国民年金の法定免除は、障害年金の1級・2級や生活保護の生活扶助を受けている人の保険料が、届け出によって免除になるしくみです。この記事では、対象と届出、将来の年金への影響、納付申出と追納、障害年金をまだ受けていない人が国民年金を払えないときの申請免除を、日本年金機構の資料で整理します。
国民年金の法定免除とは、障害年金1級・2級などを受ける人の保険料が届出で免除になるしくみです
国民年金の法定免除とは、法律で定められた条件に当てはまる人の国民年金保険料が、届け出によって免除になる制度のことです。 所得の審査を受けて承認される「申請免除」とは別のしくみで、障害年金の1級・2級を受けている人は、この法定免除の対象です。
日本年金機構「国民年金保険料の法定免除制度」(2025年5月27日更新)では、対象を次の3つとしています。
- 生活保護の生活扶助を受けている方
- 障害基礎年金、または被用者年金の障害年金(2級以上)を受けている方
- 国立ハンセン病療養所などで療養している方
まず押さえておきたいのは、次の3点です。
- 3級の障害厚生年金だけの人は対象外:法定免除は、障害基礎年金か、1級・2級の障害厚生年金を受ける人が対象です
- 免除の間も年金額の一部は反映される:免除された期間の老齢基礎年金は、平成21年4月以降の期間は1か月を2分の1として計算されます
- 申し出れば納めることもできる:法定免除の期間でも、本人が申し出た期間は保険料を納められます(国民年金法第89条第2項)
法定免除は、自分で国民年金保険料を納める第1号被保険者の方に関係する話です。会社の厚生年金に加入している方や、会社員の配偶者に扶養されている第3号被保険者の方は、ご自身で国民年金保険料を納めるしくみではありません。
法定免除の対象になる人・ならない人
| 受けているもの | 法定免除 | 保険料が苦しいときの選択肢 |
|---|---|---|
| 障害基礎年金(1級・2級) | 対象 | 届出をすれば免除 |
| 障害厚生年金の1級・2級 | 対象 | 届出をすれば免除 |
| 障害厚生年金の3級だけ | 対象外 | 申請免除・納付猶予 |
| 生活保護の生活扶助 | 対象 | 届出をすれば免除 |
| 障害年金を請求する前・審査中 | まだ対象外 | 申請免除・納付猶予 |
国民年金法第89条では、障害の状態が軽くなって障害等級に当たらない状態のまま3年がたった障害基礎年金の受給権者などは、法定免除から外れるとされています。障害年金の等級と基礎・厚生の違いは「障害基礎年金と障害厚生年金の違い」で整理しています。
法定免除は障害年金が決まった月の前月分からで、市区町村への届出が必要です
法定免除は、障害年金が認定された日を含む月の前月分の保険料から免除になります。自動では切り替わらないため、住民登録をしている市区町村の国民年金担当窓口に「国民年金保険料免除事由(該当・消滅)届」を出します。日本年金機構「障害年金」でも、第1号被保険者の方は年金証書が届いたら市区町村に相談するよう案内されています。
手続きの流れは次のとおりです。
- 障害年金の年金証書(決定の通知)が届いたら、内容と等級を確認する
- 市区町村の国民年金窓口で、法定免除に当たることを伝える
- 「国民年金被保険者関係届書(申出書)」で免除事由の該当届を出す(用紙は窓口にあり、日本年金機構のサイトからも印刷できる)
- 免除の期間も保険料を納めたいときは、同じ届書の「保険料納付申出の確認」欄に記入し、「国民年金保険料免除期間納付申出書」も出す
- 等級が変わって対象から外れたときは、同じ届書で消滅の届出をする
障害年金がさかのぼって決まった場合、法定免除に該当した日(障害基礎年金の受給権が発生した日など)以降に納めていた保険料は、原則として返ってきます。その期間を満額にしたいときは追納を行う、と日本年金機構は案内しています。
志木市では、保険年金課 国民年金グループ(048-456-5360)が国民年金の窓口です(志木市「保険年金課」)。年金事務所で相談する場合、志木市は川越年金事務所の管轄です。朝霞市・新座市・富士見市・和光市など近隣の方は、お住まいの市の国民年金担当で確認してください。
法定免除の期間は、将来の老齢基礎年金が2分の1で計算されます
法定免除を受けた期間は、将来の老齢基礎年金を計算するとき、平成21年4月以降の期間は1か月を2分の1(平成21年3月以前は3分の1)として数えます。未納とは違い、免除の期間も年金額に一部が反映され、受給資格期間にも入ります。
日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」(2026年8月3日更新)には、昭和31年4月2日以後生まれの方の年金額のめやすとして、老齢基礎年金は40年納付で年847,300円、40年全額免除で年423,650円(国庫負担2分の1で計算した場合)と示されています。令和8年度の国民年金保険料は月17,920円です(日本年金機構「国民年金保険料」)。
免除のままにするか、納めるかは、次の3つの形で考えると整理しやすくなります。
| 選び方 | 今の保険料 | 老齢基礎年金への反映 | 手続き |
|---|---|---|---|
| 免除のままにする | 払わない | その期間は2分の1で計算 | 免除事由の該当届 |
| 納付申出をして納める | 納める(令和8年度は月17,920円) | 納めた月は満額で計算 | 該当届に加えて免除期間納付申出書 |
| あとで追納する | 今は払わない | 追納した月は満額で計算 | 追納申込書(10年以内) |
追納は10年以内で、3年度目以降は加算額がつきます
追納とは、免除や猶予を受けた期間の保険料を、あとから納めることです。日本年金機構「国民年金保険料の追納制度」(2026年4月1日更新)では、追納が承認された月の前10年以内の期間について追納でき、全額免除の期間を1年分追納すると老後の年金が年間で約1万円増えると案内しています。
翌年度から数えて3年度目以降に追納する場合は、当時の保険料に加算額が上乗せされます。追納した保険料は社会保険料控除の対象です。国民年金法第94条では、老齢基礎年金を受ける権利がある人は追納できないとされています。
付加年金は、法定免除の間は納められません
日本年金機構「付加保険料の納付」では、法定免除を含めて保険料の免除を受けている方は、月400円の付加保険料を納められない方に挙げられています。納付申出をした期間の扱いや国民年金基金は、年金事務所で確認してください。
65歳以降は、障害基礎年金と老齢年金のどちらを受けるかを選ぶしくみもあります。納めるかどうかの影響は人によって違うため、「障害年金はいつまでもらえる?」や「障害年金のデメリット」も参考に、年金事務所で見込み額を確認してから考えると安心です。
障害年金を受けていない人が国民年金を払えないときは、申請免除や納付猶予があります
障害年金をまだ受けていない人や3級だけの人が国民年金を払えないときは、申請して承認を受ける「申請免除」や「納付猶予」を使えます。未納のままにせず、まず市区町村の国民年金窓口か年金事務所に相談することが大切です。
| 制度 | 対象の目安 | 老齢基礎年金への反映 |
|---|---|---|
| 申請免除(全額) | 本人・配偶者・世帯主の前年所得が基準以下 | 2分の1 |
| 申請免除(4分の3・半額・4分の1) | 同上(基準は段階ごと) | 8分の5〜8分の7 |
| 納付猶予 | 20歳以上50歳未満で、本人・配偶者の前年所得が基準以下 | 反映されない(受給資格期間には入る) |
| 学生納付特例 | 学生本人の前年所得が基準以下 | 反映されない(受給資格期間には入る) |
全額免除の所得の目安は「(扶養親族等の数+1)×35万円+32万円」です。日本年金機構は、地方税法に定める障害者の場合は基準額が変わると案内しており、国民年金法第90条にも、障害者で前年の所得が一定額以下のときを免除の条件の一つとして定めています。具体的な額は窓口で確認してください。
申請は年度(7月から翌年6月まで)ごとで、全額免除や納付猶予が承認された方は、希望すれば翌年度も続けて審査を受けられます。過去の分は、申請時点から2年1か月前までさかのぼって申請できます。
未納のままにすると、障害年金の納付要件に影響します
障害年金を受けるには、初診日の前日の時点で保険料の納付要件を満たしている必要があり、免除を受けた期間は納めた期間とあわせて数えられます。一方で、日本年金機構は、病気やけがが起きてからさかのぼって免除を申請しても、障害基礎年金の納付要件には算入されないと案内しています。
つまり、保険料が払えないときに大事なのは「払えない月を未納で残さない」ことです。納付要件の数え方は「障害年金がもらえる条件」で詳しく解説しています。
B型に通っている人が国民年金を払えないときは、障害年金の段階で使う制度が変わります
B型に通っていて工賃が少なく、国民年金の保険料が苦しいときは、障害年金を受けているかどうかで使う制度が変わります。請求する前や審査中なら申請免除か納付猶予、1級・2級の障害年金が決まったら法定免除の届出、という順番で考えると整理しやすくなります。
| いまの状況 | 使う制度 | 窓口 |
|---|---|---|
| 障害年金を請求する前・審査中 | 申請免除・納付猶予 | 市区町村の国民年金窓口・年金事務所 |
| 障害年金1級・2級に決まった | 法定免除(該当届) | 市区町村の国民年金窓口 |
| 障害厚生年金3級に決まった | 申請免除・納付猶予 | 市区町村の国民年金窓口・年金事務所 |
| 生活保護の生活扶助を受けている | 法定免除(該当届) | 市区町村の国民年金窓口 |
ご家族と暮らしている方は、申請免除の審査に世帯主の所得も入る点に注意が必要です。50歳未満の方の納付猶予は本人と配偶者の所得で審査されるため、どちらが合うかは窓口で聞いてみてください。
これから障害年金を請求する方は、初診日より前の納付状況が受給の要件にかかわります。今の保険料を未納にしないことが、将来の請求を守ることにもつながります。生活保護を受けている方は「生活保護の障害者加算とは?」、年金を受けたときの健康保険や税の扶養は「障害年金をもらうと扶養から外れる?」もあわせてご覧ください。
窓口に行く前に確認しておきたいこと
- 自分が国民年金の第1号被保険者(自分で保険料を納める人)かどうか
- 障害年金の等級(1級・2級か、3級か)と、年金証書の日付
- 未納になっている月がないか(ねんきんネットや年金事務所で確認できる)
- 免除のままにするか、納付申出や追納で納めるか
- 本人・配偶者・世帯主の前年の所得(申請免除の場合)
ぽちぽちの道の場合
保険料や年金の心配を抱えたまま、日中の過ごし方を考え始める方もいます。ぽちぽちの道では、法定免除や申請免除に当たるかどうか、納めたほうがよいかどうかを判断することはできません。監修のサービス管理責任者も年金の専門家ではないため、個別の判断は市区町村の国民年金窓口や年金事務所、社会保険労務士にご相談ください。そのうえで、B型の利用を考えるときの相談はお受けしています。
ぽちぽちの道は、東武東上線「志木駅」東口から徒歩2分にある、IT・パソコン作業に特化した就労継続支援B型事業所です。送迎は行っていないため、見学のときに通い方を一緒に確認します。
作業内容はパソコン作業が中心で、データ入力、Canvaでの画像・SNS素材づくり、生成AIを使った文章の下書きや調べ物などに取り組んでいます。パソコンが苦手な方や未経験の方も歓迎しており、週1日からの通所も相談できます。工賃は見学時にご案内します。お金のことが気になって相談しづらいと感じている段階でも、見学やLINEでの相談を受け付けています。
国民年金の法定免除についてよくある質問
障害年金2級が決まったら、国民年金の保険料は払わなくてよくなりますか?
障害基礎年金や2級以上の障害厚生年金を受ける方は法定免除の対象で、認定された日を含む月の前月分から保険料が免除になります。ただし自動ではなく、市区町村の国民年金窓口に免除事由の該当届を出す必要があります。年金証書が届いたら、早めに窓口に相談してください。
法定免除の期間があると、老齢基礎年金はどのくらい減りますか?
平成21年4月以降の法定免除の期間は、1か月を2分の1として老齢基礎年金が計算されます。日本年金機構は、全額免除の期間を1年分追納すると老後の年金が年間で約1万円増えると案内しています。自分の見込み額は、ねんきんネットや年金事務所で確認できます。
法定免除の期間も国民年金を納めたいときは、どんな手続きをしますか?
免除事由の該当届を出すときに届書の「保険料納付申出の確認」欄に記入し、「国民年金保険料免除期間納付申出書」を出します。国民年金法第89条第2項で、本人が申し出た期間は保険料を納められると定められています。あとから納めたい場合は、10年以内であれば追納もできます。
障害年金をまだ請求していなくて、国民年金が払えないときはどうすればいいですか?
市区町村の国民年金窓口か年金事務所で、申請免除や納付猶予を申請してください。承認されると受給資格期間に入り、障害年金の納付要件でも納めた期間とあわせて数えられます。病気やけがが起きてからさかのぼって申請しても納付要件には算入されないため、未納にしないことが大切です。
障害年金3級だけを受けている人は、国民年金の免除を受けられませんか?
3級の障害厚生年金だけを受けている方は法定免除の対象ではありませんが、所得が基準以下なら申請免除や納付猶予を申請できます。地方税法に定める障害者は所得の基準額が変わると日本年金機構は案内しています。当てはまるかどうかは、市区町村の国民年金窓口で確認してください。
まとめ
国民年金の法定免除は、障害年金の1級・2級や生活扶助を受ける人の保険料が、届け出によって免除になるしくみです。免除の期間は老齢基礎年金が2分の1で計算され、納付申出や10年以内の追納で満額に近づけることもできます。障害年金を受けていない人や3級の人は申請免除や納付猶予を使い、未納で残さないことが大切です。制度が変わることがあるため、最新の内容は日本年金機構のサイトや市区町村の国民年金窓口でご確認ください。
保険料や年金のことを抱えながら、B型の利用が気になり始めたら、LINEでの相談や見学から始められます。質問だけでも大丈夫です。障害のある方が受けられるお金を全体で確認したい方は「障害者の手当・もらえるお金一覧」、年金の金額は「障害年金の金額はいくら?」もあわせてご覧ください。
運営:ぽちぽちの道(株式会社イチドキリ)
どこに相談すればいいか迷ったら
お住まいの地域で相談するには
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監修者
田中 眞奈美(サービス管理責任者)
介護職、生活支援員業務、就労移行支援事業所での管理者業務など、介護・福祉業界にて多彩な経験を持つ福祉のプロフェッショナル。ぽちぽちの道では、サービス管理責任者として個別支援計画の策定および支援全体のマネジメントを担う。

執筆者
徳永 崇志(職業指導員・株式会社イチドキリ 代表取締役)
岡山大学教育学部出身。株式会社日立システムズでエンジニアとしてキャリアをスタートし、株式会社リクルートで教育系SaaS「スタディサプリ」の法人営業に従事。その後、複数社で生成AIを活用したプロダクトの事業立ち上げを経験。ぽちぽちの道では、生成AI・ITを活用した生産活動の職業指導を担当。厚生労働省「精神・発達障害者しごとサポーター」講座修了。

