仕事で怒られるのが怖くて、働くこと自体に踏み出せない方へ。この記事では、怖さが強くなる場面ごとに「事前に伝えておけること」と「支援員に頼めること」を表で整理し、失敗が怖いときの手順書の使い方、見学で伝える例文、B型の支援員が個別支援計画にもとづいてどう関わるのかまでまとめました。
仕事で怒られるのが怖いのはなぜ?B型では「伝え方の希望」を先に伝えておける
仕事で怒られるのが怖いと感じる背景には、以前の職場や学校で強く叱られた経験や、うまくいかなかったことを「全部自分のせいだ」と受け止めやすいことが関わっている場合があります。理由は人によって違います。そのうえで、就労継続支援B型では支援員が一人ひとりの個別支援計画にもとづいて関わるため、「口頭より文字で伝えてほしい」「人前ではなく個別に話してほしい」といった伝え方の希望を、通い始める前に伝えておけます。
就労継続支援B型とは、雇用契約を結ばずに、体調や特性に合わせたペースで作業に取り組める障害福祉サービスです。本人の希望を聞き取ったうえで支援の内容を決めていく仕組みになっています。まず押さえておきたいのは、次の3つです。
- 怒られるのが怖い気持ちは、弱さや甘えの証拠ではありません
- 「どう伝えてもらえると受け取りやすいか」は、事前に言葉にしておけます
- それでも関わり方が合わないときは、相談して変えてもらう、事業所を変えるといった選択肢があります
なお、怖さのせいで眠れない、食事がとれない、仕事のことを考えると動悸がするといった状態が続いているときは、ひとりで抱えずに主治医や医療機関へ相談してください。「働くこと自体が怖い」という気持ちが大きい方は、働くのが怖いと感じたときの考え方もあわせて読んでみてください。
怖い場面ごとに、事前に伝えておけることと支援員に頼めること
怒られるのが怖いときは、「どんな場面で怖くなるのか」を先に分けておくと、「この場面ではこうしてほしい」と頼める形に変わります。下の表は、怖さを感じやすい場面ごとの例です。自分に当てはまる行だけ選んで使ってください。
| 怖い場面 | 事前に伝えておけること | 支援員に頼めること |
|---|---|---|
| ミスをしたとき | 「強い口調で言われると頭が真っ白になります」 | 何をどう直せばよいかを、落ち着いた口調で具体的に伝えてもらう |
| 作業が遅いとき | 「急かされると、かえって手が止まります」 | 1日の作業量の目安を最初に決めておき、途中で急かさないでもらう |
| 質問するとき | 「同じことを何度も聞くのが怖いです」 | 質問してよいタイミングを決める、手順をメモや文字で残してもらう |
| 体調が悪いとき | 「具合が悪いと言い出せないことがあります」 | 休憩の合図やカードなど、言葉にしなくても伝わる方法を一緒に決める |
| 人前で声をかけられるとき | 「みんなの前で指摘されるのがつらいです」 | 指摘や確認は、席の近くで個別に、または文字で伝えてもらう |
| 注意を受けたあと | 「注意されると、その日ずっと落ち込みます」 | 注意のあとに「できていたこと」も一緒に伝えてもらう |
特に伝えておきたいのは「言われ方」の希望です。同じ内容でも、口頭か文字か、人前か個別かで、受け取りやすさは大きく変わります。
注意されると落ち込んでしまう方は、「注意」と「怒る」を分けて考えると少し楽になることがあります。注意は、次に同じことが起きないための情報です。「注意は、何をどう直せばいいかの形で教えてください」と一言添えておくと、責められているのではなく、やり方を教わっている時間として受け取りやすくなります。
作業スピードに自信がなくて怖さが強くなる方は、作業が遅いと感じる方への工夫も参考になります。気になったら、見学だけでも大丈夫です。支援員の話し方を見てみてください。
失敗が怖い・完璧主義のときは、仕組みで不安を小さくする
失敗が怖いときは、「気をつける」ことより、手順書やチェックリストで「間違えにくい仕組み」をつくるほうが、怖さを小さくできます。ミスが起きにくくなれば、怒られる場面そのものが減っていきます。
失敗が怖い・完璧主義で手が止まるときの考え方
失敗が怖い方や完璧主義の方は、「100点でなければ出せない」と考えて、作業の途中で手が止まってしまうことがあります。そういうときは、作業を始める前に「ここまでできれば提出してよい」という合格ラインを支援員と決めておくと、動き出しやすくなります。
もう一つ役に立つのが、「完成してから一人で見せる」のをやめて、「途中で一度見てもらう」ことを最初の約束にしておくやり方です。途中で見てもらえば、間違いは小さいうちに直せます。直す作業が当たり前の流れになっていれば、ミスは怒られるものではなく、途中で整えるものに変わります。文章づくりのように白紙から始める作業では、生成AIに下書きを出してもらい、そこから直す進め方も、最初の一歩を軽くするのに向いています。
手順書とチェックリストで「覚えておく負担」を減らす
ミスを減らす仕組みづくりは、次の順番で進めると取り組みやすくなります。
- 作業を1行1動作で書き出す:「ファイルを開く」「日付を入力する」のように、1行に動作を一つだけ書きます
- 提出前のチェック項目を3つに絞る:たとえばデータ入力なら「件数が合っているか」「空欄がないか」「半角・全角がそろっているか」
- 迷ったときに止まる場所を決めておく:「この画面が出たら手を止めて聞く」と決めておくと、自己判断で進めて大きく間違えることを防げます
- ミスが起きたら、人ではなく手順を直す:同じミスが2回あったら、手順書に1行足すかチェック項目を見直します
手順書は、自分で作っても支援員に作ってもらっても構いません。ミスを減らす仕組みのつくり方は、仕事のミスを減らす仕組みの記事でさらに詳しく紹介しています。
見学・面談で「強い口調が苦手」と伝える例文
見学や面談で怖さを伝えるときは、「過去に何があったか」を詳しく話すより、「どう伝えてもらえると助かるか」を短く言うほうが伝わりやすくなります。つらい経験を細かく説明する必要はありません。
そのまま使える例文を3つ紹介します。
- 見学の最後に口頭で伝える例文:「以前の職場で強く叱られたことがあって、大きな声や強い口調が苦手です。何か直すところがあるときは、落ち着いた声で教えてもらえると助かります。」
- 面談で具体的にお願いする例文:「みんなの前で指摘されると、その後の作業が手につかなくなります。注意があるときは、個別に、できれば手順を文字で残す形で教えてもらえますか。」
- 話すのが難しいときにメモやLINEで渡す例文:「口で説明するのが苦手なので、文字でお伝えします。ミスをしたときは、何をどう直せばいいかを具体的に教えてもらえると安心して作業できます。」
言いにくいときは、例文をスマートフォンのメモに入れて画面を見せるだけでも十分です。ご家族や相談支援専門員に代わりに伝えてもらうこともできます。伝え方のコツは、体調や困りごとの伝え方の記事も参考にしてください。
伝えたあと、話をさえぎらずに聞いてくれるか、具体的な提案があるかも、事業所を選ぶ手がかりになります。見学当日の流れや質問のしかたは、B型事業所の見学で何をするかにまとめています。
B型の支援員はどう関わる?個別支援計画と合わないときの選択肢
B型の支援員は、サービス管理責任者が本人と面接して作る個別支援計画にもとづいて関わります。個別支援計画とは、本人の希望や課題をふまえて、支援の目標や内容、支援するうえでの留意事項をまとめた計画のことです。伝え方の希望は、この計画づくりの面接のときに伝えておける内容です。
国の基準である障害者総合支援法に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(e-Gov法令検索)では、第58条(B型には第202条で準用)で、個別支援計画の作り方と見直しについて次のように定めています。
- サービス管理責任者が、本人と面接して希望する生活や課題を把握する(アセスメント)
- 本人の意向や支援の目標、支援するうえでの留意事項などを書いた原案を作る
- 担当者を集めた会議で、本人の意向を改めて確認し、原案への意見を聞く
- 原案を本人または家族に説明し、文書で本人の同意を得て、計画を交付する
- 実施状況を確認しながら、少なくとも6か月に1回以上見直し、必要に応じて変更する
計画は見直しのたびに内容を変えられるので、通ってみて「文字で伝えてもらうほうが楽だった」と気づいたら、伝え直して大丈夫です。計画の目標の立て方や見直しの流れは、個別支援計画とは何かを解説した記事で詳しく紹介しています。
ただし、「B型なら絶対に怒られない」とは言い切れません。雰囲気や言葉づかいは、事業所ごと、支援員ごとに違います。合わないと感じたら、まずサービス管理責任者や相談支援専門員に相談し、それでも合わない場合は事業所を変えることもできます。移り方はB型事業所を辞めたいときの手続きで整理しています。
ぽちぽちの道の場合|見学・体験で雰囲気を確かめられる
怒られるのが怖い方にとって、いちばん確かな判断材料は実際の雰囲気を自分の目で見ることです。ぽちぽちの道では、見学と体験を受け付けているので、支援員の話し方や作業中の空気を、通うかどうか決める前に確かめられます。見学した日に決める必要はありません。
いきなり見学に行くのが緊張する方は、先にLINEで相談できます。「強い口調が苦手です」といった一言や、上で紹介した例文を、見学の前に文字で送っておくこともできます。
ぽちぽちの道は、東武東上線「志木駅」から徒歩2分にある、IT・パソコン作業に特化した就労継続支援B型事業所です(運営:株式会社イチドキリ)。実際の作業は、データ入力やCanvaでの画像・SNS素材づくり、生成AI(ぽちぽちAI)を活用した文章づくりなど、パソコンを使うものが中心です。パソコンが苦手な方や未経験の方も歓迎しており、通所は週1日からご相談いただけます。
怒られるのが怖い方からよくある質問
怒られるのが怖いのは、障害や病気が関係していますか?
一概には言えません。怒られることへの強い怖さには、過去の経験や体調、特性などさまざまなことが関わる可能性があり、記事だけでは判断できません。怖さで眠れない、日常生活がつらいといった状態が続くときは、主治医や医療機関に相談してください。
注意されると落ち込んで、その日ずっと引きずってしまいます。B型でも同じになりませんか?
伝え方を事前に相談しておくことで、落ち込み方が変わることはあります。たとえば「注意は個別に、直し方と一緒に伝えてほしい」「できていたことも一緒に言ってほしい」と先に伝えておく方法があります。落ち込んだ日は、支援員に伝えて作業量を調整してもらう方法もあります。
支援員への伝え方の希望は、通い始めてから変えてもいいですか?
変えて大丈夫です。個別支援計画は定期的に見直すもので、国の基準でも少なくとも6か月に1回以上見直すことになっています。見直しの時期を待たなくても、気づいたときに支援員やサービス管理責任者に伝えてかまいません。
B型の支援員の口調が合わないと感じたら、どうすればいいですか?
まずは「どの場面の、どんな言い方がつらかったか」を、サービス管理責任者や相談支援専門員に伝えてみてください。直接言いにくいときは、メモや家族、相談支援専門員を通して伝える方法もあります。話し合っても合わない場合は、別の事業所に移ることもできます。
失敗が怖くて手順を何度も確認してしまうのは、迷惑になりますか?
迷惑だと決めつけなくて大丈夫です。確認の回数が多くて不安なときは、手順書やチェックリストを用意してもらい、「ここだけは必ず聞く」という場所を決めておくと、確認がしやすくなります。
まとめ
仕事で怒られるのが怖いときは、怖い場面を分けて「どう伝えてもらえると受け取りやすいか」を言葉にしておくと、B型の支援員に頼みやすくなります。失敗が怖い方は、手順書やチェックリストでミスが起きにくい仕組みをつくると、怖さそのものを小さくできます。個別支援計画は見直しのたびに変えられるので、希望は通い始めてからも伝え直せます。
関わり方の合う・合わないは、実際に見てみないと分かりません。ぽちぽちの道では、志木駅徒歩2分の事業所で見学・体験ができます。気になったら、見学の予約だけでも大丈夫です。その場で決めなくてよいので、支援員の話し方を確かめに来てください。
見学の前に確認しておきたい項目は、B型事業所の選び方チェックリストでも一覧にしています。
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監修者
田中 眞奈美(サービス管理責任者)
介護職、生活支援員業務、就労移行支援事業所での管理者業務など、介護・福祉業界にて多彩な経験を持つ福祉のプロフェッショナル。ぽちぽちの道では、サービス管理責任者として個別支援計画の策定および支援全体のマネジメントを担う。

執筆者
徳永 崇志(職業指導員・株式会社イチドキリ 代表取締役)
岡山大学教育学部出身。株式会社日立システムズでエンジニアとしてキャリアをスタートし、株式会社リクルートで教育系SaaS「スタディサプリ」の法人営業に従事。その後、複数社で生成AIを活用したプロダクトの事業立ち上げを経験。ぽちぽちの道では、生成AI・ITを活用した生産活動の職業指導を担当。厚生労働省「精神・発達障害者しごとサポーター」講座修了。

