の波に対して、休みや時短を相談できそうか
- [ ] 通勤経路と通勤時間が、無理のない範囲か
- [ ] 困ったときに相談できる担当者がいるか
- [ ] 障害者手帳が応募の前提になっているか(多くの障害者雇用枠で必要)
ここで気をつけたいのは、特例子会社を「ゴール」と決めつけないことです。一般企業の障害者雇用枠が合う人もいれば、もう少しB型で力をためたい人もいます。B型から一般就労への進み方全体は、関連コラム「B型から一般就労へのステップ」で順を追って解説しています。焦らず、今の自分に合う一歩を選んでいけば十分です。働き方の選択は体調や生活の状況で変わっていくものなので、迷うときは相談支援専門員や主治医にも意見を聞きながら進めると安心です。
ぽちぽちの道の場合(「伝えられる作業」を準備する)
特例子会社をめざすときに効いてくるのは、「私はこの作業ができます」「この配慮があると安定して働けます」と具体的に言える材料です。ぽちぽちの道は、その材料を、実際のパソコン作業を通じて準備していく場として活用できます。
ぽちぽちの道は、東武東上線「志木駅」から徒歩2分にある、生成AI・パソコン作業に特化した就労継続支援B型事業所です(2026年5月開設・運営:株式会社イチドキリ)。就職そのものを行う場所ではありませんが、B型で作業に取り組むなかで「自分は何ができるか」「どんな環境だと力を発揮できるか」が少しずつ見えてきます。特例子会社の仕事には事務補助やデータ入力などパソコンを使う作業も多いため、ここで積んだ経験は、いざ応募して働くときに伝えられる強みの一つになります(特定の会社への就職を保証するものではなく、あくまで準備の一つです)。
作業はパソコン中心で、データ入力やCanvaでの画像づくり、生成AI(ぽちぽちAI)を使った文章の下書きなどに、未経験から取り組めます。こうした作業を続けるほど、パソコンやAIのスキルとして手元に残ります。パソコンが苦手な方も、スタッフと生成AIがサポートするので心配いりません。その日の体調に合わせて作業の進め方を相談できるため、「どんなペースなら無理なく続くか」を自分で確かめる場にもなります。週1日からの通所も相談できます。
「将来は障害者雇用や特例子会社で働きたいけれど、何を準備すればいいか分からない」というときは、見学の際に作業を見ながら相談できます。どんな作業が向いていそうか、どんな配慮があると働きやすいかを、支援員と一緒に整理することもできます。どの働き方を選ぶかを決めるのは本人ですが、その手前の「自分にできること・必要な配慮を言葉にする」お手伝いはできます。LINEでの相談や見学も受け付けています。まず質問だけでも大丈夫です。
特例子会社についてよくある質問
Q. 特例子会社とは、わかりやすく言うとどんな会社ですか?
A. 障害のある人が働きやすいよう特別な配慮をして、親会社が設立した子会社のことです。一定の要件を満たして認定を受けると、その子会社で働く障害のある人を親会社の雇用率に算定できます。障害への理解や設備が整っていることが多いのが特徴ですが、働き方や仕事内容は会社によって異なります。
Q. 特例子会社の仕事内容には、どんなものがありますか?
A. データ入力や書類のスキャン・ファイリング、郵便物の仕分けなどの事務補助、清掃や備品管理、製品の梱包といった軽作業が多い傾向です。近年はパソコンを使う事務作業の比重が高い会社も増えています。ただし仕事内容は会社ごとに大きく違うため、気になる会社の求人で具体的に確認することが大切です。
Q. 特例子会社と一般企業の障害者雇用枠は、何が違うのですか?
A. 大きな違いは「働く先」です。一般企業の障害者雇用枠は親会社や一般企業の各部署で働くのに対し、特例子会社は障害者雇用に特化した子会社で働きます。特例子会社は配慮の体制が整いやすい傾向がありますが、どちらが良いとは一概に言えません。配慮の受けやすさや仕事の幅は会社によって異なるため、求人ごとに比べてみてください。
Q. B型から特例子会社で働くことはできますか?
A. 可能です。ただしB型は雇用契約を結ばない福祉サービス、特例子会社は雇用契約を結ぶ一般就労なので、間には段差があります。B型で生活リズムや作業の土台を整え、自分にできる作業や必要な配慮を言葉にし、相談支援専門員や就労支援機関の力も借りながら、段階的にめざすのが現実的です。焦らず今の自分に合う一歩から進めれば十分です。
Q. 特例子会社で働くには、障害者手帳が必要ですか?
A. 多くの場合、障害者手帳が応募の前提になります。特例子会社は障害者雇用率に算定されるしくみのため、手帳の有無が条件として確認されることが一般的です。ただし会社や状況によって扱いは異なるため、気になる求人ごとに、応募条件や手帳の要否を確認しておくと安心です。
まとめ
特例子会社とは、障害のある人の雇用を促進・安定させるために、親会社が特別な配慮をして設立し、一定要件で親会社の雇用率に算定できる子会社のことです。障害への配慮の体制が整いやすい一方、仕事内容や働き方は会社によって大きく異なります。一般の障害者雇用枠との違いは「働く先」であり、どちらが良いとは一概に言えません。B型からめざすときは、生活リズムと作業の土台を整え、自分にできること・必要な配慮を言葉にしながら、段階的に進めるのがおすすめです。
ぽちぽちの道は、パソコン・生成AIの作業を通じて「自分にできること・必要な配慮」を言葉にできる、志木駅徒歩2分のB型事業所です。「将来の働き方をどう準備すればいい?」と迷ったら、LINEでの相談や見学から始めてみてください。質問だけでも大丈夫です。事業所選びは「B型事業所の選び方チェックリスト」も参考にしてください。
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監修者
田中 眞奈美(サービス管理責任者)
介護職、生活支援員業務、就労移行支援事業所での管理者業務など、介護・福祉業界にて多彩な経験を持つ福祉のプロフェッショナル。ぽちぽちの道では、サービス管理責任者として個別支援計画の策定および支援全体のマネジメントを担う。

執筆者
徳永 崇志(職業指導員・株式会社イチドキリ 代表取締役)
岡山大学教育学部出身。株式会社日立システムズでエンジニアとしてキャリアをスタートし、株式会社リクルートで教育系SaaS「スタディサプリ」の法人営業に従事。その後、複数社で生成AIを活用したプロダクトの事業立ち上げを経験。ぽちぽちの道では、生成AI・ITを活用した生産活動の職業指導を担当。厚生労働省「精神・発達障害者しごとサポーター」講座修了。

